通所介護(デイサービス)というと、2000年(平成12年)に創設された介護保険
制度が始まりと勘違いしている業界人も少なくないが、その歴史は意外と古い。
1979年(昭和54年)に市町村事業として開始された、在宅にいる寝たきりの
高齢者を対象とした『老人デイサービス』がその始まりと言われている。
その後、老人福祉法、介護保険法に位置付けられ、国策として実施されるように
なり、現在に至っている。
ところで、『昭和』という文字は、自分の生年月日を書く時以外にはほとんど
使わなくなったなぁ~。
来年には新年号となり、さらに使わなくなってくるのかなぁ~と思ったりする。
話しを戻すと、通所介護(デイサービス)は、
①高齢者の社会的孤立の解消、②心身機能の低下予防、③家族介護負担の軽減を
主な目的として事業化され、老人福祉法、介護保険法へと主軸が移った後もこの
考え方は受け継がれていった。
介護保険制度が創設されて以降、通所介護(デイサービス)は『介護の万能選手』
と持てはやされ、ケアマネジャーの作るケアプランには十中八九このサービスが
位置付けられていたように思う。
時は流れ、時代背景の変化や制度の成熟度が増すにつれて、支援を必要とする方々
(以降、要援護者という)の生活ニーズが多様化していくにつれて、通所介護
(デイサービス)は、『②心身機能の低下予防』に特化した役割を持つように
なってきた。
逆の見方をすると、『①社会的孤立の解消、③家族介護負担の軽減』が役割から
そぎ落とされるようになってきたように思う。
昨今の国の考え方を見ていると、
『①社会的孤立の解消』は、地域の支え合い活動や高齢者クラブ、ボランタリーな
活動で実現しようと考え、
『③家族介護負担の軽減』は、ショートステイや有料老人ホーム等への入居で実現
しようと考え、
それらの枠組みに当てはまらない要援護者を『小規模多機能型居宅介護』で
フォローしようと考えているように見える。
この考え方には特に異論はなく、自然の流れかなぁ~と思う。
では、通所介護(デイサービス)は今後、どのような考え方に基づいて運営して
いけばよいのだろうか。
次回、このことについて私見を述べてみたい。