月別: 2021年8月
2021.8.30
厚生労働省は来年度から『介護現場で周辺業務を行い専門職らをサポートする「介護助手」の人材確保』に向けた新事業を始める計画だ。
都道府県が福祉人材センターへ「介護助手等普及推進員(仮称)」を配置した際に、人件費などを補助していく。そのために必要な経費として、来年度予算の概算要求に3億円を盛り込んだ。当面は都道府県ごとに1人以上の推進員の配置を目指す。
今後、厚労省は推進員の詳しい要件を詰めていく。社会保険労務士や経営者らを想定。制度を熟知している人、介護現場のマネジメント経験のある人などを登用したいという。
との報道を見て思うこと。
高齢者介護の現場は、他の業界と同様に慢性的な人材不足の状況にある。
そうした状況下で今回の『新事業』が計画されることになったようだ。
しかし、同計画に対する私の率直な感想としては、「また、天下り場所の新設と
その資金の調達手段を作りやがったな」である。
その推進員とやらを将来どの程度人員を増やしていくのか知らないが、都道府県に
1人以上って、馬鹿にしているのか?
各都道府県には介護現場がいくつあるのか厚生労働省は把握しているはずである。
そしてその数は10や20ではない。三桁足りない。
1人で何ができるというのだろう。
そもそも、新事業化するまでもなく、福祉人材センターや社会福祉協議会、福祉
事務所などには従来そういった役割があったはずである。
制度の問題か、組織の問題か、人の問題かまたその全てかは定かではないが、長年
多くの地域でそういった機関がうまく機能していなかった。
新しく看板を立てて、人を1人配置したところで何かが変わるとは到底思えない。
会社と人、人と人を結びつける仕事は行政機関にはできない。厳粛な要件を定めて
民間へ依頼したほうがよほど成果を上げるだろう。
かと言って、人材紹介会社などの好き勝手にさせることだけは勘弁してほしい。
そうしてしまうと、いよいよ高齢者介護業界の崩壊が始まってしまう。
それにしても『社会保険労務士』って、介護現場に係る制度に熟知していて、介護
現場のマネジメント経験がある人だっけ?
私の知る限りではあるが、そんな人見たことがない。
2021.8.25
本日待ちに待っていた、『建築確認済証』がようやく交付された。
来春開設予定の看護小規模多機能型居宅介護(ナーシングホームみのりの丘)の
新築工事建設許可がようやく受諾された。
同確認済証発行にあたって、何箇所か建築内容を変更しなければならなくなった
ため、この後事業者と変更箇所や実施内容についての打ち合わせが行われる。
順当にことが運べば、来週から基礎工事を開始することができそうである。
それにしても、通常は最長35日で発行されるはずの同確認済証が50日も
かかったことには驚いた。長かったなぁ~
長いと言えば、コロナ渦における『自粛』である。
ここのところ、新規感染者が各地で急増しており、十分な医療を受けることができ
ず、亡くなってしまった方が増えている状況にある。
こうした状況を受けて、本日の政府決定で北海道を含めた8道県に対しても、今月
27日から来月の12日まで緊急事態宣言が発令されることになっている。
こちらは、50日どころか1年半以上この状況が続いており、今後も改善する目途
が全く立っていない。
これだけ長い期間『我慢』を強いられると世の中全体がギスギスしてくる。
「悪者探し」、「弱い者いじめ」、「出る杭を徹底的にたたく」などなど
「こうした状況下にある時こそ冷静に」と思うが、中々難しい・・。
2021.8.23
『介護保険の地域密着型サービスの運営基準を見直す省令が今月26日に施行される。小規模多機能の登録定員・利用定員の弾力的な運用を認めるもので、厚生労働省は全国の自治体へ19日に通知を発出した。
小多機の定員基準はこれまで、全国一律で必ず適合しなければならない「従うべき基準」と位置付けられてきた。厚労省は今回、これを「標準基準」へ変更。相応の理由があって妥当性を説明できるのであれば、自治体が地域の実情に応じた独自基準を条例で定められるように緩和した。
事業所の登録定員が29人まで、”通い”が登録定員の半数から18人まで、”泊まり”が通い定員の3分の1から9人まで、などと明確に決められている。
今年度の介護報酬改定をめぐる議論のプロセスで、こうした方針が昨年末に固められていた経緯がある。過疎地の自治体の関係者などから、「定員の上限があるため利用者のニーズに応えられない」「利便性の観点からより柔軟な運用を可能として欲しい」などの要望が寄せられていた。』
との報道を見て思うこと。
当方も運営している『小規模多機能型居宅介護』事業であるが、同事業の開設準備
段階から疑問に思っていたことがあった。
