北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

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今を生きること

2021.3.12

こう言うことはよく続くと言われるが、全く望まないことが続くと心が滅入って

しまう。昨日は旧友が、今朝は支援を続けてきたご利用者の訃報が入ってきた。

いずれの方も「突然・・」と周囲の方々を呆然とさせるような亡くなり方であった

ため、受け入れるまで時間がかかる。

 

我々は、仕事の性質上、亡くなると言う形でお別れしなければならないことが多く

あるため、他の業種の方々よりも「死」と言うものが身近にあるように思う。

がしかし、こればかりは何度経験しても慣れると言うことはありえない。

なかなか仕事が手につかず、呆然と立ち尽くしてしまうことが度々ある。

 

だからこそ、我々が大切にしていることがある。

そう遠くない将来に死というものが待っている方々に対して、ご本人やご家族と

ともにしっかりと向き合うこと。

そして、そのように向き合うことを通じて、今生きていることを大切にすること。

である。

 

言葉にするのは非常に簡単なことではあるが、単純なようで非常に難しい。

 

本日亡くなられたご利用者のご冥福を心よりお祈り申し上げたい。

旧友に思いを馳せて

2021.3.11

今朝、突然の訃報が入った。

故人となったのは、私が駆け出しの相談援助職だったころに同じ法人で共に働いて

いた同業者であり友人だった。

1歳違いの同職種で、志も似たようなところがあったことも相まって意気投合し、

職場が別々になった後にも年に数回会う程度の付き合いは続いていた。

奇抜なアイデアと並外れた行動力の持ち主で、周囲の人たちを引き付ける魅力を

うらやましく感じていたことが思い起こされる。

 

持病があったとはいえ、あまりにも若くして、あまりにも突然の出来事に呆然と

してしまい、残念で残念でならない。

 

心よりご冥福をお祈り申し上げたい。

 

想像力という能力

2021.3.10

『東日本大震災』が発生して10年の月日が流れた。

大地震が原因で津波や火災が発生し、多くの尊い命が失われた。そして、未だに

発見されず行方不明となっている方や不自由な生活を余儀なくされている方が

大勢いらっしゃる。

さらには、福島第一原子力発電所の被災が自国民に限らず、世界規模にまで影響を

及ぼす事態となった。

 

しかし、人間はおろかな生き物で、自分自身が直接的被害に遭わなければ、どこか

他人事に思えてしまい、時とともに出来事が風化していってしまう。

 

この大災害を契機に『原子力発電』の在り方を見直す動きがあったが、

今では「安定した電力供給には原子力発電の使用は不可避であり、これからも増え

続ける」といった主張の方が主流となってきているように思える。

また、核関連廃棄物の処理を「一万年先のこと」として、どこか他人事で問題を

先送りしている状況がまかり通ってしまっている。

 

かと言って、「原発反対」とプラカードを掲げて反対運動を起こしている方々の

多くが、日々多量の電力を消費している現状を見ると「推進派と同じ穴の狢」と

思えてしまう。

 

高齢者介護に係る政策や財政についても同じようなことが言える。

同政策を優先するあまり、『多数決の原理』で人口全体に対する割合が圧倒的に

少ない若者が冷遇を受け続け、付を払わされることになってくる。

「自分さえ良ければ」という発想で、問題を先送りしたり、自分の身に降りかかっ

てきていない事柄を他人事ととらえ、次世代にその尻拭いをさせるようなことを

続けて、いざ自分自身が支援を必要とする状態となったときに、冷遇されてきた

若者から積極的な支援を受けることができるのだろうか。

 

『想像力』が人類の持つ最大の能力ではないのだろうか。

自分自身に直接降りかかってくるか否かではなく、想像力を働かせて、現在そして

未来にとってより良い世の中を本気で作っていくことが人類に求められていると

思う。

立ち止まってはいられない。

2021.3.8

最近身近なところで、「事業所を閉鎖する。規模を縮小する。」といった話をよく

耳にする。

その中には、規模は小さいがきめ細やかで良質なサービス提供を行っていた事業者

も含まれており、同業者として非常に残念な思いを持っている。

 

