月別: 2021年6月
2021.6.30
『認知症の人と家族の会や全国労働組合総連合(全労連)など7団体が23日、・・
高齢者の自己負担の引き上げに抵抗していく方針を確認。与野党に提出する要望書
の素案には、2割負担、3割負担の対象拡大やケアプランの有料化への反対を明記し
た。要望書は9月にも各政党へ提出する予定。』との報道を見た。
介護保険サービスの自己負担の引き上げは、令和6年度に控える次期制度改正の
最大の焦点となる。制度の持続可能性の確保、現役世代の負担軽減を理由に財務省
などが具体化を求めているが、家族の会らは異論を唱えている。
特殊な状況下でもない限りは、経済的、精神的、身体的負担が増えることを歓迎
する人はそうそういないだろう。まして、自分や家族の生活に多大な影響を与える
ような負担となればなおのことだ。
そのため、今回の負担増へ反対の声をあげることは至極まっとうなことであろう。
しかし、このような報道を目にするといつも気になることがある。
それは、経済的に余裕がある人もそうではない人も一緒くたにして取り扱われがち
であることと、異論や反対ばかりで対案がないことである。
若者世代が減り高齢者が増え続けている日本においては、社会保障に係る収入が
減り支出が増え続けることはだれもが知っている。家計と同様に収入が減って支出
が増え続ければ、いずれ破綻する。
現状のままでも、若者世代の負担は増える一方である。そこに来て、高齢者は負担
増を受け入れないとなれば、世代間格差を助長することにもなりかねないし、世代
間における感情論にも発展しかねない。
感情論ついでに言うと、『高齢者は弱者、若者は強者』という単純な枠組みで物事
を捉えることはいい加減に卒業したほうが良いように思う。
経済的側面を単純な枠組みから見ると、『高齢者は超強者、若者は超弱者』という
ことになる。
経済的な支援策を高齢者や若者と言った世代で対比することには何の意味も持た
ない。対比するべきなのは『余裕がある人とそうではない人』である。
単に反対の声を上げるだけでは誰も耳を貸さないと思う。
2021.6.29
緊急事態宣言が解除され、久しぶりにご訪問することができたご利用者宅へ伺った
ところ、とても興味を引くものが置いてあった。
それがこれである。

手動式のポットのお湯を出すために押す場所に、お猪口を滑り止めシートで包み、
洗濯ばさみを固定した割り箸をポットの手持ち部分にセットするといったものだ。
なぜこのようなものを作ったのかとご主人に聞いたところ、「妻が腕の力なくなっ
てきて、自分でポットのお湯を出せなくなったので、こんなもんを作ってみた。」
「これなら、一人でお茶を飲むこともできると思う。」とのことだった。
このような手動式のポットをお持ちの方はよくわかると思うが、お湯を出すために
押す場所はとても重たく、それなりに過重をかけないと思ったように出てこない。
そのため、生み出された創意工夫である。同席していた作業療法士も目を丸くして
感動していた。
最近では、レバー式になっているポットや電動式のポットも市販されているので、
こうした機会に買い替えるということも一つの手段であろうと思うが、たくさんの
お金をかけなくても、知恵と工夫で住みやすい環境を作ることができるという模範
的な事例だったので、皆さんへ紹介しようと思った。
しかし、当のご本人からは「こんなのカッコ悪くて使いたくない。」という落ちが
ついた。トホホ・・。
2021.6.28
来春に開設する予定の『看護小規模多機能型居宅介護』事業所の新築工事に先駆け
て、今月から始まった既存建物の解体作業がようやく終了した。


この後は、地面に埋まっている基礎部分をすべて取り除いて、地盤の検査を行い
新築工事の準備へと移っていく。ここまで、天候にも恵まれ、事故なく滞りなく
作業が進んでいることが何より幸いしている。
反対側の道路から商店街の内部が見えることはなかったので、何とも見慣れない
風景が目の前にあった。
この商店街において、解体及び新築工事はおおよそ50年ぶりと聞いている。
今後も事故なく滞りなく作業が進むことを心より願っている。
2021.6.25
『看護小規模多機能型居宅介護』には、様々な役割があると思う。
一つには、治療の目的で病院へ入院した後に、治療は終了して退院できる状態には
なったが、在宅復帰にはまだ療養やリハビリが必要と言った場合である。
この様な状態にある場合は、回復期リハビリテーション病棟や老人保健施設を利用
して在宅復帰を目指すことが多いが、看護小規模多機能型居宅介護も同様の役割を
担う事がある程度できる。
また、同事業所を利用することの最大のメリットは、在宅生活を過ごしながら在宅
復帰を目指せるということである。
それはどういうことかと言うと、病院や施設で行うリハビリはあくまでも施設内で
施設の設備を利用して行うことになる。しかし、自宅で行うリハビリは、これから
の生活で利用する設備そのものを活用して行うため、より実践的な内容となる。
