北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

月別: 2020年4月

1次予防の重要性

2020.4.30

ここのところ連日のように『PCR検査』という言葉を耳にするが、この検査件数や

検査対象の拡大の有無が議論となっている。

 

この議論は、『予防医学』の考え方をどのようにとらえるかによって変わってくる

が、改めて思うことは我が国の予防医学の考え方には1次予防が欠落していると

いうことである。

 

1次予防とは、健康な状態から健康異常へ陥らないようにリスクを回避することで

2次予防とは、健康異常を早期発見して早期に治療し、完治を目指すことである。

 

我が国のPCR検査の人口当たりの実施件数が諸外国と比較して少ないのは、2次

予防を重視して、1次予防を軽視しているからに他ならない。

健康異常が発生してから、どのように対処するかという思考が先立つため、健康

異常の発生リスクの高い人のみを対象として検査している。今でこそ、真似るべき

との議論が持ち上がっているが、感染症発生当初は隣国の『ドライブスルー検査』

を子馬鹿にしていた人が多かったように思う。

 

私たちの日ごろの仕事に直結する『介護予防』についても同様のことがいえる。

市区町村による介護予防の取り組みは、数十年前から多額の予算を組んで行われて

いるが、一次予防の有効性を評価する指標の『罹患率』は下がったためしがない。

 

当ブログの『介護予防短期集中プログラムの愚』でも取り上げた通り、結果が出

ないことに多くの時間と労力と予算をつぎ込んでおり、未だに続けている有様だ。

 

この度の新型コロナウイルス感染を一つの教訓として、予防医学における1次予防

の重要性に目を向けるべきではないかと思う。

平均値のマジック

2020.4.23

新型コロナウイルス感染症の報道で、

「ウイルスに感染してから発症するまでの期間(いわゆる潜伏期間)は平均すると

5日間です。」などをよく耳にする。

この『5日間』が一人歩きしてしまうと、非常に危険な状況になる。

 

「5日間、様子を見て問題がなければよい。」という判断が一般化してしまうこと

になるが、この潜伏期間は「最長で12日間ある」との報告もある。

また、潜伏期間が1日しかなく、翌日には発症している人の数も多くいることが、

『平均値』を引き下げている要因となっており、5日間以上の方が同等の人数分

いることにもなる。

 

さらに、給付金等の関連で、『平均年収』が語られることがある。

しかし、この平均年収も非常に危険な数字である。

年収が1億円の人と100万円の人の平均年収は5050万円となる。

年収100万円の人にとっては、5050万円を基準にして考えられたらたまった

ものではない。

 

この数字を非現実的と思う方がいるかもしれないが、実際に日本の平均年収を

大きく引き上げているのは、数%しかいない、ごく少数の億万長者たちである。

残りの大部分の人たちは、平均年収を下回っている。

それほど年収の格差が広がってきているということである。

 

数字そのものはうそをつかないが、その数字を恣意的に使う人によって、現実を

大きくゆがめられてしまう危険性がある。

 

『格差が広い時に使う平均値』に騙されてはいけない。

地方自治の見直しが必要かもしれない

2020.4.21

この度の『新型コロナウイルス感染症』への対応を見ていて、日本という単一の

国家規模が大きすぎるのではないかと思う。

 

規模の大きさは、対外的な競争力に強さを発揮する反面、不測の事態への臨機応変

な対応には脆さを露呈する。

 

全国に先駆けて、『緊急事態宣言』を出した北海道では、一時的とはいえ、事態の

収束に一定の効果があった。

しかし、法的な根拠がなかったため、外出自粛も個人レベルにとどまり、他都府県

との足並みもそろわずに感染拡大が再発してしまった。

 

国のリーダーが発令した『緊急事態宣言』は、あまりにも遅く、機を逸した。

また、打ち出された経済対策等も国全体のバランスを考えすぎたせいか、地域や

地域住民の事情にマッチしたものにはなっておらず、実施にも多くの時間を要して

いる。

 

最近あまり耳にしなくなった『道州制』の枠組みに対する議論を今一度、進めた

ほうが良いのではないだろうか。

ただし、その際にも地方自治のリーダーの資質が問われることは言うまでもない。

神頼みしたいのはこっちだ!