きめが細やかで柔軟性にとみ、中立公正が担保された小規模な事業体による介護

保険制度の運用を良しとしていた時代は終わりを告げることになったと言っていい

だろう。

予てから政権の意向の中に『中小企業の統合で大規模化』があり、推進すべく様々

な政策がたてられていたところに、新型コロナウイルス感染症の影響も重なって、

こうした動きは加速度的に進んでいくことだろう。

 

我々にとっても全く他人事ではない。

当方法人の事業規模は、江別市内では丁度中堅クラスといったところで、大きくも

なければ小さくもなく、悪く言うと中途半端な規模である。

 

これから先、我々の目指すべき方向は、『きめの細かさを維持しつつ、規模の拡大

を図る』である。そして、来年と再来年には新規事業の立ち上げも控えている。

 

日頃より支えてくださっている地域の皆さんのためにも、当方サービスをご利用

くださっているご利用者の皆さんのためにも、懸命に職務に従事してくれている

スタッフのためにも、我々は立ち止まってはいられない。

 

介護現場も負担は増えている

2021.3.5

新型コロナウイルス感染症拡大がいまだに治まり切っておらず、医療崩壊が叫ばれ

ている現状の中で

『新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国は重症化リスクを踏まえ介護施設など

で無症状の職員や利用者への集中的な検査を行うよう求めている。こうした中で

厚生労働省は3日、立ち会いが難しい場合は医療職がいない環境下での唾液検体の

採取を認める方針を示した。』

との報道があった。

 

行政保健機関や医療機関は、この先『ワクチン接種とPCR検査』の両輪をフル稼働

させなければならないため、国は同機関の負担軽減を図るために上記の方針を示し

たのだろう。

同感染症で陽性の可能性が高い方のPCR検査は医療機関等で引き続き行い、施設等

にいる陽性の可能性が低い方の同検査は介護現場で実施するということのようで、

一見すると理にかなった方針であるかのように思える。

 

しかし、検体採取には一定程度の知識や技術を要することや要介護状態の高齢者

から採取することの難しさなどを考えた場合に、介護現場にかかる負担は相当重い

と考えられる。

知識や技術が劣っている者が実施するということは、通常よりも多くの時間を要す

るということであり、感染や事故のリスクも高くなるということである。

 

『医療崩壊』は、多くの国民が身近なものと感じやすいかもしれないが、『介護

崩壊』と聞かされてもピンとこない国民も相当数いるように思える。

医療の現場以上にひっ迫しているのが介護の現場ではないかと感じることが多く

ある中でさらなる負担を強いることになりかねない今回の方針は果たして適切な

判断なのだろうか。

訪問を中心にした小規模多機能型居宅介護

2021.3.4

ここのところ、ヘルパー(訪問介護)事業を運営している方々からの悲鳴がよく

聞こえてくる。「人(スタッフ)が集まらない!集めたくても魅力を伝える材料が

少ない!スタッフの高齢化が進んで来ていて長期的な運営が厳しい!」などなど。

 

おそらく、こういった状況は多くのヘルパー(訪問介護)事業所が抱えている課題

なのではなかろうか。

しかし、国もこういった状況を全く知らないわけではないはずなのに、今年4月の

介護報酬改定の内容を見ても、同事業を救済しようという考えは見当たらない。

介護保険制度がスタートした当初は、「ヘルパーあっての介護サービス」ともては

やされ、事実ヘルパーさんたちは懸命に介護保険サービスの下支えを行ってきた。

「いきなり梯子を外された」と感じている事業者も多くいるのではないだろうか。

 

ではなぜ、「梯子を外す」ようなことが起きているのだろうか。

一般的なヘルパー(訪問介護)は、基本的に予め決められた支援内容に対して、

決まった曜日や時間に自宅訪問して支援にあたる。

そのため、ご利用者が認知症状や精神疾患等によって日課や週間のスケジュール

管理が難しいと、適切な支援を有効な形で受けることができなくなってしまう。

また、余暇支援は保険の対象外サービスと位置付けられているため、日常生活の

流れの中で統一した支援を受けにくい側面がある。

さらに、ヘルパー(訪問介護)の最短のサービス提供時間単位が20分となって

いるため、服薬の確認といった数分で完了する支援を単独で組込むことが難しい。

そして、通所系サービスや短期入所系サービスの利用ニーズが発生した場合には

ヘルパーサービスからのつながりや連続性が乏しく、改めてサービス調整を行う

必要が高い。

 

