数年前に『忖度』という言葉が流行った。
国会の場で、官僚が国会議員の意向を忖度して取った行動が不適切であるとのこと
で大いに話題になったと記憶している。
この忖度という言葉の意味は、『他人の気持ちや考えを推し量ること。』ととある
辞書には書いてある。
つまりは、相手を思いやるやさしさと言えるだろう。
しかし、現状において、この忖度が『利害』を前提として使用される場合が
ほとんどではないかと思う。
「もう少し空気を読めよ。」とか「いちいち言わなくても察すれよ。」という
ように忖度してもらいたい側からの忖度の強要。
「こうしておいたら、喜んで自分を出世させてくれるだろう。」とか「自分の言う
ことを聞いてくれるだろう。」というように忖度する側の思惑。
常人には、相手の心の内を読み取る超能力のようなものはない。
私は、身近な人に「言わなくてもわかるでしょ。」と言われれば、
迷わず「わからない。わかるように言葉で伝えてほしい。」というだろう。
数年前に流行ったころには、『忖度は日本人の美徳』などと言っている人がいたが
私は、『単にコミュニケーションスキルが低いだけ』だと思っている。
本当の思いやりややさしさを持って、他人に相対するのであれば、
『相手が誤解したり、困らないように正しく伝える』ことであり、どのような手段
を講じて伝えるのかがコミュニケーションスキルであろう。