『ソーシャルワーク』とは、生活上の課題を抱えた個人への働きかけを通じて、
社会全体の課題として取り上げて、社会に対して働きかけを行うこと。
また、社会に直接働きかけることによって、個々が抱える生活上の課題を解決へ
導くことと理解している。
『ケースワーク』とは、生活上の課題を抱えた個人に対して、社会資源を活用して
課題解決に導くことと理解している。
ケースワークは、ソーシャルワークに含まれるため、それらを総称してソーシャル
ワークと呼ぶことも多いが、今回はあえてそれらを分けて考えてみたい。
上記の行為を業としている方々を『ソーシャルワーカー』、『ケースワーカー』と
呼んでいる。
そして、その多くは社会福祉士や介護支援専門員といった有資格者が担っている。
では、病院や福祉施設の相談員、介護保険制度上のケアマネージャーは、
『ソーシャルワーカー』、『ケースワーカー』のいずれなのだろうか。
私は、『ソーシャルワーカー』であることが求められていると考えている。
しかし、現実を見るとほとんどの相談員やケアマネージャーは、ケースワークしか
行っていない。
入院患者や入所者、要援護者に対して、必要な社会資源(サービス)を調整して
利用に結びつけることに留まり、社会への働きかけはほとんど行われていない。
なぜそのようになっているのかと言えば、
国の制度上、ケースワークにはそれ相応の報酬を与えられることは多いが、
ソーシャルワークには全く報酬が与えられないからである。
ソーシャルワークは、公的な性質を持つことが多いため、行政や行政から委託を
受けた相談援助機関が担っていることが多く、民間に報酬を支払う仕組みには
なっていない。
「金にならない。」から、ソーシャルワーカー個人が動きたいと思っていても、
組織がそれを許さないといったところが実情である。
しかし、行政はマンパワーが足りておらず、定期的な異動があるため、知識や技術
を持った人が継続的にソーシャルワークを担うことができていない。
これまでの日本では、ソーシャルワーカーとケースワーカーを大きく区別せずに
取り扱ってきたように思う。
しかし今後は、それらを大別していくことになるのではないかと考えている。
そのためには、ソーシャルワークに対する正当な評価が望まれるところである。