北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

月別: 2023年11月

脱社会保険サービスへの取組

2023.11.27

毎週金曜日は、約4年ぶりに再開した『自主事業(体操教室)』の日である。

今日も、恒例の健康体操から開始したあと、セルフマッサージを伝授という流れで

教室が開催された。

今日いらしていた十数名の皆さんは、時に笑い時に真剣な表情で参加されていた。

 

当ブログで何度も取り上げている『今後の通所介護の在り方』や『軽度要援護者の

保険給付外への移行』について、介護保険制度開始以前から約30年間、通所サー

ビス等にかかわり続けていて思うことがある。

それは「軽度要援護者に対する通所サービスって、社会保険給付対象として適当な

事業と言えるのだろうか」ということである。

 

全ての方と言い切るつもりはないが、軽度要援護者の多くが通所サービスを利用

する主な目的は、”社会的交流”や”外出及び運動機会の確保”である。

しかしそれって、社会保険サービスではないとできないことなのだろうか。

ましてや、『介護』と名の付く社会保険サービスとして適当なのだろうか。

 

こういうことを言うと、「介護予防も立派な介護支援だ!だから介護保険サービス

として事業を行うことが適当だ!」とおっしゃる方がいる。

こうした意見は「大間違いだ」というつもりはない。ただし、介護予防対策=社会

保険サービスではないと強く言いたい。

このように主張したいのは、何も介護保険財政や専門職の人材不足を憂いている

からだけではない。

 

”交流や外出”って、わざわざ遠方の見慣れない場所で、知らない人たちばかりが

いる中で行うことが自然なのだろうか。たまに行く旅行や娯楽を目的とした外出と

いうことであればそれも理解はできるが、日常生活における”交流や外出”は、住み

慣れた場所や地縁のある方々と行うことの方が自然なのではないだろうか。

そして、こうした場は介護や福祉にかかる専門家の主導でのみ、開催されなければ

ならないのだろうか。

 

地域格差があることは承知しているが、それでも各地域には様々な社会資源や取り

組みそして活動がある。それらの活動は、介護保険給付費とは比較にならないほど

少額の支援金や人材で運営することができる。毎年巨額の介護予防給付費を使って

公的サービスとして運営するくらいなら、少額でいいから地域のそうした社会資源

に対して援助したほうが、利用する方にとっても行政にとっても有効なのではない

かと思う。

 

我々は、公的サービスである介護保険サービスを運営すると同時に脱公的サービス

の運営も行っている。その両方を上手く組み合わせることが今後は重要であるよう

に思っている。

 

新たなルールや書類を生み出す天才

2023.11.21

前回の当ブログで、「現任のケアマネジャーは、新たな業務が加わり、担当件数が

増えることに辟易とするかもしれない。さらには、介護従事者の処遇が大幅に改善

されている中で、ケアマネジャーの処遇は蚊帳の外になっている現状を見て、他職

種あるいは他業種に鞍替えしようかと考え始めている方も少なからずいるのでは

ないかと予想される」と申し上げた。

 

先日、こうした状況に追い打ちをかけることがあった。

道外の〇〇県に住所があり、市内の施設に入居している方に対する認定調査の依頼

が当方の居宅介護支援事業所にあった。

 

介護保険制度における要介護(支援)の新規・更新認定は、原則その方の住所が

ある保険者(市区町村等)が取り仕切ることになっているが、住所地と居住地が

それぞれ違う場所であることは珍しくない。

認定調査のためだけに道外あるいは市外の遠方から江別市に来るということは経費

と労力の無駄使いとなってしまうため、遠方の保険者は当該地域の居宅介護支援事

業所に認定調査の代行を依頼することが多くある。

 

はっきり言って、この遠方の保険者からの認定調査代行は面倒だ。

例え今回限りでたった1件であったとしても、当該保険者と調査代行の契約を結ば

なければならないだけではなく、保険者によって調査実施や報告にかかるルールが

大きく変わるため、そうしたルールにいちいち対応していかなければならない。

日々の業務で手一杯の中でこうした業務が付加されることは、居宅介護支援事業所

のケアマネジャーにボディーブローのように効いてくる。

 

それでも、困っている方や保険者があるのであれば極力協力しようということが、

我々のスタンスである。

今回もそうした考えのもとで、当該保険者からの依頼を受ける前提で契約内容等

を確認していたら、その内容が保険者の都合を一方的に押し付ける内容となって

いたため、とてもではないが受け入れることはできないとお断りした。

その内容の詳細を述べることは差し控えることとするが、契約書類や調査報告に

係る書類以外に山のような書類の作成及び提出が求められるものだった。

 

改めて思うこととしては、「行政は、新たなルールや書類を生み出す天才で、文書

負担軽減等に向けた取組など全く考えていない」ということである。

世のケアマネジャーは、こうした人たち(行政)につぶされていくのではないかと

本気で思っている。

 

 

