月: 2024年3月
2024.3.27
介護保険サービスにおける通所系サービスでは、ご利用者とスタッフの共同で展示
を目的とした創作を行うことが頻繁にある。
江別市内で事業を運営する通所系サービスで組織されている『江別市通所系事業所
連絡会(かよい)』では、「せっかく心を込めて作成した展示品を自事業所でのみ
展示するのではなく、広く一般の方々にも知ってもらいたい。そして作品を通じて
事業所の取組の理解を深めたい。」との趣旨で公民館をお借りして『合同作品展』
を毎年開催している。
当方が運営する複数の事業所も同作品展に出展しており、今年は3事業所が作品を
展示させていただくことになった。
そして、「せっかく展示していただいているのだから、みんなで見に行こう!」と
いうことで、ご利用者と一緒に作品展にお邪魔してきた。
そこに飾られていた展示作品は、趣向を凝らした作品や色鮮やかな作品など目を
見張るものばかりであった。
ただ、そこは”身内びいき”をいかんなく発揮して、「やっぱり自分のところの作品
が一番いいなぁ」などとつぶやきながら、作品展を楽しむことができた。
是非、来年も出展したいし見に行きたい。
担当役員の皆さん、ありがとうございました。
2024.3.14
次期介護報酬改定において、
世の中の当然の流れとして『(労働)生産性向上』の言葉が散りばめられている。
ご存知の方も多いこととは思うが「労働生産性とは労働者1人当たりまたは1時間
当たりに生産できる成果を数値化したもの。」である。
介護保険サービス事業は、一人の労働者が、大量の製品を生産することができた
り、在庫を抱えることができる製造業や不動産業とは違って、人手がかかるし在庫
を抱えることが難しい(不可能)なため、生産性が低い業種と言われている。
そんな業界にあって、さらに生産性を低下させている『悪しき慣習』が、ごく当た
り前のこととして取り扱われていることに大いに疑問を抱いている。
それは、「お試し(デモ)利用」である。
お試し(デモ)利用は、要援護のニーズは明確にあるものの、そのサービスや商品
あるいは事業所を利用するかどうかを決めかねている場合などによく用いられる。
そしてそのサービスや商品の提供は、保険適応をしない完全無償が一般的となって
いる。
このお試し(デモ)利用は、「サービスについて不安を持っている、あるいはよく
分からないという利用者に対し、実際に体験する機会を持っていただくという意義
がある」と最もらしい理由をつけて肯定され続けている。
一消費者でもある私も、「初回無料」とか「初回月半額」といったキャンペーンを
打って出る商品やサービスがあることは承知している。しかし、営利企業にあって
価格を自ら設定することができる商品やサービスについては、無料とか半額を取り
戻すことができるように本体価格を設定しているにすぎない営利戦略である。
一方で介護保険サービス事業は、介護報酬を自ら設定することはできないばかりか
無償のお試し(デモ)利用を含めた報酬単位の設定にはなっていない、文字通りの
ただ働きである。
それから、無償のお試し(デモ)利用であっても、介護保険を適応させて通常通り
に利用している方と全く同じサービスや商品を提供するため、当然のことながら
介護サービス事業所のスタッフは、介護保険を適応させて通常通りに利用している
方と全く同じサービスや商品を同じような対応で提供することになる。
あえて言えば、介護保険の適応としないため、より気を使わなければならないこと
を完全無償で生産性を引き下げてまで、人材が足りていないと叫んでいる状況下で
行わなければならないのである。
さらに言えば、介護保険法では禁じられている「不当な割引」に該当しない理由も
無償のお試し(デモ)利用を経ずに介護保険を適応させて通常通りに利用している
方との公平性が担保されている理由もどれだけ屁理屈をこねても見えてこない。
