先日、担当しているご利用者が精神科病院から退院してきた。
もともと精神的に不安定な症状を抱えていたこの方は、同病院の入退院を繰り返し
ながら何とか在宅生活を継続していた。
身近に近親者がほとんどおらず、経済的な余裕がなく生活保護を受給されている
この方には、『成年後見制度』による保佐人がついていおり、諸手続きにかかる
日常的な支援は私とこの保佐人とで行っている。
今回の入院前から、精神面がより不安定になってきており、高齢者住宅で生活を
継続することが非常に難しくなってきている。
しかし、要介護度が軽度で認知症の診断はなく、高齢であることによる障がい分野
の入居施設対応が困難なことなどから、終の棲家となりうる場所を見つけることが
できずにいる。
これから先、昨今の社会事情を勘案すると、同様の方が多くなることが見込まれる
が制度が全く追い付いていない。
制度が整備されていなくともニーズがあれば、どこかが対応しなければならない
こととなる。
そこで起こるミスマッチは、ご利用者本人にとって不利益であるばかりか、対応
する側にとっても有益とは言えない。
無理をして対応することによって起こる事故や事件は、ここ数年の間だけでも何度
も報道されてきた。
そうした報道が出るたびに、施設等の運営者や従業者が非難にさらされる。
犯した罪を擁護するつもりは全くない。
しかし、臭い物に蓋をして、見て見ぬふりをしている人の罪もそれなりに大きいと
感じている。