こうした問題は、ヘルパー(訪問介護)事業者が悪いわけではなく、制度設計が

そのようになっているので、ヘルパーさんたちの努力ではどうすることもできない

わけであるが、国もこうした問題を解決しなければならないと考えていて、その

結果として生み出されたのが『小規模多機能型居宅介護』という事業であろう。

 

ところが、当ブログの『小規模多機能型居宅介護の理解』で

国が定義する小規模多機能型居宅介護の「通いを中心に・・」という文言

が同事業の理解を歪めていると思っている。ヘルパー(訪問介護)のニーズがある

からこそ、小規模多機能型居宅介護の能力が如何なく発揮されるのであって、通所

サービスの延長線上にある事業ではない。

つまり、「訪問を中心に・・」と定義したほうが正しいと思っている。

とお伝えしたとおり、

制度設計の担当者が変わるたびに、定義がコロコロと変わってしまう。

 

そういう意味では、今年4月の介護報酬改定で取り上げられる予定になっていた

『小規模多機能型居宅介護で訪問件数が一定以上の事業所を評価うする加算』が

見送られてしまったことは残念でしかたがない。

 

 

未熟なコミュニケーションスキルが起こす悲劇

2021.3.3

ビジネスパーソンにとって『コミュニケーションスキル』は、習得しなければなら

ない必須アイテムの一つではないだろうか。

顧客や取引先、職場内で円滑な人間関係を築き、効率よく有効な業務を進める上で

コミュニケーション技術はとても重要な要素と言える。

そのため、多くのビジネスパーソンは、技術を習得すべく様々な研修や講座を受講

して、スキルアップを図る努力を重ねている。

 

私たちが日ごろかかわっているご利用者の中には、認知症状の進行や言語を含めた

コミュニケーション機能に障がいを持ってしまったために、コミュニケーションを

円滑に行うことが難しい方がいる。

そのため、私たちは高度なコミュニケーションスキルが要求されると考えている。

 

ところが、この業界に身を置いて30年近くたつが、他業種と比較してコミュニ

ケーションスキルが際立って高いとはいいがたい状況にあるように感じている。

営業職が相手の懐に入るために使う『営業トーク』を医療や介護の業界人が意図的

に使う場面をほとんど見たことがない。

また、状況に応じて会話の質や表情、声のトーンを変えるという行為もほとんど

行わず、『一本調子』で対応することが多く、その対応が適切と考えている業界人

がかなりいるようにも思う。

そういった人たちは、「感情をコントロールする」ことと「感情を出さない」こと

の違いを全く理解していないのではないだろうか。

 

さらには、顧客(ご利用者や患者)とのかかわりが長くなると、身内であるかの

ような錯覚に陥って、無用に馴れ馴れしく接する人たちも多くいる。

親子以上の年の差の他人に「タメ口」をたたかれ、時には命令調で言葉を浴びせら

れて喜ぶ人などいるのだろうか。

年がかなり下の傲慢な態度をとる医者と接した時には、「こいつ医師免許がなけれ

ば、叱り飛ばしてやるところだが・・・」などと思うことはよくある。

 

ここのところ何度も耳にする『高齢者施設等で虐待が発生している』原因は、報道

等で取り上げられている「過度なストレスや重労働」よりも、高度なコミュニケー

ションスキルが要求される現場で未熟なコミュニケーションスキルしか持ち合わせ

ていない者が対応することによって起きているのではないかと感じている。

 

私たちの業界に身を置くものこそ、コミュニケーションスキルの向上が重要なので

はないかと常々思っている。

更新認定の有効期間延長

2021.3.2

先日、

『厚生労働省は2月26日、介護保険法の施行規則を新たに改正したと全国の自治体

へ通知した。要介護認定の更新時の有効期間について、上限を4年に延長すること

を盛り込んでいる。』

との報道があった。

 

これまでは、最長で3年間の有効期限となっていた要介護認定の期間がさらに1年

間延長されることになった。(ただし、一定の要件を満たした場合に限られる)

予てから高齢化に伴う認定申請者数の増加で、認定にかかる日数が長期化し、今後

さらに膨らんでいくことが大きな課題となっていた。

今回の改定は、我々にとっても、認定申請した方にとっても喜ばしいことと思う。

 