2020.4.20

先日、当方の施設に例の『アベノマスク』が届いた。

中身を開けてみたものの、「小さい!薄い!気密性がない!」の三拍子が揃って

おり、とても現場で使える代物ではなかった。

即座に、「どうしようもなくなった時」用にと倉庫へ直行することとなった。

 

このマスクに投じた国の予算は、466億円と言われている。

倉庫の肥やしにするために、巨額の国費を投じたのかと思うと、涙が出てくる。

 

我が国のリーダーは「馬鹿なの?」

それとも、こんな人を国政に送り出した我々が「馬鹿なの?」

 

ただ、そんなことを嘆いていても新型コロナウイルスは消滅してくれない。

我々がかかわるご利用者の中には、「感染が疑われる状態であっても、自宅待機を

課せられた状態であっても今日、明日の介護」を必要としている方が数多くいる。

 

早速、出入りを含めて他のご利用者と接触することのない隔離部屋を急増して、

感染対策防具をかき集め、いつ来るともわからない緊急事態に備えている。

 

休業補償もされないまま営業の自粛や短縮を迫られる業種の方々は本当に大変な

思いをされていることだろうが、自らが感染するリスクを抱えながら医療や介護

に従事する業種もまた恐怖との戦いである。

 

無策のまま、事態の終息を神頼みする国のリーダーに代わって、こちらが神頼み

したい。「お願いだから、早く辞めてくれ~」

否定しないツッコミ

2020.4.16

外出自粛が続いているため、自宅でテレビやユーチューブを見て過ごす時間が異様

に増えている。

特に最近気に入っているのは、お笑い芸人コンビの『ぺこぱ』である。

 

このコンビの芸風である『否定しないツッコミ』が世間に受けている。

 

お笑いのコンビ芸には、『ボケとツッコミ』が定番である。

ボケが非常識的な言動を取り、ツッコミがその言動を言葉巧みに正すというもので

あるが、このコンビの非常識的な言動を正さない=否定しないツッコミの何が面白

いのだろうかと考えてみた。

 

多くの人は『ツッコミ』が得意であろうと思う。

人の欠点や間違いは目につきやすく、「正したい」という考えになりやすいが

人の長所や良いところは目に入りにくく、「認めよう」という考えにはなりにくい

のではないだろうか。

 

多くの人が苦手であったり、非日常的な『間違いを認めつつも否定しない』という

光景が新鮮かつ斬新に見えるので、このコンビの芸風が多くの人に受けているの

ではないかと思う。

 

介護の現場でもよく見る光景である。

例えば、脳梗塞後遺症で左半身が麻痺している人に対して、麻痺した部分を少し

でも動かすためにゴールのないマラソンのように毎日リハビリ漬けにしてみたり、

半身麻痺ということは体が不自由なのだからといって必要以上に支援を行って

みたりする。

『欠点=麻痺した体の一部分』ばかりが見につくのである。

 

『長所=右半身は動かせる。目、耳、口、認知機能は問題ない。』がしっかりと

目に入っていれば、支援の方法や内容は大きく変わってくる。

 

介護の現場においては、『否定しないは非日常』であってはならない。

そういった目で『ぺこぱ』を見るとより一層興味深く感じられる。

 

 

一生懸命の無駄遣い

2020.4.15

先日、新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少を補填するため、運転

資金融資の申請を行った。

 

こういった状況ということもあって、担当者は非常にスピーディーな動きを採って

くださり、審査等も順調に進んでいて、感謝の気持ちで一杯となった。

 

