月: 2022年9月
2022.9.28
『厚生労働省は26日、次の2024年度の介護保険制度改正に向けた協議を進めてい
る審議会が開いた。介護現場の関係者から、要介護1、2の高齢者に対する訪問介護
と通所介護を市町村の総合事業へ移す案について、厳しい批判が相次いだ。』
との報道を見て思うこと。
同会議に出席した介護現場関係者からは、
「要介護1、2の高齢者に専門性の乏しいケアで対応することになり、自立支援の
ケアを劣化させる」、「総合事業へ移行すれば、在宅ケアの質・量を確実に低下
させ、長年築いてきた在宅ケアは著しく後退してしまう」、「過重な介護負担に
起因する高齢者虐待、介護心中、介護殺人などの悲劇をこれ以上増やさないで
欲しい」などの意見が出ていたそうである。
はっきり言って、どの意見も高齢者人口は増え続けて、担い手となる若者の人口が
減り続けている現状を全く加味していない“ただ単に反対しているだけ”の無策な
意見にしか聞こえない。
私たちが今一番深刻に思っていることは、「要介護1、2の高齢者へのケアの劣化」
ではなく、「要介護3、4、5の高齢者へのケアの劣化」である。
そして、上記のような反対意見を押し通すことがあれば、我々の懸念は現実のもの
となってしまう。
同会議に出席した介護現場関係者とは相反する立場と位置付けられる保険料を負担
する現役世代や企業などの立場を代表する委員からは、今後の介護費の伸びを抑制
していく観点から、「重度者への支援に給付を重点化していくべき」、「軽度者へ
のサービスをより効率的な形に変えるべき」などの意見が出ていた。
介護現場関係者よりも真っ当なことを言っており、しっかりと現実が見えている。
批判も反対意見も結構だが、介護現場関係者とやらには“現実的な対案”を示して
もらいたいものだ。財源も人材もどこかから湧き出てくるものではない。
批判するだけなら○○でもできる。
こんな無能な人たちが、介護現場関係の代表者面して公的な会議に出席している
ことに辟易とする。
2022.9.27
先日、互助支援や地域社会福祉などを主な活動としている全国組織(一部海外にも
拠点があるらしい)の江別支部『ナルク江別』の役員の方から「そちらで新しく
開設された看護小規模多機能を当方の広報誌に掲載したいので、詳しく話を聞き
たい。」とのありがたい申し出があり、面談することになった。
同役員は、コロナ禍で休眠中の『大麻地域創造会議』のメンバーでもあり、古く
からお世話になっている馴染みの方でもあって、当方の事業や活動に積極的に興味
を持っていただいている大切な方である。
そんな方であったため、「ある程度のことはご存じかなぁ」くらいの気持ちで面談
にあたっていたが、話を進めていく中で、近年複雑化を極めている介護保険制度や
介護サービス事業は、一般の方々には非常にわかりにくいものになってきている
ことがわかった。
そこで、介護保険制度の基本的なところから説明することとした。
帰りがけに、「このような事業所が身近にあること、そして気軽に相談に乗って
くれたり、色々と教えてくれることは、地域住民にとって非常にありがたいことで
心強い。」とおっしゃってくださった。
その言葉は、「これまでの我々の活動が間違いではなかった」と実感できる、
とてもうれしい一言だった。
こうした何気ない面談を通じて、身近な地域の方々との関係を築き、互いの理解を
深めることの大切さを改めて気づくことができた。
近々、原稿が出来上がるそうで、今から楽しみにしている。
2022.9.26
久しぶりの投稿となる。
特に何かあったわけではないが、何かと忙しくしており、中々投稿できずにいた。
今朝、出勤前に自宅近くのコンビニエンスストアへ立ち寄って、買い物をしていて
フッと思ったことがある。
今となっては当たり前のこととなっている『買い物袋の有料化』についてである。
30年近く前に、「福祉の先進国である北欧で最新の技術や考え方を学ぶ」目的で
北欧の数国を訪れたことがある。
滞在中に立ち寄ったコンビニエンスストア(あちらでどのように呼んでいるのかは
知らないが)で、商品を選んでレジで会計を済ませた後に立って待っていたが、店
員さんが一向に商品を袋詰めしないので不思議に思って問いかけてみたら、「袋い
るのかい?有料だよ!」てな感じで言われてしまった。
訪れた北欧では、福祉以外にもいろいろなことを学ぶことができた。『必要以上に
過剰なサービスをしないこと。環境に配慮していること。』などなど、今の日本に
求められていることそのもののように感じた。