それは、「通いサービスの定員」についてである。
現行では上記の報道のとおり、29名の登録定員に対して1日の通いサービス定員
は18名までとなっているが、同事業が制度化された当初の1日に受け入れること
ができる通いサービスの定員の考え方は、「登録定員の半数」というものだった。
おそらくは、制度設計の段階で「通いのサービスは、1人が1日おきに利用する
だろう。だから定員は登録定員の半数にする。」との想定で作られたのではなか
ろうか。もしも、このような想定で定員数を決めていたとすると高齢者介護の現状
を全く理解していない人が作ったものだと思う。
多機能な介護サービスを必要としている方々の『訪問と通所』の利用頻度は非常に
高い。同居しているご家族の介護力や諸事情などもあって、毎日訪問サービスを
利用し、週5日以上通いサービスを利用されているという方は非常に多い。
29名の登録定員×5日通いサービス利用÷1週間(7日)=20.7
この数字が1日の通いサービス利用者の平均値となる。
つまりは、この計算で行くと毎日3名の方が通いサービスを利用することができ
ないということになってしまう。
そのため、事業所側はどうするかというと、通いサービスの利用頻度が高いご利用
者を受け入れた後は、利用頻度が低いご利用者を受け入れて平均値を下げようと
したり、「定員オーバーするから」という理由でニーズがあるにもかかわらず通い
サービスの利用頻度を制限するといった、本意ではない形でご利用希望者を選り
好みしたり、本質的なケアマネージメントとは異なる調整を強いられたりするの
である。
「なぜ、適切な通いサービス提供に必要な面積基準をクリアしていれば、定員は
事業所の裁量で決められないのか?」と長年疑問を抱いていた。
今回発出された運営基準の見直しが、『コロナ渦』あるいは『地域特性』における
特例ではなく、通常の流れとして取り決めされることを強く願うものである。
2021.8.18
2018年度(平成30年度)より社会福祉士の国家資格取得を目指す大学生の
実習を受け入れており、今週から市内の大学に在学中の4名が来ている。
昨年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で実習そのものを延期あるいは中止と
した大学や専門学校が多くあったため、当方の受け入れもなかった。
この実習の主な目的は、
実習生が事前に準備した『実習の課題』について現場の経験を通じて明確化あるい
は解決していくことにあり、大学で学んだ社会福祉にかかる課題や取組みをより
具体的にイメージ化することにある。
教室の中だけでは見つけにくい、支援を必要とする方々を取り巻く社会環境の実情
や課題をたくさん吸収していただきたいと願っている。
これから約1か月間、当方が運営するデイサービスや小規模多機能型居宅介護事業
所の現場に入って、多くのことを学んでいただくこととなっている。


将来、この中から数多くの方々が高齢者介護の現場に就職してくれることを心より
願っている。
2021.8.17
『厚生労働省は13日、都道府県ごとに決める2021年度の地域別最低賃金の改定額を公表した。人口を加味した全国平均額は28円増の時給930円で、山形や島根など7県は国の中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)が示した引き上げ目安額28円を1~4円上回った。残り40都道府県は目安額通りの改定。10月から適用する。目安制度が始まった1978年度以降で、最大の引き上げ幅となった。』
ちなみに北海道の最低賃金は“861円から889円へ”変更となった。
との報道を見て思うこと
労働者にとって、賃金が上がることは喜ばしいことだろう。
首都圏では1000円台を突破した地域もあり、初めて全ての都道府県で800円
台を突破した。
しかしこれ、単純に喜べることなのだろうか。
国内の99%は、中小零細企業である。
人件費が急激に上がる一方で新型コロナウイルスなどの影響を受けて、営業自粛や
縮小している事業者も数多くいらっしゃる。当然のことながら、売り上げが落ち
込むことになれば、倒産の危機が迫る死活問題になる。
そうなるわけにはいかないので、
中小零細企業の経営者の多くは、人件費を抑えつつ生産性を上げるために
①スキルの低い新規採用(新卒も含め)を控え、スキルを持つ者を重用
②ボランタリーな人材、安価に使えるスキルを持つ高齢者を採用
という思考を持つことだろうと思う。
その結果として、キャリアの少ない若者や資格を持たず学歴の低い者たちがあおり
を受け、求職にアドバンテージを持つ強者のみが勝ち組になってしまう。
野党の政治家が中心となって、「賃金格差の是正!最低賃金の大幅引き上げ!
