医療保険制度は「やぶ医者ほど儲かる。」と言われてきた。
同制度は、長年『出来高払い制』をとっていたため、
検査をすればするほど、薬を出せば出すほど、病院は儲かるのである。
名医は、必要最低限の検査、処置、処方、手術で病気を治そうとするが、
やぶ医者は、たくさん検査をしないと何の病気かわからない。もっとひどいのは
1度の手術で済むところを失敗して2度3度と余計な手術をする。
そうすると、たくさんの報酬が病院へ入ってくる仕組みとなっていた。
介護保険制度も似たようなところがある。
全てではないが、多くの介護サービスは要介護度が重ければ重いほど、高い報酬が
得られる。
ケアを手抜きしてご利用者が重度化することで、結果的に儲かることになる。
そこで、医療保険制度では一部分『包括払い方式』を導入することとした。
ある条件下の特定の病気に対する診療報酬を○○円と固定する方法である。
そうすると、たくさん検査や処置をしても入ってくるお金が同じであるため、
不必要に検査などをしなくなる。
しかし、これで一件落着かと思いきや
包括払いとなると、「どうせ入ってくるお金が一緒なら、やったほうがいいと
思われる検査や処置も省略してしまおう。」という『手抜き診療』が横行すること
となってしまった。
介護保険制度は、医療保険の制度設計を基本としているため、
『出来高払い制』と『包括払い方式』の併用という方法を取っており、上記と同じ
ような現象が起きてしまう。
「正直者が馬鹿を見ない。」制度設計と「楽して儲けよう。」という事業者の
いたちごっこは永遠に終わることはないだろう。
私も経営者の端くれとして、儲けやお金は常日頃から考える。
がしかし、それは、自分たちが理想とする介護や福祉を展開ための手段であって
目的ではない。
お金を稼ぐことそのものを目的としている経営者は、是非とも医療や介護、福祉の
現場を離れて、別のふさわしい業界へ移っていただきたいものである。