北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

月別: 2023年7月

要援護者の暑さ対策

2023.7.28

ここのところ、連日”真夏日”が続く北海道にあって、在宅で療養されている要援護

高齢者にとっては、生命の危機を感じるほどの天候となっている。

加齢や基礎疾患によっては、健常時よりも体温調節が上手くできないことや口渇感

体温の上昇を感じる機能が弱ってしまっている方も少なくなく、自覚なく脱水状態

や熱中症を発症してしまうことが多い。

 

この様な状況が続くときには、ご利用者宅へお邪魔した際に”換気”や”冷房”を

心がけるようにしている。しかし、お声掛けして部屋の窓を開けたり、冷房をつけ

ると、ご利用者から「寒いから窓閉めて、冷房消して」と言われてしまうことが

しばしばある。

 

高齢者の多くの方に見受けられる血行不良を抱えている場合は、”冷え”を感じやす

いため、風が体にあたることで感じる寒さに敏感になりやすい。たとえ、体温が

異常に上昇していたとしてもだ。

そのため、介助者と要援護者との間で、”窓の開け閉め”に対する攻防戦が繰り広げ

られることがある。「このまま放置しておけば命にかかわる」との思いで、換気

しようとする介護者の行動はもっともであるが、「寒いと感じている」ことに対す

る要援護者の言動もまた事実である。

 

万人に通用することでもなければ、万事うまくいくとも限らないが、私が介護者に

お勧めしていることは、「どうしても冷風を不快に感じてしまう方に対しては、

冷房の除湿機能のみを使う」ということである。

気温(室温)が高く、湿度も高いということは、”蒸し風呂”に入っている状況に

近く、熱の逃げ場がないので体内に熱がこもりやすく、体力を奪っていく。

また、高温多湿を好む菌にとっては、もってこいの環境となるため、アレルギーや

中毒症状の原因菌が増殖しやすくなってしまう。

 

体内に水分を細目に入れて、部屋の湿度を下げることで、体内の熱を外へ逃がす

ことが重要と考えられる。

めちゃめちゃ専門性高いわぃ

2023.7.25

『厚生労働省は24日、来年4月の介護報酬改定に向けて協議を重ねている審議会

で訪問介護を取りあげ、ホームヘルパーの人材難が更に加速し、昨年度の有効求人

倍率が過去最高の15.53倍にのぼったと報告。施設の介護職員などと比べても

際立って厳しい現状を明らかにし、人手不足が大きな課題との認識を示した。』

との報道を見て思うこと。

 

介護報酬改定が行われるたびに、訪問介護の事業継続が厳しくなる内容を打ち出し

続けておいていまさら何を言ってんだろうかと思ってしまう。

同審議会では、多くの委員が来年4月の改定で介護報酬の引き上げ、処遇の改善、

負担の軽減などを求める声が相次いだそうであるが、「ヘルパーは専門性が低く

社会保険サービスとしての適性を欠く」などといって、訪問介護従事者を蔑むよう

な発言を繰り返してきた厚生労働省や審議会が何言ってんだと言いたくなる。

 

私の知る限りにおいては、ヘルパーは立派な職業であり、介護のプロである。

単に身体介護や家事援助の卓越した技術を持っているというだけではなく、医療

現場とご利用者やご家族をつなぐ重要な役割を担ってくれていたり、ちょっとした

工夫や考え方によって家族介護が円滑に行えるような助言をくださったりする。

そんな欠くことのできない人材を粗末に扱ってきた結果が今だろう。

 

ただ冷静に考えても、訪問介護は財源や人材が不足している昨今において、事業の

効率が良いとは言えないことから、縮小していかざるを得ない介護サービス種別

だろうということもまた否めない。

そのため、訪問介護ニーズは、多機能サービスの拡充や軽度者の保険適応外しと

いう形で担保していくしかないように思われる。

 

それにしても、厚生労働省の役人も審議会に出席している人たちも、卓上の空論

ばかり並べていないで、もっと介護現場に足を運んだほうが良い。そうすると

「専門性が低い」などという発言は出てこないだろうし、より現実的な政策を

論じることができるはずだ。

 

 

本当に必要としている方が利用できない

2023.7.21

『厚生労働省が介護保険の福祉用具貸与・販売の見直しに向けた検討を進めるため

の有識者会議を20日に開催し、福祉用具を貸与で使うか、販売で使うかを利用者

が選べる選択制の導入の是非などを論点として提示した。』

との報道を見て思うこと。

 

