介護支援専門員(ケアマネージャー)として、ご利用者とかかわる中で
『ちょっとした事』を頼まれることがある。
「車で来たんなら、ついでにちょっとそこまで乗せてって。」
「足が痛いから、代わりに用足ししてきて。、ゴミ捨ててきて。」などなど際限が
ない。
丁重にお断りすると
「前の担当者はやってくれたのに。福祉に携わる人なのに。」などと言われる。
別段、「人を小間使いしやがって!」などと思っているわけではない。
物理的に可能なのであれば、要望に応えてあげたいという気持ちもある。
また、落としたものを代わりに拾ったり、転びそうな人へ手を差し伸べたりと
いったことを日常的に何の躊躇もなく実行することは当然と思っている。
しかし、『ちょっとした事』は、1度で終わることはない。
また、どこから聞きつけてくるのか「あの人にはやってあげてるのに、私にはして
くれないのは何で!」などと言われる。
『ちょっとした事』も積み重なるとちょっとでは済まなくなる。
結果として、本来専門職として『やらなければならない事』が疎かになる。
果たして、同じく専門職である医師に対しても、同じように『ちょっとした事』を
お願いするのだろうか。
恐らくはしないだろう。
なぜなら、専門職としてリスペクトされており、「この人に頼むべきではない。」
と分かっているからだろう。
『ちょっとした事』に笑顔で答える介護支援専門員(ケアマネージャー)は、
ご利用者やご家族の評判がいい。
なぜなら、自分たちにとって都合がいいからである。
しかし、専門職として評価しているのかと言えばそうではないだろう。
介護支援専門員(ケアマネージャー)が専門職として求められているのは、
『ちょっとした事』に笑顔で答えて、ご利用者のご機嫌取りをするのではなく、
『やらなければならない事』を誠実に実行することではないかと思う。