北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

月別: 2022年5月

北国の海は夏でもけっこう寒い

2022.5.11

先月23日に知床半島の沖合で乗客・乗員26人を乗せた観光船が沈没した事故が

連日報道されている。同事故では多くの尊い命が奪われ、今も多くの方が行方不明

になっている。

亡くなった方へ心よりご冥福をお祈り申し上げたい。

 

そして、連日の報道で沈没した観光船の運航会社が数多くの不適切な管理体制や

対応を行っていたことが明るみになった。

しかし、私が個人的に気になったことは、連日の報道ではあまり取り上げられて

いない『救命いかだ』の存在についてである。

 

海は世界中で繋がっている『同じ海』ではあるが、地域によってその特性は大きく

変わってくる。

北海道の海は、海水浴シーズンであっても10分程度海に入っていると唇が紫色に

変色してしまうほど寒いことが多い。そのため、海水浴と言っても水浴び程度に

留めて、水着しか着ていない状態で本気で泳ぐ人は少ない。

何年か前に沖縄県へ遊びに行ったときは、海水浴シーズンではなかったが、夏の

北海道の海よりも暖かく感じた。

事故当時の水温は2、3℃ということなので、海に投げ出された方々は数分と持た

ずに意識を失ったことだろう。

そのため、連日の報道で指摘されている無線が有効であっても、救命胴衣を着けて

いても、沈没して海に投げ出されてしまえば皆助からなかったことに変わりはなか

ったのではないだろうか。

 

あまり良い例えではないが、この報道を聞いたときに、実際の事故を基に描かれた

映画タイタニックのワンシーンが頭に浮かんだ。氷山があちらこちらにある北の海

で沈没した船から海に投げ出された乗客が木の破片にしがみ付いて救助を待って

いたが、数分もせずに意識を失い海に沈んでいくというシーンがあった。

 

それほど北国の海は寒い。北国の海を侮ってはいけない。

『救命いかだ』がなければ、命は救えない。

暖かい海しか知らない人には、このことがわからないのかもしれない。

アップデートされない車税制度

2022.5.10

私たちの業界では比較的なじみのある制度として、『社会福祉施設に係る自動車税

の課税免除・減免』というものがある。

 

これは、主に障がいをお持ちの方の移動手段として使用する自動車に係る税金を

免除(減免)することを目的とした制度で、要件に当てはまれば自家用車以外にも

医療機関や福祉施設が所有する車両が対象となる。

しかし、身近な諸制度の中でこの制度ほどアップデートが行われていないものは

ないのではないかと思っている。

 

この制度で対象となる福祉系施設には、老人福祉法によるデイサービスは含まれて

いるが介護保険法によるデイサービス(通所介護)は含まれていない。そして、

介護保険法の中で対象とされている施設は、老人保健施設とグループホームしか

ない。

 

現状では、介護保険法によるデイサービス(通所介護)事業を開始する場合であっ

ても、老人福祉法についても開始の届け出を行う必要があるため、両法の指定許可

を受けて事業を開始することになる。

そのため、介護保険法によるデイサービス(通所介護)であってもこの制度の対象

施設になるわけだが、介護保険制度が制定された2000年以降は老人福祉法に

よるデイサービスを単体で運営することはほぼない。

そして、この理屈は特別養護老人ホームにもあてはまる。

つまりは、老人福祉法によって対象施設となっているのに、介護保険法では対象

施設とならないなどということは時代錯誤も甚だしいと言わざるを得ない。

 

また、両法の指定許可を受けた結果として、介護保険法によるデイサービス(通所

介護)が対象施設となっているのに、同等もしくはより重症度の高い方々を送迎し

ている小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護が対象施設となって

いないことへの矛盾についても大いに疑問がある。

 

介護保険制度が制定されてから20年以上の歳月が経過しているが、この制度に

ついては全くアップデートされる気配がない。

「マイナンバー制度は各種制度を横断して対応できる」などと国はアピールして

いるが、中身が全く追い付いていない。

 

車税担当のお役人さん!