「特別養護老人ホームに係る費用が初めて2兆円を超え、居宅介護支援に係る費用
が初めて5000億円を超えた。」という報道があった。
過剰なサービスは、ある程度裕福な方への対応としては有効であろうが、非効率的
で必要以上に人材や経費が掛かり、結果として弱者を苦しめることになると思う。
介護の必要性が比較的低い方々への手厚い対応や経済的に裕福な方に対しても低負
担な制度は今一度見直した方が良いと考える。
介護の必要性が非常に高い方々へ人材が行き届かなかったり、経済的に裕福では
ない若者に過剰な負担を強いることはなんとしても避けなければならない。
そんな学びの多い北欧だったが、残念ながら町はごみで溢れて汚かった。その点に
関しては我が国に学ぶことが多くあるように思った。
2022.9.12
厚生労働省が今月9日に公表した、2021年の「国民生活基礎調査」によると
65歳以上の単独世帯は742万7000世帯で過去最多となったそうだ。また
同調査は、高齢者の単独世帯のうち、75歳以上の割合は56.9%で、80歳
以上も37.0%を占め、夫婦で暮らす世帯なども含めた高齢者世帯全体は、15
06万2000世帯、国内の全世帯に占める割合も29%まで上がり、こちらも
過去最高を更新しているとの内容も合わせて公表した。
これは、高齢者人口が増えているから、「こういった数値が増えることは必然」と
単純に結論付けてしまう話ではないように思う。
人口の増加以上に単独世帯の高齢者が増えている理由には、『既婚歴がない、子供
がいない、兄弟がいない、子供との同居の減少』などの社会的変化が要因となって
いる。こうした状況から、「身内の支援を受けることが難しい要援護高齢者が急増
する」ことが予想される。
そうした時のために社会保障制度があり、社会保険サービスがあるわけだが、制度
そしてマンパワー上の限界があり、解決しなければならない社会的な課題がいくつ
もある。
その課題の一つは、『病院受診の送迎や同席』である。
長年、家族の役割とされてきたこの行為も家族がいるいないによって、状況が大き
く変わってきてしまう。この行為を第三者に依頼するとしても、クリアしなければ
ならない課題が山積している。
指定の許可を受けることで、指定の訪問介護事業者などが自家用車による有償の
運送ができることとはなっているが、現状では補足事業としてはありえても、メイ
ンの事業として運用することは難しいことから、どれほど多くの企業が参入するの
だろうかと思ってしまう。
また、病院受診の送迎だけではなく診察場面への同席も含めた支援となると、半日
作業となってしまうため、マンパワーが不足している事業者にとっては、対応に
苦慮する支援内容となる。
また、以前当ブログでも取り上げた『医療侵襲(しんしゅう)行為の同意』もその
一つである。
医療行為としての侵襲とは、手術などによって体を切ったり、薬剤投与によって
体になんらかの変化をもたらす行為などを指す。
一般的には、生命維持の危機を回避するために体に何らかのダメージを与える危険
を伴う治療が施されるため、例外はあるものの本人の同意に基づくことが原則と
なる。
そのため、認知症状などによって同意に必要な判断能力が十分にはなく、本人の
代弁者となる家族がいない場合には、必要な医療行為が受けられなくなる場合が
発生してしまう。
例え親身になってかかわってくれているケアマネジャーや介護サービス事業者で
あってもこのことについては、手も足も出すことができない。そして、残念ながら
法制度上、家族以外で同意権を有する者はいないことになっているため、家族が
いないことが大きなハンデとなってしまう。
これから先の数十年は、高齢者の単独世帯の人数も全体に占める割合も益々増える
傾向にある。そのため、(対応できる)家族がほとんどいない方でも、不自由なく
生活を営むために必要な支援を受けることができるような法整備や規制緩和が急務
となっている。
2022.9.7
来月、10月1日から後期高齢者の医療費自己負担割合が一部改正される。
現行1割負担の方のうち、課税所得が28万円以上で、年金を含む年間所得が単身
世帯なら200万円以上、複数世帯320万円以上の方は自己負担割合が2割へ
変更となる。
対象となる方からは、「年金金額は上がらないし、物価は上がりっぱなしなの
に、さらに負担が増えるのか!」との怒りの声が聞こえてきそうな改定である。
「生命や生活にかかわる支援が必要となった場合には皆で支え合おう」という理念
に基づいた社会保険サービスの性質上、自分自身がサービスを利用していなくても
