北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

社会福祉士って、この世に必要?

2018.11.27

私が長年担当しているご利用者に、身内と呼べる者が全くいない方がいる。

その方、認知症を患っていることもあり、成年後見制度の後見人がついている。

同制度利用のための申立をする身内もいなかったので、当市では初となる『江別市

長申し立て』を行った。

 

その方が入院するたびにいつも苦労することがある。

それは、『身元保証人』の欄への記入である。

 

担当ケアマネジャーは他人であり、身元保証はできない。また後見人も本人の代弁

者ではあっても身元保証人ではない。

対する医療機関側は、身元保証人がいない患者を受け入れようとしない。

 

こうした状況を行政機関へ相談しても、「患者の受入れについて行政が病院に対し

て介入することはできない。また、行政機関が身元保証人にもなりえない。」との

返答しかなく、八方塞がりである。

 

前回、このご利用者が入院した際には、「法的効力はない。」と医療機関側に伝え

たうえで、『身元保証人』の欄外に私の名前を記入して受付けてもらった。

 

世の中では、高齢者に係る事故等が起きるたびに、「施設が悪い。ケアマネジャー

が悪い。」と断罪する論調が多く聞かれる。

もちろん、高齢者へ暴力をふるって死亡させるといった犯罪行為は、論外ではある

が、劇的に変化する社会環境や背景に法整備や社会資源が追い付いていない現状に

おいては、『グレーゾーン』なるものが必ずあり、本意ではなくてもその穴埋めを

強いられる者がいるのである。

 

当事者を断罪する論調がある一方で、その背景にある社会問題を取り上げる論調が

起こってもよさそうなものであるが、人を責めることが好きな人間の本質は、そう

簡単には変えられないか。

 

しかし、そうした論調が多勢を占めることになれば、「触らぬ神に祟りなし。リス

クがあるなら何もしない方がまし。」という思考が主流となり、結果として『身内

がいない』といった社会的ハンデを持った方々が切り捨てられることになるのでは

ないだろうか。

 

本来、こうした社会的課題に真っ向からぶつかり、打開するための活動を期待され

ている『社会福祉士(国家資格)』が行政機関や医療機関、民間のサービス事業所

等に数多く配置されているが,その多く(私の知るかぎり)は、事なかれ主義的

思考に侵されてしまっているように思える。

下手をすると、悪しき方向へ促そうとする輩までいる。

 

この国家資格、世の中に必要なのだろうか?