雇用の拡大!低所得者の救済!」を声高らかに訴えているが少しずれている。
また、立場が弱いのは、労働者だけではない。
中小零細企業も決して強い立場にはない。
中小零細企業を追い込めば、自ずと労働者がダメージを受けることになる。
結果として、賃金格差はさらに広がり、低所得者はさらに冷遇される。
最低賃金を大幅に引き上げる場合には、中小零細企業の救済施策を同時に行わ
なければ片手落ちとなってしまう。
こんな単純なこともわからない政治家って・・・。
2021.8.13
今日からお盆休みという方も多くいらっしゃるのではないだろうか。
日々の生活に忙殺されてご先祖の供養をできていないが、この時期だけはお墓参り
に出向こうと考えている方も少なくないと思う。
私もその一人で、混雑を避けて一足先に先日お墓参りに行ってきた。
が、お墓に到着して仰天した。
「うわぁぁぁぁぁ~、お墓の横の灯篭みたいなやつ(正式名称が分からない)が
壊れている~」

慌てて親族へ連絡して、修理することとなった。
なんだか罰当たりな気がしたのでいつもより入念に掃除と挨拶をして帰ってきた。
今年の夏は暑い日が続いたが、「これから少しずつ涼しくなってくるのかなぁ」
などと物思いにふけりながら家路へ向かった。
これから、当方のスタッフも交代でお盆休みを取ることになるが、お墓が遠方と
いう方もいらっしゃるようである。くれぐれも事故など無いように気を付けて
行ってきてもらいたい。
2021.8.12
先週、東京オリンピックが閉幕し、来週からパラリンピックが開催される。
オリンピックでは、過去最多のメダル数獲得とか、兄妹同日金メダルとか、最年少
金メダル獲得などなど話題に事欠かない大会となったようだ。この後に続く、
パラリンピックに出場予定の選手の皆さんにも大いに刺激になったことだろう。
『過去最多』といえば、新型コロナウイルス感染者数も記録を更新し続けている。
昨日の東京都の同感染者数は4,200人にも上っている。
この様を見て、ついこの間までオリンピック競技を連日取り上げて大盛り上がり
を示していたマスコミ各社が、お得意の手のひら返しで「オリンピックのせいで
感染者が拡大した!」と大騒ぎしている。
と思いきや、全国高校野球選手権(俗にいう甲子園)の熱戦を連日報道している。
傍から見ていると、『滑稽な存在』と思えるマスコミ各社であるが、当事者には
その自覚があるのだろうかと思ってしまう。
ただし、昨今の同感染症拡大については、私も再三申し上げていることを繰り返し
伝えたい。同感染症拡大は、緊急事態宣言下にあって、飲食店が軒並み営業を自粛
あるいは閉店している最中に起きている。
改めてもう一度言うが、「飲食業の営業規制は同感染拡大防止に役立たない」ので
ある。
『弱者を見せしめのようにイジメる』これが、この国の政治や行政にかかわる者
たちの本質であろうと思う。
こんなことが許されて本当に良いのだろうか。
2021.8.5
『3月8日実施の介護支援専門員実務研修受講試験の受験者数を厚生労働省が公表し、47都道府県の受験者数は4万918人。過去最少の4万9312人だった昨年度から更に17.0%、8394人少なくなった。
ケアマネ試験をめぐっては昨年度、受験者数が急減して業界に衝撃が走った経緯がある。2級ヘルパーなどを除外した受験資格の厳格化も一因だが、「割りに合わない」とみなす人が増加したと指摘する声も少なくない。 ケアマネは求められる役割や研修が多く非常に大変だ。介護報酬の「処遇改善加算」の対象にも含まれておらず、給与面ではベテラン介護福祉士らに追いつかれつつある。』
との報道を見て思うこと。
近年、高齢者人口が爆発的に増え、それに伴って要援護高齢者も急増している。
そうした中で、高齢者介護サービスの人員不足は深刻化してきている。それと同様
にケアマネジャーの人員不足も否めない状況下にあるため、上記の報道は非常に
由々しき問題となる。
また、介護保険制度が開始されて間もないころは、ケアマネジャー1人あたりが
担当することができるご利用者の上限件数といったルールはなかったため、多くの
ご利用者を担当していたケアマネジャーであれば100件以上受け持ちがあった。
現在は、ケアマネジャー1人あたりが40件以上受け持ちのご利用者がいると減額