しかし、一方で

申請に係る書類は、明らかに内容が重複している書類が何枚もあった。

こうした無駄を無駄とは思わないのは、日本人特有の思考なのだろうか。

 

身近でよく耳にする会話の中で、他者から一定の評価を受けたい場合に「私、一生

懸命やってます。」と訴える人が結構いる。

ここで言う評価は、必ずしも『結果のみを持って評価する』ということではなく、

経過も重要な要素となることを前提とする。

 

ただし、『一生懸命やっている』を評価基準の一部とする考え方が多くの人に定着

していることには違和感を覚える。

 

この『一生懸命』が重複する膨大で無駄な書類の生みの親に思えてならない。

そして、『一生懸命』は時に、論理性や効率性を阻む悪の巣窟と化すことがある

ように思う。

 

時間もお金も人材も、有り余るほど豊富にある状況であれば、ひたすら一生懸命に

やればよいのかもしれないが、非常時ではなくともそういった状況に身を置くこと

ができる人はそうはいないのではないか。

 

「一生懸命やっている」は、自らを鼓舞するために自分の心の中で唱える言葉で

あって、評価を得ようと人に話す言葉ではなかろう。

 

非効率な方法で膨大な時間を使って物事に対処している人が評価され、限りある

時間を効率的かつ有効に使って物事に対処している人が評価されないとするならば

『評価』って何なんだ?

教育現場に携わる資質

2020.4.14

ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を取得するためには、筆記試験に合格

した後に『所定の研修』を受講しなければならないルールとなっている。

 

所定の研修とは、

・eラーニング(インターネット等を活用した個人学習)

・集合学習(受講者全員を会場に集めて行う集団学習)

・現場実習(現実の社会場面で行う体験学習)

の3つから構成される。

 

その中で『現場実習』は、居宅介護支援事業者が毎年数名の実習生を受け入れて

実施しており、当方の居宅介護支援事業所も実習受け入れを行っている。

 

昨今、皆さんご承知の通り『新型コロナウイルス感染症』の影響で外出の自粛が

強く呼びかけられている。

また、病院の院内感染や介護施設内の集団感染が連日報道されている中で各施設は

施設内の消毒清掃や従業者の感染予防、営業の自粛や縮小、来設者の制限を設ける

など必死に感染症の拡大防止に努めている。

 

こうした現状を踏まえて、当方が実習生を受け入れている大学や専門学校から

「実習の延期または中止」の連絡が来ている。

懸命な判断であると共に実習先である施設への配慮が感じられる。

 

ところが、ケアマネジャーの研修を運営する『北海道介護支援専門員協会』は

実習受け入れの判断を事業者へ丸投げして、昨今の状況を踏まえた指針を何一つ

出してこない。

 

同協会は、外出自粛と共に外部からの訪問も制限しているご家庭が多くある中で、

我々が通常の訪問面談を実施することに苦労と創意工夫を凝らしている現状を全く

理解できていない。

 

世間一般の風潮やそれに伴い事業者が置かれている現状の理解もできない機関が、

人の教育に携わる資格があるのだろうか。

大切な別れを阻むものはウイルスか人か

2020.4.13

先日、担当していたご利用者がご自宅でお亡くなりになった。

ご家族の懸命の介護を受けて、ご利用者の希望通りに最期をご自宅でご家族に

見守られながらの旅立ちとなった。

 

「もう少しできることはなかっただろうか。」という自問は尽きないが、

最後まで苦しむことなく、旅立つことができたという点においては、ご家族も

かかわった専門職も満足といえるかもしれない。

 

ご家族のたっての希望を受けて、息を引き取った直後に、ご家族と関係者一同が

涙を流しながら万歳三唱する一幕があった。

 

そして、葬儀の準備をする段階となったときにご家族から「本州にいる兄弟に

こちらへ来てもらうべきかどうかで迷っている。」との悩みを打ち明けられた。

詳しく話を聞くと、『緊急事態宣言』が発令された地域にお住まいとのことだ。

 