ある程度の療養も必要となれば、通いや泊りサービスも併用して利用することが
できるので、在宅生活を過ごしながら在宅復帰を目指せるのである。
別の役割としては、在宅生活を過ごす方で寝たきり度が高くなった場合である。
この様な状態にある場合は、『外出』が非常に高いハードルとなってくる。外へ
出るための手段が狭まるだけではなく、外出先で長時間滞在することも心身の負担
から難しくなってくることがある。
そのため、利用する介護サービスは訪問系サービスが中心となることが多い。
「入浴するためだけ」とか「外の空気を吸うためだけ」とか「気分転換するため
だけ」といった『ちょっとした外出』を普段訪問サービスとしてかかわってくれて
いる看護スタッフやリハビリスタッフ、介護スタッフが直接対応してくれることが
看護小規模多機能型居宅介護の特徴でもある。
まだまだ魅力的な役割はたくさんあるが、話が長くなってきたので、近いうちに
再度取り上げてみたいと思う。
2021.6.24
訪問看護を運営しているといくつかの課題にぶち当たることがある。
例えば、「入院するほどではないが、1日か2日夜間も含めて看護対応する必要が
あり、できれば訪問看護師が継続してかかわることができればベスト」といった
ニーズに出会った場合などである。
一般的にそういった場合には、病院への入院や介護施設のショートステイを利用
するか、どこへも行かずに何とかして自宅で療養できるように対応する。
病院や介護施設へ行くこととなれば、当然のことながら連続性を担保するために
訪問看護と受け入れ先との間で、必要な連携を行うことになるが、この数日のため
に変更しなければならない事柄(担当者が変わる、滞在場所が変わるなど)は、
事業者に多大な労力を強いるだけではなく、患者やその家族に大きな負担を強いる
ことになってしまう。
また、「終末期に入り、自宅で看取ることを決めていたが予想以上に負担が大きく
望まない形ではあるが、最終的には在宅療養から入院へ切り替えざるを得ない」と
いったニーズに出会った場合などである。
本人の望む形で最期を迎えてほしいとの強い思いを持って在宅療養に踏み切った
ご家族であっても、張り詰めた空気の中で予想以上の期間中ずっと平常心を保つ
ことは難しく、心身共に疲労困憊してしまう。
そんな時に、ホッと一息付ければまだ続けられるということもある。
そこで、保険外の自主事業として「お泊りサービス」の併用を試みる先駆的な
訪問看護事業所がいくつかあったそうだ。
こうした試みが、『看護小規模多機能型居宅介護』の原型と言われている。
こうした先輩たちの情熱や試みには敬意を感じずにはいられない。
当方においても、当ブログで再三ご案内している通り、来春に同事業を開設する
予定でいる。
ご利用者、ご家族にとって「ホッと一息つける」場所にしたいと考えている。
2021.6.23
内部外部を問わず、訪問看護に従事する看護師から話を聞くと共通する話題をよく
耳にすることがある。
その一つは、「病棟に勤務していたころ、入院してきた患者さんが治療を終えて
自宅へ戻った後、どのような生活を過ごしているのか気になっていた。また、同じ
患者さんが再度入院してきた時には、自宅での療養が適切に行われていたのか
疑問に感じることがあった。」
そして、「訪問看護に携わることによって、そういった疑問を解消することができ
たし、自分たちに求められている役割はなんであるかを理解することができた。」
さらに、「そういった役割を深く理解したうえで従事するこの仕事に誇りとやり
がいを強く持つことができるし、面白い仕事だと思う。」
といった内容である。
病院へ入院することの主な目的は『治療』することである。
自宅にいることの主な目的は『生活』することである。
医学的知識や技術をもって、『生活』を支える行為に対して「面白い仕事」と表現
しているとのことであった。
治療に専念する入院中とは勝手が違うため、様々な工夫を要する場面に遭遇したり
治療と生活とを、ある種の天秤にかけながら優先順位を定めて、ご利用者やご家族
と話し合いながら生活基盤を整えていく作業は、やりごたえ満点と言ったところで
あろう。
また、入院中であればほとんどかかわることがない外部の事業者や近隣住民との
連携やかかわりは、知るほどに面白みが増すものである。
あるスタッフは、「主体的に利用者(患者)とかかわっているという実感を持つ
ことができる仕事だ」と言っていたことも印象深い。
『入院治療と在宅療養の連続性や連携がいかに大切であるか』をもっともよく知る
一人が訪問看護師であろうと思う。
こうした訪問看護師に救われた、疾患を持つ在宅生活する方々が数多くいること
だろう。
こんな魅力的な仕事が『従事したい仕事』の上位に来ないことの方がおかしいの
ではないかと思ったりする。
2021.6.22
平成25年5月から『訪問看護:事業所名(訪問看護ステーションみのりの丘)』
の指定を受けて事業を開始(平成31年1月より、NPO法人から株式会社へ事業を
移行)しており、8年が経過した。