無償のお試し(デモ)利用を多投する地域包括支援センター職員やケアマネジャー
の中には、「私は不安を持っているご利用者のよき理解者」と自画自賛していたり
「お試し(デモ)利用の対応ができない事業所はサービスの質が低い」といい半ば
強制的にお試し(デモ)利用の対応をごり押ししてくる人がいたりする。
極端な人は、同一のサービスや商品に対して、5か所(品目)以上のお試し
(デモ)利用を繰り返したりする。そこまでいくと、ご利用者に決断力(判断力)
が欠けているのではなく、援助者側の提案力が著しく欠けていると言わざるを得な
く、振り回されるご利用者もたまったものではない。
「ご利用者の持っている不安を解消や軽減するための提案力やアセスメント力が
欠けていて、結果としてサービスや商品、事業所を選定することができず、その
しわ寄せをサービス提供事業所に背負わせている」現象をお試し(デモ)利用と
呼ぶのではないかとさえ思える。
こうした現象が介護業界の生産性の低下を生み出していると強く訴えたい。
2024.3.13
会社などの一般社会においては、
何かのトラブルや事故が発生した場合に、「なぜそのようなことが起きたのか」を
検証することが日常的に行われる。そして、その検証結果を受けて同じことが繰り
返されないように対策を講じるものである。
こうした検証は、我々介護業界においても重大な事故を未然に防ぐことやサービス
の質の向上を目的として頻繁に用いられる手法である。
しかし身近なところで、「それって検証したことになるのか?」と疑問を持ち
たくなるような稚拙な検証が行われている場面が多くあるように感じている。
例えば、歩行機能の問題を抱えていない人が道で転倒してしまった時に「どうして
転んでしまったのか?」との問いに「道に石が落ちていたから」と答えたとすると
今後の対策を講じるには十分とはいいがたい検証結果と言える。
転倒した人が答えた通りに検証した結果を総括すると、「その人は石に躓いてしま
うので、転倒を防ぐためには、石が落ちていない道を選んで歩行する」ということ
になるが、この検証結果は現実的とは言えない。
石一つ落ちていない道がこの世に存在するのかというと中々そんな道はないだろう
し、その人が歩く直前に石を拾っておいてくれる人がいるわけでもない。
そもそも「石を避けて通る能力があるにもかかわらず、なぜ避けなかったのか?」
という新たな疑問がわいてくる。
つまり、事故の原因究明に必要な検証が十分に行われていないということである。
その転倒した人は、常に石に躓いているわけではなかろう。落ちている石に躓き
続けているようではおちおち道を歩いてもいられないし、「転倒するから道は歩か
ない」などと言う誤った判断に陥る危険性もある。
実際には、転倒した時に「いつもとは違う何か」が同時に起きてしまったために
「石に注意が向かなかった」、「石に気が付いてはいたが避けきれなかった」こと
が大きな原因であろう。
とすると、「いつもとは違う何か」とは何であったのか。そして、「いつもとは
違う何か」がなぜ起きたのかを検証することが求められることになる。
このことは、ケアマネジメントにおいても同じようなことが言える。
転倒したことがある要援護者に対して「筋力の低下が原因だからリハビリをすると
転倒の危険性を解消することができる」との短絡的なケアプランを目にするたびに
ウンザリさせられる。
かりにそのケアマネジャーの見立て通り、筋力の低下が転倒の原因であるなら、
その要援護者は常に転倒していることになる。なぜなら、数日で筋力の低下を解消
することは不可能だからである。
日常的にそして頻繁に転倒している人であっても、筋力低下だけが転倒の原因と
なることはほぼないし、数年に一度しか転倒していない人であれば筋力低下だけが
その原因となるなどはあり得ない。
転倒はその他の原因と相まって起きている。