他人の私がとやかく言うことではなかったため明言は控えたが、「他界されたご利

用者の配偶者は新型コロナウイルス感染症にかかると命を落とす可能性がある疾患

をお持ちであることには考慮したほうが良いかもしれない。」とだけ伝えた。

 

親兄弟の旅立ちを見送ることは多くの方が大切にしていることではないかと思う。

そんな大切な気持ちを引き裂く新型コロナウイルスには恨みしか感じえない。

 

そして、この状況に有効な手当てを講じず、国民に丸投げして、事態の収束を神頼

みする国のリーダー。

さらに言えば、国民から徴収した税金をまるで自分の財産のように考え、苦しみ

あえいでいる国民をしり目に出し渋り政策を唱える財務官僚。

無能な舵取り役は百害あって一利なし。

 

 

リーダーの資質

2020.4.6

一般的には、平常時に組織のリーダーが活躍する(目立つ)ことはあまりない。

 

なぜなら、

あらかじめ決められたルールや流れに沿って物事が進んでいる時に、リーダーが

必要以上に介入すると現場に更なる混乱を招くことになるからである。

 

しかし、非常時は全く別である。

あらかじめ決められたルールや流れに沿っては、物事が進まないことが多いため、

リーダーの介入が必要となる。

東日本大震災や胆振東部地震、今回の新型コロナウイルス感染症拡大がその非常時

にあたる。

 

そういった時には、リーダーが文字通り『リーダーシップ』を発揮して、最悪の

事態を招くことを防ぐために采配を振る。

最悪の事態とは、国家で言えば国の転覆、企業で言えば倒産、家庭で言えば家庭

崩壊といったところであろう。

 

そして、最悪の事態を防ぐために、リーダーには平常時とは異なった思考や行動が

求められる。

『多少の犠牲を払ってでもこの難局を乗り切る』という確固たる信念である。

 

このような場合、『平等や多数決、多くの人たちの意向』は役に立たないばかりか

最悪の事態を防ぐことへの阻害因子となってしまうことがある。

 

これまで、多くの日本国民は『総理大臣が誰であっても一緒、政治家に期待する

ことは特にない。』といって政治に関心を示さなかった。

この先、非常時が絶対に来ないという確証があれば、それで良いのかもしれない。

しかし、残念ながら非常時は何時ともなくやってくる。

 

選挙のことばかりが頭にあって、有効な手立てを迅速に採れないリーダーはもう

必要ない。

今一番やらなければならないことは、『2枚のマスク配給』ではない。

 

 

有効な手立てを迅速に

2020.4.2

新型コロナウイルス感染症の影響で日本経済が停滞している状況への打開策として

『消費税の減税』が取り上げられている。

 

一見すると有効な手立てに思えなくもないが、果たしてそうだろうか?

 

「消費の冷え込みを解消するために、消費税を一時減税もしくは撤廃することで、

消費を増やすことができる。」という者はいるが、会社の存続が難しくなり、仕事

を失い、所得を無くした方々が急増している中で、数%の減税など

『屁のツッパリ』にもならないだろう。

 

また、「消費税を減税することは経済的弱者にとって有効である。」というが、

経済的弱者は、多額の消費ができないから「弱者」と呼ばれているのだろう。

同減税によって大きな恩恵を受けるのは、多額の消費をする高額所得者や大企業

の方である。

経済的弱者は、外出同様に消費も自粛しているのだから。

 

今日明日の生活もままならない方々や倒産寸前の中小零細企業への支援を必要と

している状況において、同減税のような間接的な支援策ではなく、現金給付の

ような直接的な支援策が求められていることは明白である。

 

そして、こうした直接的な支援策には、高額所得者や公務員、年金受給者のように

所得の変動がない方は対象外とするべきであろうと思うが、小賢しい政治家や役人

がこうした非常事態に乗じて利権や私腹を肥やすことがないように注視したい。