先月1日に、同居の長男を刺殺したとして、農林水産省の元事務次官が逮捕された
ニュースが繰り返し流されていた。
『エリート官僚が起こした事件』として話題となり、大々的に報道されていたが、
もう一つ、この事件で話題となっているのが、殺害された息子が引きこもりの状態
にあったということだ。
つい先日に起きた、
神奈川県川崎市で通学途中の子ども達を含めた十数人が刃物で切りつけられ死傷
した事件の加害男性も引きこもりの状態にあったという。
いずれも、『中年の引きこもり』という共通点があり、問題を可決するためには、
といった切り口で報道されている。
ケアマネージャーとして、ご利用者のご自宅を訪問すると、『気配は感じるが姿を
見たことはない同居人』がいるご家庭があったりする。
しかも、特別なことではなく、比較的高い割合でそういった状況に遭遇する。
前述のような事件が起きるたびに、
『引きこもり=将来何らかの問題を起こす』のように取り上げられるが、事実誤認
もいいところであり、問題の本質を全く理解していない論調である。
なぜ引きこもることになったのか、
大きな外圧を受けたから、経済的に貧困していたから、何らかの疾患があったから
事情なさまざまである。
まるで、臭い物でも見るかのように引きこもりを取り扱うのではなく、
こうした本質に目を向けることで、必要な支援とは何かが見えてくる。
そうした結果、引きこもっていようがいまいが
個々が充実した生活を営むことができるようになると思う。