先日当ブログで「ケアマネジャー不足の対策として、専門性が高い業務に相応しい
介護報酬の確保」を訴えたが、稚拙な検証しかできないようでは相応しい報酬が
得られることはないだろう。
2024.3.12
先日、互助支援や地域社会福祉などを主な活動としている全国組織(一部海外にも
拠点があるらしい)の江別支部『ナルク江別』の役員の方から「開設25周年に
あたる今年の総会で講話を頂きたい」とのありがたい申し出があり、詳しく話を
聞くことになった。
同会は、コロナ禍で休眠中の『大麻地域創造会議』のメンバーでもあり、古くから
お世話になっている馴染みの方でもあって、当方の事業や活動に積極的に興味を
持っていただいている大切な方々である。
今回の講話の内容について打ち合わせをしていた際に、役員の方から「介護施設と
はどのような種類の物があり、それぞれどのような機能を持っているのかを知りた
いと考えている会員の方が多くいる」との話があった。
確かに、2000年に施行された介護保険制度は、24年の経過の中でバージョン
アップをし続け、複雑化し続けているため、一般の方には理解しきれない内容と
なってきている。
しかし、その場でもお伝えしたのだが「好奇心を満たすあるいは専門家からの説明
を理解することができる程度の知識を得るといった目的で施設の種別や機能の理解
を深めることは良いのだが、実践する目的で施設の種別や機能を記憶することに
あまり意味はない」と考えている。
なぜならまず第一に、先ほど申し上げた通り、介護保険制度はバージョンアップを
し続けている。今ある施設の種別や機能が今後も変わらず続く保証はどこにもなく
古い知識のまま実践に移そうとした場合にミスマッチが起こる危険性が高いため、
常に知識をバージョンアップさせておかなければならない。
そして第二に、ケアマネジメントの理解を深めずに、施設の種別や機能の理解のみ
が深まると、「〇〇という病気だから〇〇という施設がいい」とか「○○という
体の障がいがあるから○○という介護サービスがいい」といった具合に、短絡的な
カテゴライズ思考によって施設や在宅サービスを選択してしまう危険性がある。
これまでにも、不完全な知識を持つ身近な方の勧めでミスマッチな選択をしてしま
うケースを幾度となく見てきた。
これは、医学や薬の知識を深めることと似ている。
そういった知識を深めることは素晴らしい考え方ではある一方で、古い知識や偏っ
た知識をもとに行動しようとすると命を脅かすミスマッチを引き起こす危険性を
持っている。まして、自分の助言によって他者をこうしたミスマッチに誘導してし
まうなどということは絶対に避けなければならない。
年を重ねるにつれて、「今後も自分が思い描くような生活を続けることができるの
だろうか」という不安が頭をよぎることはとても理解できるし、だからこそ将来に
役立つ情報を少しでも多く集めておきたいという気持ちもわかる。
だからこそ、施設の種別や機能の理解を深めることよりも、「自分が思い描くよう
な生活」とはどういった生活なのか、「そんな思いを聞き取ってくれる専門家は
どこにいるのか」ということについて時間を使ってほしい。信頼できる専門家が
身近なところにいるのかどうかについて、仲間同士で話し合ってほしいと思う。
我々は、そういった不安を少しでも解消することができる「身近な専門家」であり
続けたい。
2024.3.8
約3年間活動を休止していた『自主事業』を昨年から再開したことは、当ブログで
何度か取り上げてきた。
それから昨年10月に同年7月にオープンした『のみくい処とっかり』とのコラボ
企画で「自主事業&食事会」を開催した。
そして、本日は同企画の第2弾となる。
まずは、皆さん一緒に体操から!
その間に『のみくい処とっかり』ではお昼ご飯の準備!
テーマは「ひな祭り」だそうです。
完成品はこんな感じ(お稲荷さんで作ったお内裏様とお雛様がキュート!)