迷走し続ける審議会

2023.11.15

ここ最近、介護報酬改定に向けた協議を重ねている審議会の審議内容を見ていると

「迷走を極めている」と思えることばかりだ。

 

例えば、居宅介護支援事業所に関する審議ついて簡潔に表現すると「地域包括支援

センター創設以前の居宅介護支援事業所に戻す」内容となっている。

その頃の居宅介護支援事業所は、ケアマネジャー1人当たりの担当上限などなかっ

たし、医療・介護・福祉分野を総合的に相談支援する役割も担っていた。

しかし、同審議会は「ケアマネジャーに総合相談を任せることはできない」「1人

当たりの上限を付けなければ仕事が煩雑になる」と言って、地域包括支援センター

を創設し、そして今の制度に変わったのである。

ただ残念ながら、満を持して地域包括支援センターに配置した保健師も社会福祉士

も、国の思惑通りに動かないことがわかってしまったため、その舌の根も乾かない

うちに「また元に戻す」ということになったのだろう。

ケアマネジャーは随分と舐められたもんだ。

 

ケアマネジャー業務に従事するようになってまだ日が浅い方は「負担が増える」

との思いが強くあるだろうし、介護保険制度開始当初からケアマネジャー業務に

従事している方の多くは「前に戻っただけ」と思っているのではないだろうか。

いずれにしても、要援護者数が増え続け、ケアマネジャー数が相応に増えない現状

を見れば、こうなることは初めからわかっていたと言える。

 

現任のケアマネジャーは、”昔をよく知る”方ばかりではないので、やったことが

ない業務が加わり、担当件数が増えることに辟易とするかもしれない。さらには、

介護従事者の処遇が大幅に改善されている中で、ケアマネジャーの処遇は蚊帳の外

になっている現状を見て「他職種あるいは他業種に鞍替えしようか」と考え始めて

いる方も少なからずいるのではないかと予想される。

 

ただでさえ居宅介護支援事業所は人材不足に喘いでいるのに、鞍替えしてしまう方

が増えることになれば、現行の介護保険制度を維持することは困難を極めることに

なるだろう。

国(審議会)はどこに向かおうとしているのか、さっぱり理解できない。

いや、あまり深く考えている人がいないポンコツ集団なのかもしれない。

 

昨日の当ブログで述べた『訪問介護と通所介護を組み合わせた新たな複合型サービ

スの具体像』についてもそうであるが、このポンコツ集団の機能不全は深刻を極め

ているとしか言いようがない。

この国の未来のためにも、ケアマネジャーが仕事の鞍替えをするのではなく、この

ポンコツ集団の総入れ替えをした方が良いのではないだろうか。

一体的な運営の意味が分からない人たち

2023.11.14

先日、厚生労働省が提案した『訪問介護と通所介護を組み合わせた新たな複合型

サービスの具体像』を見たが、はっきり言ってがっかりした。

 

以前に当ブログで、「新しい複合型サービスは、通所介護の事業所が利用者に必要

な訪問サービスを提供できるようにすることで、現場がより柔軟に支援を展開でき

る環境を作る狙いがあり、人材不足が深刻化する高齢者介護業界にとっては切り札

となり得る存在と期待されている」と申し上げたが、今回提示された具体像はその

期待を打ち砕く内容となっている。

 

今回提示された具体像を簡単に表現すると、『通所介護と訪問介護の事業所が同一

あるいは隣り合った場所にあるだけ』のものであり、当初厚生労働省が示していた

「一体的運営」とは程遠い内容となっている。

 

一体的な運営に期待されていたことは、単独の通所サービスや訪問サービスは事業

としての効率が悪く、ご利用する方にとっても使い勝手が決して良いとは言えない

状況を解消するものであるはずだ。

にもかかわらず、人員配置基準もそのままなので、通所サービスと訪問サービスの

人員を状況に応じて柔軟に変更することができない。まずこの時点で、「柔軟に

支援を展開できる環境を作り、人材不足の深刻化を解消する」可能性が消えた。

 

援助を必要としている高齢者を取り巻く状況は、常に一定ということはほぼなく、

不安定で変化に富んでいる。そのため、対応する我々には即応性と柔軟性が求め

られる。まして、限りある人材を駆使したうえで、そういった対応が求められると

なると、一体的な運営という形態をとらなければ相当難しい。

 

どうやら今回提示された具体像を協議している審議会は、ポンコツ集団のようだ。

この人たちは、A事業とB事業を同じ場所で運営することが「一体的な運営」だと

思っているらしい。

お肉屋さんと八百屋さんが隣り合っていたからと言って「一体的に運営している」

などという人はいない。単独の店だけではできないことを可能にして初めて一体的

と言えるはずである。

例えば、二つの店を一人の店員が取り仕切っていて、人材不足をセルフレジで補う

などの方法を取っていたり、肉と野菜を組み合わせたパック商品を売り出すなど、

単独ではできないことを効率的に運営して初めて一体的と言えるだろう。

こうすると、会計が一回で済むことや単独の店では買えない商品が手に入るなど、

消費者にもメリットが大きい。

ポンコツ集団にはそのことが理解できないようだ。

 