介護保険制度が制定されてから20年以上経ってますよ~

実践の結果から生み出された結末

2022.5.6

2024年度に控える次の介護保険制度改正に向けた議論が進む中で、今回の論点

が見えてきた。

①居宅介護支援費(ケアマネジメント費)の自己負担金導入

②要介護1、2の方が利用する通所介護及び訪問介護の総合事業への移行

③自己負担2割となる方の対象年収額の引き下げ

 

当ブログで、①や③については繰り返し見解を述べているので、②について考えて

みたい。

私は、独立前も含めると約20年間ほど通所介護(デイサービス)の事業にかかわ

ってきたのだが、この事業は時代の流れとともに大きく変わった部分もあれば、

ずっと変わらない部分もあると感じている。

 

個人的に「変わらないなぁ」と感じるのは、この事業をご利用される方のニーズで

ある。そのニーズとは、大別すると2通りがあるように思う。

その一つは『ケアを必要としている』で、もう一つは『居場所や拠り所を必要と

している』の2通りである。そして、多くの方がこの両方のニーズを持っている。

 

ただし、通所介護のご利用者の中には、ニーズの大部分が『居場所や拠り所を必要

としている』という場合も少なくはない。そして、そういった方であっても、要支

援や要介護の認定を受けていれば、同サービスの利用が可能となる。(適切にケア

マネジメントが行われているか否かを横に置いておくと)

さらに言うと、『ケア』のニーズがほとんどなく、『居場所』のニーズがほとんど

という方の多くが要支援や要介護1、2という認定を受けている方である。

そのため、上記②のような流れが生まれたのだろう。

 

この様に話をまとめようとすると、「要介護1、2でもケアのニーズがある方だっ

てたくさんいる。このように分類することは乱暴だ。」という方がいる。

確かにその通りなのだが・・。

介護保険制度は、要介護度のランクによって利用できる介護保険サービスの種類や

量が決められている。つまり、この制度はニーズの中身ではなくランクによって

介護保険サービスの利用内容を分類する方法を取っている。

しかしそれだけでは乱暴なので、同制度ではケアマネジャーによるケアマネジメン

トでニーズを細かく掘り下げて、必要な介護保険サービスやインフォーマルな社会

資源を組み合わせて利用することで、困りごとを抱えている方のニーズの充足を

図ろうとしている。

 

『ケア』のニーズであれば、当然介護保険サービスを利用することが妥当だろう。

しかし、面倒だからと言って『ケア以外』のニーズも一緒くたにして介護保険サー

ビス一辺倒の調整をしてしまうと財政的な問題から②のような流れが出来上がる。

 

この様な流れが出来上がるのは、偏に『地域支援事業や活動をおざなりにしてきた

国の姿勢』と『粗末なケアマネジメントをしてきたケアマネジャー』が生み出した

結果であろう。

新型コロナウイルス感染症への対応が軟化?

2022.5.2

世の中は、大型連休真っ最中といったところのようだ。

あいにく国内の天候があまり良くない予報が出ているが、今回は2年ぶりに自粛

規制のない連休となったため、海外や国内旅行を計画している方も多くいらっしゃ

ると聞く。

国も少しずつ、新型コロナウイルスとの向き合い方を考え直しているところだろう

と思うが、そんな矢先に下記の報道を見た。

 

『厚生労働省は4月27日の分科会で、4回目の新型コロナウイルスワクチンの

接種について、その費用を公費で賄う予防接種法上の「特例臨時接種」に位置付け

た。対象は60歳以上の人、18歳以上で基礎疾患がある、または重症化リスクが

高いと医師が判断した人とした。医療従事者や介護従事者も、これに該当しなけれ

ば対象に含まれない。』

 

この内容は要するに、感染により重症化するリスクの高い方のみを手当して、一般

の方でワクチン接種を希望する人は自費で受けてくれということである。

早い話が、インフルエンザ予防接種と同等の扱いに近づけつつあるということだ。

おそらくは、今後の隔離や自宅待機の期間もインフルエンザ感染と同等の扱いに

近づけていくことだろうと思う。

 

こうした動きは、欧米諸国の対応から2、3歩後れを取っていたため、迅速な対応

とはいいがたいが、「ようやく国も重い腰を上げてくれたか」と安堵している。

 

しかし、インフルエンザウイルスに感染して亡くなる方が年間1万人ほどいると

言われている。コロナウイルスであろうとインフルエンザウイルスであろうと感染

すると命を落とす危険性はある。

折角習慣となった感染症対策は今後も生かしていくべきだろう。