される仕組みになっているので、『100件以上受け持ち』というケアマネジャー
はほぼ皆無であろう。
そのため、ルール化以降はより多くのケアマネジャーが必要となっていた。
介護員と同様にケアマネジャーについても、国にはその仕事に従事している人たち
の身分を引き上げ、『誇りとやりがい』が増すことによって資格取得や職務につく
ことを目指す人を増やしていく施策が求められる。
ただし、資格取得や職務につくことへのハードルを下げて人員を増やそうとする
考え方には断固反対したい。
そうすることによって、明らかに興味がない方や適性を著しく欠く方がケアマネ
ジャーの職務に就く状況が急増することになりかねないし、結果として被害をこう
むるのはご利用者やご家族である。
もっとも、昨年度の試験は全国で円滑に行われたとは決して言えず、 台風19号や
新型コロナウイルスの感染拡大が影響して、試験の中止や再試験を決行せざるを
得ない状況が続き、こうした混乱を受けて受験を見送った人がいるとみられる。
いずれにしても、質を担保しつつ量を増やすということは難題である。
2021.8.4
来春開設予定の看護小規模多機能型居宅介護(ナーシングホームみのりの丘)の
建設予定地で地鎮祭を執り行い、「さぁ~いよいよ着工」とブログでお知らせ
したいところであるが、今は『建築確認済証』の交付を今か今かと待っている
ところである。
『建築確認』とは、家などの建築工事をする前に建物や地盤が建築基準法に適合
しているか確認することで、自治体や自治体から指定を受けている民間の検査機関
が手続きを行い、申請から交付までには最長35日かかると言われている。
ただし、よほど複雑な建築物や地盤でなければ3週間程度で交付されることが一般
的のようである。
先月初旬に同申請をしているので、そろそろ交付されてもよいころ合いのはずで
あるが、どうやら新型コロナウイルス感染症対策にかかる『ウッドショック』の
影響で駆け込み申請が重なり、同書類審査に時間を要しているらしい。
新型コロナウイルス感染症は様々な分野に大きな影響を与えている。
同感染症が1日でも早く収束すること、そして建築確認済証の交付も1日でも早く
届くことを心の底から願っている。
2021.8.3
『厚生労働省は30日、最新の2020年の「簡易生命表」を公表した。男女ともに平均寿命が過去最長を更新したことが明らかになった。男性の平均寿命は81.64年、女性は87.74年。前年と比べて男性は0.22年、女性は0.30年伸び、これまでで最も長くなった。延伸はそれぞれ9年連続。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大や自殺で亡くなる人が増えたが、全体の平均寿命の伸びは継続した。医療技術の向上や健康意識の高まりが大きな要因。厚労省は「肺炎やがん、心疾患などの死亡率の低下が寄与した」と分析している。厚労省が把握している国、地域の平均寿命との比較をみると、男性は香港、スイスに次ぐ3位、女性は香港に次ぐ2位。日本は引き続き世界トップレベルを維持している。』
との報道を見て思うこと。
人間の英知によって人の寿命が伸び続けており、様々な可能性を秘めている。
私は職務上、高齢者とかかわることが多くあるため、近年になって平均寿命が益々
延びてきていることを実感する。
また、我々としては平均寿命を延ばすだけではなく、健康寿命の延伸に寄与したい
との思いを強く持って、これまでの活動を続けているし今後も継続したいと思う。
私見ではあるが、一昔前と比較すると今の70代、80代の方々は非常にお元気な
方が多くいらっしゃるように思う。
当方の施設には、もうすぐ80歳になるスタッフが現役バリバリで職務に従事して
いる。同スタッフは、若手スタッフに対して人生経験や知識を伝える重要な存在で
あるばかりか、「幾つになっても、その気になれば働くことができる」という励み
や目標となる存在でもある。
また、ご利用者にとっても、同じ時代を生きてきた人としての親近感があり、安心
して身をゆだねることができる存在でもある。
これから先の活躍を心から願っている。
ところで、香港が男女とも長寿1位の国とは知らなかった。