この『訪問看護』とは、
病気や障がいを持った方々が住み慣れた地域や自宅でその人らしく療養生活を過ご
すことができるように、医師の指示に基づいて、看護師やリハビリの専門職が生活
の場へ訪問して、必要な看護処置やケア、リハビリテーションを提供するサービス
のことを言う。
長年、在宅介護の現場に携わる中で、「もう少し、在宅で医療的フォローがあれば
望まずして、自宅を離れて病院や施設へ移らずに済んだのに」と苦汁をなめる経験
を幾度もしてきた。
そんな経験から、独立した暁には介護系サービスだけではなく、医療系サービスも
併せて行おうと心に決めていた。
開設から8年が経過して、スタッフも増えて(看護師8名、理学療法士2名、作業
療法士1名、言語聴覚士1名)より多くの方々の支援に携わることができるように
なった。
しかし、ここに至るまでには様々な苦労があった。
その一つは、「必要なスタッフが中々思うように集まらない」ことだった。
聞くところによると、訪問看護は「給与が安い、休みが取れない、仕事がきつい」
といった認識を持っている業界人が多くいるとのことである。
確かに、基準人員ギリギリで運営している事業所は先に挙げた傾向がある。当方の
事業所も立ち上げ当初は同様の状況にあった。
しかしこれは、訪問看護に限ったことではなく、どの業態、業種にも共通すること
であろう。
そして、スタッフがある程度揃うとそういった傾向は全くなくなる。現在の当方の
事業所もそこにあてはまる。
また、「給与が安い」は本当なのだろうかと思い、知人の協力を得て、複数の医療
機関と当方訪問看護事業所との給与の比較検証をしてみた。
すると、年齢や経験年数を同条件とした場合に、月4回程度夜勤勤務をした病棟勤
務の看護師と当方の訪問看護師の平均給与がほぼ同額であることが分かった。
当方の訪問看護師に言わせれば「安くないし、休みはとれるし、やりがいもある」
職場のようである。
私個人の意見としても、これほど魅力があり、やりがいのある仕事はないのでは
ないかと確信している。
実情と異なる誤った先入観を持たずに、訪問看護という事業に身を投じる方が一人
でも多く増えることを心より願っている。
訪問看護の魅力を語ると長くなってしまうので、次回に改めて取り上げてみたい。
2021.6.21
来春に開設する予定の『看護小規模多機能型居宅介護』事業所の新築工事に先駆け
既存建物の解体作業が今月から開始されたことは先日お伝えした。
その作業も順調に進んでおり、この流れで進むと予定より早く新築工事を始める
ことができそうである。


日々、解体の進行状況を確認するために現場を訪れているが、その際には近隣住民
の方々から様々なお声をかけていただいている。
その中には、「新しい事業所が立つことを楽しみにしているよ。」とか「あんた、
頑張ってるねー。これからも地域のために頑張ってね。」といった、涙が出るほど
の温かいものが多くある。
通行や騒音で不便をおかけしているにもかかわらず、ご理解いただくだけではなく
激励までいただくとは・・。感謝です。
これまでも、少しでも地域のお役立てになることを理念として掲げ実践してきたが
より一層、この理念を貫きたいと心に刻む一幕だった。
2021.6.16
先日、江別市より「一定の要件を満たす場合には、居宅サービス事業所等の従業者
も高齢者施設等の従業者に含めて新型コロナウイルスワクチンの優先接種の対象と
する。」との連絡を受けた。
同ウイルスに感染すると命取りになりかねない介護を必要とする高齢者への対応を
している我々としては、「自分たちが感染源となってはいけない」という強い
使命感から、健康管理、手指消毒、外出自粛などを徹底してきた。
そのため、「なぜ、居宅サービス事業所の従業者は高齢者施設の従業者と同様に
優先接種の対象とならないのか」と悶々としていた。
こうした中で、早期対応をしてくださった江別市には感謝を申し上げたい。
しかし、この優先接種は、各市区町村が個別に対応することとなるため、今回の
優先接種の対象となる従業者は、あくまでも江別市民のみとなる。
当方のスタッフの約3割は江別市外に住所を置いているため、今回は対象外となっ
てしまう。
同一法人、同一事業所に身を置きながら、対応が変わってしまうため、管理が難し
くなるし、スタッフにも不便をかけてしまう。
1日でも早く、多くのスタッフにワクチンが行き渡ることを祈りつつ、今回の手続
きを進めたいと思う。
2021.6.14
来春に開設する予定の『看護小規模多機能型居宅介護』事業所の新築工事に先駆け
て、既存建物の解体作業が先週から始まった。


予定では、今月中に解体作業が終了して、来月から基礎工事が始まる。
古き良き商店街の街並みが変わっていくことへの思いと新規事業が始まることへの
期待感が入り混じり感慨深さがある。
事故なく、無事に作業が進むことを心より祈っている。
と感傷に浸っている暇はない。
建築物の入札に係る報告書類の取りまとめ、設備備品に係る入札準備と目白押しの
状況にある。