介護保険サービスに位置付けられている福祉用具には、貸与を前提とした車いすや

特殊寝台(電動ベッド)などと、購入を前提としたポータブルトイレやシャワー

チェアなどがあり、紙おむつや比較的安価な介護用品は、介護保険対象外となって

いる。

 

福祉用具の購入品目は、いくら殺菌消毒したとしても使い回しがしにくいトイレや

浴室関連の品物が多く位置付けられている。

福祉用具の貸与品目は、比較的高価で殺菌消毒することで使い回しに適した品物が

多く位置付けられている。

 

上記報道に挙げられる議論は、保険給付の抑制につなげる狙いがあることは理解

できるが、貸与と購入に振り分けた前提条件を根底から覆すかなり横暴な内容と

なっている印象が強い。

「”有識者”会議といいながら、かなり雑な議論を展開している」と率直に思う。

 

前提条件を変えずに保険給付費の抑制を図りたいのであれば、そういう話ではない

だろうと思う。

例えば、介護保険サービスに位置付けられている福祉用具貸与品目に『歩行器』が

ある。介護保険制度開始当初の20数年前には、開発も物流も今ほど進んでいなか

ったこともあり、種類も少なく購入すると数万円は下らない商品ばかりであった。

しかし、開発や物流が進むにつれて、数千円で購入できる商品が種類やデザインも

含めて増えた。

これは、介護保険対象外となっている比較的安価な介護用品と金額に大きな開きが

ない。そしてこのことは、四点杖や置き型の手すりにも同様の状況がみられる。

こうした品目を介護保険対象から外すと言った議論の方がよほど真っ当ではないか

と思う。実際、そういった品目をホームセンター等で自費購入して使用している方

がたくさんいらっしゃる。

 

ただ、こういった議論が議題にあがると「介護保険サービスから外すとメンテナン

スや安全性の確保が難しい」という反対意見が起きる。

しかしそれは違うだろう。

 

これまでも、置き型の手すりが洗濯物の物干し代わりに使われていたり、電動ベッ

ドなのに常時電源が抜かれた状態で使用されてたり、車いすが物置の奥底に眠った

ままになっているといった状況をいやというほど見てきた。

「メンテナンスが大事」とか言いながら、福祉用具事業者は使用内容を全然把握し

ていないか見てみぬふりをしているのではないか。

 

さらに言えば、一般の商品にもメーカー保証や販売店保証が付いている物が多く、

有料でさらに手厚い保証を受けることもできる物もある。福祉用具についても同様

の取り扱いとすればよいだけの話である。

 

横暴な議論による締め付けで、「本当に必要としている方が利用できない」という

状況にだけはしないでもらいたい。

久しぶりの運営推進会議

2023.7.20

新型コロナウイルス感染症の影響もあって、中々開催できなかった運営推進会議

を昨日2年ぶりに開催することができた。

運営推進会議は、定員が少数(18名以下)の通所介護や小規模多機能型居宅介護、

看護小規模多機能型居宅介護等の地域密着型の介護サービスに、定期的な開催が

義務づけられている。

コロナ渦においては、会議という形で実施することはできず、書面のやりとりのみ

の対応となっていた。

やはり、直接関係者の皆さんとお会いしてお話しすることと書面のみのやりとりと

では内容も意義も全く違ったものになると改めて感じる。

 

この会議の開催目的は、①事業所運営の透明性確保、②サービスの質の維持・向上

③地域に開かれた事業所であること、

といったところで、出席者は、

サービスの利用者及びその家族、行政の担当者、地域住民の代表者、有識者、事業

所の現場責任者などで構成されている。

当方が運営する事業には、その要件に当てはまる事業所が4か所あり、昨日は

デイサービスセンターみのりの丘と小規模多機能ホームみのりの丘、そして昨年

開設して初めての開催となるナーシングホームみのりの丘の3事業所合同で同会議

が開催された。

 

 

 

お忙しい中、大勢の方々にご出席いただいたばかりか、大変貴重なご意見や活発な

意見交換を行うことができて、こちらとしては非常に有意義な時間をいただいた。

 

ご出席いただいた皆様、お疲れさまでした。そして、ありがとうございました!

 

『おにぎりカフェむすび』さん

2023.7.19

今日は、当方スタッフの間でも話題になっていたお店で昼食をとってきた。

そのお店は、当方の事業所がある商店街の隣の商店街で先週オープンした

『おにぎりカフェむすび』さん。

 

店構えも内装も素敵な店舗で長居したくなる雰囲気が満載だった。

 

 

看板メニューは、店名の通り”おにぎり”、そしてデザートにソフトクリーム。

私は、唐揚げとみそ汁が付くセットメニューと食後に可愛らしいソフトクリームを

いただいた。(めちゃくちゃ美味しかった!)