一定の社会的負担が発生する。そしてその負担額は、社会保険サービスを利用する
方が増えれば増えるほど増額されていく。
つまり、医療機関をよく利用する高齢者が増えると現役世代の負担が増えるという
仕組みになっている。
そういった意味合いから、病院のお世話になることがあまりない現役世代からは、
「給与は上がらないし、物価は上がりっぱなしで、自分はほどんど利用していない
医療サービスなのに保険料が増える一方だ!」との怒りの声が聞こえてきそうだ。
負担が増えて喜ぶ人はそうはいないだろうが、何事においても“バランス”が大事で
ある。今は明らかに『現役世代が不利で高齢者世代が有利』の状況が続いている。
現役世代にのしかかる度重なる負担増と比較した場合、医療費の自己負担2割は
さほど大きな負担増とは言えないような気がする。
2022.9.6
4年前の今日、『胆振東部地震』が発生した。
この地震では、1000名近い死者負傷者、15000棟近い家屋被害、そして
電気や水道などのライフラインが断裂するなど甚大な被害を受けた。
今思えば、真夜中で不意を突かれたこともあり、その際の対応で適切とはいいがた
い動きが沢山あったように思う。
また、備品の準備も十分とは言えず「あれがないこれがない」という思いがあった
と記憶している。真夏や真冬ではなかったことが幸いしたが、季節が違えば準備
不足が命取りになっていたかもしれないと思うと背筋が凍る思いがこみ上げる。
そして私たちは、この震災で「地震はいつどこで起こるかわからないし、どれほど
の被害を受けることになるのかもわからない。だから、日々の備えが重要だ。」と
いうことを学んだ。
しかし、年月が経過するとどうしてもそういった意識が薄くなってきてしまう。
また、新型コロナウイルス感染症の大流行といった別の備えなければならないこと
が発生してしまうとなおさらだ。
残念ながら、自然災害は「今忙しそうだからやめてあげる」とは言ってくれない。
せめて今日一日は、防災に対する意識を高く保ち、職場や自宅の点検しようと
考えている。
来月には、自主防災訓練を予定している。今一度、備蓄品や防災道具を点検して
いつ来るかわからない災害に備えたいと思う。
2022.9.1
我々がサービス提供に見合った報酬を得るためには、ご利用者負担分を請求し徴収
するとともに、介護報酬を保険者に請求する必要がある。
その請求方法は、インターネット回線を利用して伝送請求ができるシステムが採ら
れているが、請求初回月や伝送が困難な状況にある場合等は、CD-Rにデータを
保存して提出することが求められる。
今どき、CD-Rを使ってデータ保存をしている企業などほぼない。そのため、空の
CD-Rを保有していない企業は、わざわざCD-Rを買わなければ求められる請求行為
ができない。しかし、一定の役割を終えているCD-Rはあまり多く市場に出回って
いないため、買い求めるにも一苦労であり1枚単位で販売していないため、不必要
な枚数を購入しなければならない羽目になることも多くある。
それでも今はまだましな方である。
もう少し前のCD-Rではなく、フロッピーデスクにデータを保存して提出すること
が求められていたころは悲惨だった。フロッピーディスクが一定の役割をとうに
終えていたため、一般的に市販されているPCにはフロッピーディスクの挿入口が
なかった。そのため、求められる請求行為を実行するためにフロッピーディスクが
挿入できる付属機器をわざわざ購入しなければならなかった。
先日の河野デジタル大臣の発言にある「行政に(書類などを)提出する際にいまだ
にフロッピーディスクで提出をしろと。今頃フロッピーどこで買えるんだというの
もあると思うが、こういうものは早期に見直しする」の通りのことが現実に行われ
ている。
日本の行政機関は、デジタルにかかわる分野において、一般の民間企業より20年
以上後れを取っている。
厚生労働省は、「介護業界のIT推進や生産性の向上」を声高らかに謡っている。
まるで自分たちがけん引役となるかのように振舞っているが、20年以上後れを
取っている者たちの“どの口がいっている”のやら。案の定、前回の介護報酬改定で
制定された『LIFE(科学的介護情報システム)』は悲劇的なほど機能していない。
これでは、『幼稚園児が大学生に勉強を教える』くらい粗末なことである。
日本の行政機関は、自分達が民間の我々の足を引っ張り、生産性の向上を阻害して
いるという自覚がまるでない。
『せめて“大学生レベル”になってから勉強を教えてもらいたい』ものである。