また、この改定は事務手続きを簡素化して行政の負担を軽減する狙いがあると言わ

れているが、介護現場にいる者から見ても現実的な措置と言える。

介護保険制度がスタートした当初の認定の有効期間は、最短で3ヶ月、最長で1年

間だったと記憶している。

その当時から介護現場にいた私は、「認定時から状態が大きく変わっている場合に

は、認定の有効期間にかかわらず区分変更申請で要介護度の見直しができるのに

何でこんなに短く有効期間を刻むのだろうか」という疑問があった。

 

5、6年おきにこの有効期間が延長されてきており今回は4年間となったが、この

先の有効期間が5年間、6年間と延長されるかもしれない。

それはそれでよいのではないかと思いつつ、あまり長くなってくると更新申請を

忘れてしまうのではないかという別の不安が出てくる。

目まぐるしい年度末において

2021.3.1

早いもので、とうとう決算月の3月に入ってしまった。

ただでさえ決算業務に追われるこの時期に、今年は介護報酬改定に向けた準備と

新規事業立ち上げに向けた準備が重なり、『てんてこ舞い』の状況となっている。

 

そうした状況にはあるが、『ホッと』することもあった。

当方事業の拡大とともにスタッフ数も増えて、通勤自家用車の駐車スペース不足に

悩んでいた。

ところが、先日から依頼していた駐車スペースの賃借を快く承諾してくださった

企業があった。当方事業所の目と鼻の先にある場所であったため、スタッフにも

不便をかけずに十分なスペースを確保することができたことはありがたい以外の

何物でもない。

また、賃借の担当の方が非常に好意的で「困ったときはお互い様ですよ」とまで

おっしゃってくださった。

 

『捨てる神あれば拾う神あり』の年度末の出だしといったところか。

 

札幌トヨペット株式会社様

本当にありがとうございました。

野生のライオンのようなリスクは必要ない

2021.2.16

今年4月の介護報酬改定でメインテーマの一つとなっている『科学的介護』の目玉

商品に『オムツ生活からの脱却』がある。

 

誰しも「不自由生活」より「自由な生活」を望むものであり、理想とする生活を

目指すものである。

車いすを利用せずに、自分の意志で自分の足で行きたい場所へ移動したい。

施設を利用せずに、住み慣れた自宅で気ままに過ごしたい。

気の合う人と会っておしゃべりを楽しみ、好きなものを好きなタイミングで食べ

て、寝たいときに寝て、風呂に入りたいタイミングで入浴したい。

 

こうした当たり前の生活を介護が必要な状態になっても続けることができるように

計画を立てて支援を実践することが我々の務めだ。

そして、こうした計画を立てる場合に我々が念頭に置くことは『自律支援とリスク

軽減』である。

野生のライオンは、自立して生き抜く力をつけるために我が子を崖から突き落とす

という話をよく聞く。困難な状況に置かれた時に打開するための気力・体力・知力

を身に着けるために行うと言われるこの行為であるが、当然のことながら大きな

リスクを伴う。

崖から落ちた時に命を落とすかもしれない。また、崖から這い上がることができず

餓死するかもしれない。

 

筋力やバランス力が著しく低下している方にとって、車いすを使わずに移動する

ことは転倒の大きなリスクとの戦いとなる。

そのため、筋力やバランス力を向上するためのリハビリテーションを実施したり、

時間や場所を限定して車いす以外の手段を使って移動したりできるように計画し

ご本人の意向とリスクのバランスを図ることがある。

 

昨年、『オムツゼロ』を宣言している十数か所の施設を見学した。

多くの施設に共通していたことは、「鼻が曲がるのではないかと思うほどの便臭と

尿臭が施設に充満していた」ことである。

おそらく、それらの施設でオムツを着用している方はいらっしゃらないのだろう。

しかし、失禁していてもタイミングよく交換することができず、しばらくは便や尿

で汚れたままの状態で過ごすこととなり、その匂いが下着から衣類に移り、果てに

は居室全体に広がってしまっているのではないだろうか。

 

介護を必要とする高齢者は野生のライオンではない。

また、きれいな状態で過ごす権利を有している。

 

我々は、『科学的介護』の暴走によって、受けることができるはずの権利すら受け

ることができなくなってしまうようなことがないよう肝に銘じる必要がある。