『フレイル』という言葉をご存じだろうか。
老年医学分野で以前から使われていた言葉で、英語の「Frailty(フレイルティ)」
が語源となっていて、日本語に訳すと「虚弱」や「老衰」などを意味する。
そこから転じて、介護予防の分野で最近よく使われるようになってきた。
これまでの日本における介護予防は、医学的モデルの要素が強すぎた。
「運動・栄養・口腔ケア」が呪文のように唱えられ、短期集中でこれらの改善プロ
グラムを受けることで、多くの高齢者が健康的な生活を営むことができると信じら
れてきた。
残念ながら、江別市でも同様の取り組みを何年も続け、全く成果が出ていない。
「フレイル予防を通じた健康長寿のまちづくり」を提唱し、全国各地へ出向き、
取り組みの促しを行っている飯島勝矢東京大学教授らの研究によると、運動習慣が
なくても文化的活動や地域活動の習慣がある人は、運動習慣しかない人と比べると
フレイル状態に陥るリスクが1/3に減るそうである。
同研究では、フレイル予防への優位性は
『 地域活動 > 文化的活動 > 運動習慣 』となっており、運動習慣の貢献
度が一番低いことになる。
一人で運動や体操を黙々とやっている人よりも運動なんか一切しないけど町内会の
行事には必ず参加している人の方が健康でいられるということだ。
要するに、「人は人とふれあってこそ、衰えを予防することができる。」また、
「役割がある。居場所がある。人の役に立つ。」といった精神活動が重要である
ということだろう。
「運動・栄養・口腔ケアは全くの無駄」とまでは言わないが、そこに精神的な活動
の要素がなければ効果はほとんど期待できないと言っていいだろう。
機械的な短期集中プログラムなどは税金の無駄遣いだ。
江別市行政もいい加減、そのことに気が付いてほしい。