 

 

ちょうど空いていたので、カウンター席で食事をとりながら、お店の方々と談笑し

ていたら、スタッフさんが今月オープンした当方のお店『呑みくい処とっかり』に

きていただいていたらしくさらに会話に花が咲いた。

 

シャッター街と化していた商店街が少しづつではあるが、賑わいを取り戻しつつ

あることに大きな喜びを感じている。

皆さんも是非一度足を運んでいただきたいお店である。

介護報酬改定に向けた攻防戦

2023.7.18

来年4月に迫る次の介護報酬改定に向けた協議が佳境を迎える中で、各団体は自分

たちの事業を守るべく、様々な要望や要請を行っている。

こうした要請の内、特に改定のたびに報酬引き下げの憂き目にあい、事業の継続が

難しくなってきている通所介護にかかわる主張がヒートアップしてきている。

 

まず一つは、積雪寒冷地の事業所では、冬季の原燃料費や除排雪費、送迎時間の

増加などの負担がかかるため、事業者からは効率的なサービスの提供が難しいこと

を受けて、冬季の負担増を再評価して、事業所がサービスを持続的に提供していけ

るように見直しを要請している。

 

さらに、前回の改定で新設された、個別計画を立てて自宅での入浴の自立を目指

す「加算II」の算定率が低く、実質的に報酬減となった事業所が多いことを受けて

中重度の利用者は『加算II』になじまない。入浴にかかるコストは年々大きくなっ

ており、今より算定しやすくするなど検討が必要と要請している。

 

そして、スケールメリットを考慮して規模の大きな事業所の基本報酬を減算する

現行の仕組みについて、サービスをより効率的に提供できるよう大規模化を促す

流れに反しているとして、早期の見直しを要請している。

 

積雪寒冷地への対策は、北海道で事業を運営する者であれば誰でも望むところで

はある。夏季と冬季では送迎に要する時間が大きく変わってくるため、冬期間の

サービス提供時間については柔軟に考える必要があるだろう。

ただし、「燃料費や除雪費」のことを言い出すと、「冷房をより多く使用する地域

の対策は?」とか「風水害の多い地域の対策は?」など、きりがない。

あらゆる対策を介護保険制度で補おうとすることには無理があるだろう。

 

新設された入浴加算の算定率が低いことについては、結果として実現しなかったと

しても、介護保険サービスが”自立支援”をうたっている以上は、入浴の自立を目指

すことは当たり前のことであり、算定率が低いからといって「算定要件のハードル

を下げてほしい」とはお門違いの要望だろう。

それよりも、自宅で一人で入浴できている方に対して、深く考えずに通所サービス

利用時にも入浴サービスを提供していることの方が問題だろう。

通所サービスは銭湯ではない。

 

大規模事業所の基本報酬減算への是正については、概ねその通りだろうと思う。

金がない、人がいない介護保険サービスにおいて、スケールメリットを活かすこと

ができる方法を重宝すべきだし推進していかなければならない。

 

しかし同時に考えなければならないこともある。

大規模事業所が成立するのは、都市部など人口の多い地域に限られる。過疎地域等

では大規模なニーズを必要としていない場所も多く、事業が成立しにくい。さらに

北海道のように送迎範囲の広い過疎地域においては、片道1時間以上かけて隣町に

ある通所介護事業所へ行くことは、ご利用者の心身の負担以外の何物でもない。

そうした地域でスケールメリットを活かしつつ、必要なニーズにこたえるサービス

は『多機能サービス』だろう。

そのため、過疎地域については、通所介護事業の改善よりも多機能サービスの運営

が上手くいくような改善が求められるのではないかと思う。

大麻第二住区自治連合会『健康体操教室』

2023.7.14

当方の事業所がある大麻第二住区という自治区域を統括する自治連合会さんが主催

する『健康体操教室』への講師派遣依頼を受けて10年が経過する。

コロナ渦の数年間は自粛することも多くあったが、それでも続けてお邪魔させて

いただいている。

 

今日が月に1回開催される『健康体操教室』の日。

今回は、当方の訪問看護ステーションに所属する言語聴覚士が講師として参加して

きた。

 

 

担当する役員方によると「コロナ明けでまだまだ参加者が増えてこない。」との

ことであったが、我々としては地域の皆さんの健康増進に少しでもお役に立てれば

という思いで、今後も継続したいと考えている。

 

