在宅生活を支える現場の中で「医療優先!」と声高らかに叫ぶ医療従事者がいる。
しかし、在宅生活を過ごす方々にとって、『生活』以外に優先されることはない。
当然、生活を維持する上で、同時に対応することが難しい事柄に順位を付けて
一つずつ対応することはある。
医療は、生活を支える重要な要素ではあるが、あくまでも生活を構成する要素の
一つでしかなく、すべての場面において順位の1番が医療ではない。
残念ながら、そういった理解が薄く、宛ら病院における入院治療を在宅で展開する
かのごとく、治療や処置を押しつけがましく提供してくる医療従事者が多くいる。
一昔前から、入院中の患者への対応についても、『生活を無視した治療』が大きな
社会問題となっていた。「病気を治すことが我々の使命だ!」といって、手術や
治療を施したはいいが、退院しても在宅生活を過ごすことができず、病院や施設を
たらい回しにされる方を数多く見てきた。
そうした状況から、医療機関においても『QOL(Quality of life)』を意識した
治療方針の重要性が説かれるようになった。
にもかかわらず、時代錯誤の「医療優先!」という呪文を繰り返し唱える医療
従事者には、「病気を見る前に生活を見ろ!」と言ってやりたい。