皆さんでおいしくいただきました。
2024.3.6
今月、当方が運営する居宅介護支援事業所へ新たに1名の主任ケアマネジャーが
入職し、同事業所は常勤6名の体制となった。
当ブログでも再三話題にしていた「江別市のケアマネ不足」に対して、微力では
あるが貢献できるのではないかと今後に期待している。
今年、団塊の世代が全て後期高齢者となる。
そのため、自ずと要援護者が急増することが予測される。
要介護需要に介護支援供給が追い付かず、介護保険サービスを十分に利用できない
所謂『介護難民』が数多く発生することが懸念されている昨今にあるが、ケアマネ
ジャーがいないとなると、介護保険サービスを利用できないどころか、介護相談を
受けるところまで辿り着けない方が多数発生する危険性がある。
こうした危険性を少しでも解消したいとの思いから、江別市内でケアマネジャー
として従事してくださる方を探し求めており、ようやくご縁がつながった。
万一ケアマネジャーが足りず、介護相談を受け付けることが難しくなった場合で
あっても「自己作成ケアプランという方法があるじゃないか」という方がいる。
自己作成ケアプランとは、ケアマネジャーに依頼するのではなく介護保険サービス
の利用者自身や家族自らがケアプランを作成することをいう。
確かに介護保険制度では、償還払い方式を避けるために自分自身(家族)がケアマ
ネジャーに頼らずにケアプランを作成しても良いことにはなっている。
だが、この方法はあまりにもハードルが高く、ケアマネジャー不足を解消する選択
肢としてあげるには適切とはいいがたい。
例えるなら、「職人が不足しているから、ルールさえ守ってもらえるなら、自分で
家を建てて居住しても構いませんよ」と言われているようなものだ。
日本中を見渡せば、業者に頼らずに自力で家を建てることができる人がいるのかも
しれない。しかしそれは、ごくまれな事であって一般的なこととは言えない。
つまり職人不足の代替えの選択肢にはならないということである。
家を建てることとケアプランを作成することを比較すると難易度は圧倒的に後者の
方が低い。ただし、ケアプランの作成は家を建てることほど時間の余裕はない。
今まさに支援を必要としている状況に対応しなければならないため、半年かけて
作成するなどと悠長なことは言っていられない。
さらに、自己作成ケアプランを実施するには、事前に保険者である市区町村へ届出
を行い、必要な助言や支援を受けながら作成することになるのだが、人手不足で
数年毎に配置転換が行われることが多い役所(役場)にあって、専門的な助言や
指導を実施することができる人材を十分に確保することは至難の業と言える。
つまり、現状を見る限りにおいては、「自己作成ケアプラン」は絵に描いた餅と
言わざるを得ない。
何度も当ブログで訴えていることではあるが、ケアマネジャー不足の対策として
今一番求められていることは、専門性が高い業務に相応しい介護報酬を確保した
うえで、軽度要援護者を対象者から外すして総数を減らすことではないだろうか。
2024.3.5
当方では、平成28年度から『給食・配食サービス事業』を開始している。
ここ数年の物価高に伴って食材料費の高騰が留まるところを知らず、事業開始当初
と比較するとここ数か月間の食材料費及び光熱費の合計は2倍にまで跳ね上がって
いる。どうやら物価の高騰は一時的なことではなく今後も高騰が続くようである。
その増額分をそのまま販売価格に反映させると、ご利用者の生活に大きな支障を
きたす恐れがあるため、ここ数年で微増程度の価格変更で何とかやりくりして
きたが、流石に限界だ。
『給食・配食サービス事業』部門の赤字が大幅に増えて、他の部門の運営に支障を
きたし始めてきたのだが、この8年間で多くのご利用者の給食・配食サービスを
担ってきたこともあり、今も多くの方へサービスを提供しているため、「赤字が
酷いからやめます。」という判断も簡単ではない。
母屋が傾く状況になるまで現状を維持することは経営者として判断ミスを問われて
も仕方がない。そこで、予告期間を設けた今年の6月から50円ほどの値上げを
決断することとした。
ご利用者や地域の方の生活を支えたいとの思いと所属するスタッフの生活を支え
引いては母屋の運営を安定させなければならないとの思いが相まって、非常に難し
いかじ取りを求められている昨今にある。
これから先も企業努力を怠らず、皆様にご満足いただける給食・配食サービスを
続けたい。