ご参加いただいた皆さん、お疲れさまでした。

家族頼みには限界がある

2023.7.13

厚生労働省が公表した昨年の国民生活基礎調査の結果によると

高齢者世帯が1693万世帯、高齢者の一人暮らしが873万世帯といずれも過去

最多を更新し続けているとのことだった。

 

人口部分布を勘案すると、高齢者世帯や一人暮らしの高齢者が増えてくることは

予めわかっていたことであり、それ自体はさほど大きな問題ではないと思うが、

ここのところの肌感覚では、そういった方々を支える家族や親族が近くにいない方

が非常に多くいらっしゃるように思え、そのことが大きな問題と感じている。

 

「そのために介護保険サービスがある。」といっても、サービス種別によっては

様々な制約があり、我々が担いたいと思っていても許可されない支援内容もある。

また、サービスとサービスとの間に隙間が生まれることも少なくなく、どうしても

家族に担っていただかなければならない支援というものが発生する。

 

ただ、遠方であっても家族がいるのであればまだいいのだが、未婚や未出産を選択

する人が増えている状況において、そうした方々が高齢になった時には家族が全く

いないという可能性が高まってくる。

 

高齢者介護にかかわって数十年が経過するが、時代背景とともに整備しなければ

ならない事柄が大きく変化していることを実感する。

今もそして今後はなおのこと、「必ず家族がいる」という前提で各種制度を設計

することには限界が生じてきている。

政治にかかわる方々に対しては、家族がいなかったとしても不安なく老後を過ごす

ことができるように、日常的な支援ばかりではなく人権という視点に立った法整備

を考えてほしい。

『呑みくい処とっかり』(外食行事編)

2023.7.12

今日から一週間、当方が運営する「小規模多機能ホームみのりの丘」の外食行事

として、今月オープンした『呑みくい処とっかり』で食事会の企画が始まった。

 

店側は、事前に伺っていた定食や丼物が着席して間もなく提供できるように準備

していた。(とても美味しそう!)

 

 

ご利用者の中には、「久しぶりの外食」という方もいらっしゃったようで、皆で

楽しく食卓を囲むことができた。

 

 

スタッフの皆が、ご利用者に楽しんでいただけるよう様々な企画を立てている。

ご利用者の皆さん、いかがでしょうか。

行政が優劣の評価?

2023.7.11

先日、道庁から『北海道働きやすい介護の職場認証制度』とかいう案内文書と

リーフレットが届いた。

その中身は、4分野11項目からなる認定基準が設けられており、その基準をクリ

アした事業者が十数法人列挙されていた。

 

名前が挙がっていた事業者は、道内でもかなり著名な法人ばかりで、私が尊敬する

方が法人の代表をしているところもあった。しかし、よく見ると「っん?」と首を

かしげたくなる法人も名を連ねていた。介護業界に身を置く者であればよく知って

いる、劣悪な職場環境で離職率も非常に高い法人も載っている。

 

この様を見て、あることを思い出した。

国が主導する『サービス情報公表制度』である。

平成18年4月からスタートした制度で、利用者が介護サービスや事業所・施設を

比較・検討して適切に選ぶための情報を都道府県が提供する仕組みで、事業者は

国が定めた項目に入力して登録することが義務づけられている。

 

その定められた項目にすべてチェックが付いた事業者が「優良事業所」という扱い

になることを前提として生み出されたこの制度だが、ふたを開けてびっくりの状況

が続いている。

大きく報道でも取り上げられた「日常的にご利用者に暴力をふるっていて、経営側

もその事実を隠ぺいしていた施設」が、この制度では「優良事業所」と位置付けら

れていた。そして、こうした状況が相次いで起こった。

業界からはもとより一般の方からも「どこが優良なんだよ!」とツッコミが入ると

ともに「この制度意味あんのかよ!」との批判が相次いだ。

 

そもそも行政が事業者の優劣を決めようとする発想がどうかしている。

行政には、優劣がわかる目利きの能力はない。黙って指導監督の役割だけを担って

いればいい。不得意分野にまで口出す必要はない。

味の優劣がわからない人やその店で食事をしたこともない人から「この店の料理は

まずい」と言われることほど納得のいかないことはない。

どうしても優劣をつけたいのであれば、地域の方々や実際にその法人とかかわった

方々に評価していただいた方がいい。その方がどんな結果が出てもその法人は納得

できるはずだ。

 

それでも性懲りもなく、『サービス情報公表制度』は今もなお続いているし、道も

猿真似で新たな認証制度を作ってしまった。

うがった見方にはなるが、なんだか利権のにおいがプンプンする。