今現在、通所介護と訪問介護の事業所が同一あるいは隣り合った場所にある事業者

以外で、この事業に新規参入する事業者が現れるのかはなはだ疑問だし、はっきり

言って意味がない。

 

介護保険外事業の充実が求められる

2023.11.13

厚生労働省が10日に公表した『介護施設・事業所の経営状況を明らかにする調査

(今年度経営実態調査)の結果』によると、昨年度決算の全サービス平均の収支差

率は2.4%で、2020年度調査と並ぶ過去最低の水準となった。

厚労省は今回の結果について、「他産業では利益率が上昇している一方で、介護分

野では全体として低下している。かなり厳しい状況にある」との認識を示した。

こうした状況から、2024年度の介護報酬改定は”プラス改定”となることが予想

される。

 

物価がグングン上昇している中で、以前に当ブログでも述べたように介護保険サー

ビス事業の報酬(価格)は、我々事業者が勝手に値上げを行うことができないこと

から、増えた経費を価格に転嫁することができず、介護保険サービス事業者の収益

は悪化の一途をたどっている。

収益を上げることが出来なければ、営業を継続することも、優秀な人材をつなぎ留

めておくことも難しくなってしまい、潰れていく事業者が加速度的に増えていくこ

とだろう。

 

国は、先日閣議決定された『介護・障害福祉職員の給与を平均で月6000円引き

上げ』と合わせ技で介護報酬の引き上げを検討していることと思うが、こちらが

期待するほどの増額が見込まれるとは到底思えない。

要援護者が増え続けている中で、介護報酬(単価)を引き上げるということは、

国民により多くの負担を強いることに他ならない。

昨年度以降は、給与が増えても物価がそれ以上に高騰しているため、実質賃金が

マイナスとなっており、「国民の生活が貧しくなっている」状況にある。そうした

状況でさらに国民に負担を強いることが可能とはとても思えない。

 

国民の負担を必要以上に増やさずに、介護保険サービス事業者を守るためには、

当ブログでは何度も繰り返し訴えていることではあるが、『介護保険サービスの

利用に該当する者の数を減らす』しか方法がないように思う。

軽度要援護者の介護サービスを保険給付から外して、地域支援事業等へ移管する

必要がある。

私たちは、そのためにも介護保険外(我々は自主事業と呼んでいる)事業をより

確実に充実した内容にしていかなければならないと考え実践している。

 

耳障りのいい言葉を繰り返し、問題を先送りしたところで、数年先に地獄が待って

いるだけだ。

愛のふれあい活動

2023.11.6

江別市には、高齢者を主体とした催しを実施した自治会に助成金を支給する制度が

ある。市内の各自治会は、”愛のふれあい活動”と称するこの活動を年数回開催して

いる。

今年の7月と11月に当方事業所の近所の自治会さんから同活動支援の依頼があり

リクリエーションとお弁当の提供を行った。

 

当方が運営する通所サービス事業所などでも実施している活動を提供してみた。

 

高齢者でも楽しめる内容となっているため、皆さんと大いに盛り上がることができ

たように思う。

 

お弁当は、7月にオープンした『のみくい処とっかり』で準備することとした。

 

 

 

高額なお金をかけなくても、地域の方同士で交流を深めたり、楽しい時間を共有し

たりすることはできる。

何でもかんでも「介護保険で!」という流れにだけはなってもらいたくない。

しかしそれには、我々のような高齢者介護事業者等の協力も必要であろうと思う。

今回の活動は、地域の皆さんと高齢者介護事業者が共同して、住みよいまちづくり

を実践したより良い事例であったと思う。

 

ご依頼いただいた自治会の役員の皆さん、ご出席いただいた皆さん

ありがとうございました!

豪雪地帯における運営の在り方

2023.11.3

来年度の介護報酬改定をめぐって、各団体が少しでも自分たちの処遇を高めようと

様々な形で声明を出している。

日本デイサービス協会も例にたがわず声明を出しているのだが、この団体の声明は

何だが”ズレて”いる。

 

先日、同協会は豪雪地帯の通所介護の取り扱いについて

「豪雪地帯では介護職が事業所でも利用者宅でも雪かきを都度行っており、重労働になっている。重機の購入や除雪の委託なども必要になる。冬用タイヤの購入費・管理費なども発生する」と指摘。「こうした背景をしっかり考慮したコストの再調査と適切な議論を求める。実情とかけ離れた説明がなされたことは容認できない。豪雪地帯の送迎に特段の差異がないとの主張は到底納得できない」と訴えた。

 

が厚生労働省からは

「例えば車輛費は、豪雪地帯よりも他の地域の方が高いなど、豪雪地帯の送迎の支出が高いという結果は必ずしも得られていない」と訴えを退けられてしまった。

 

ひょっとすると、北国で過ごしている方は、「我々の地域は他の地域と比べると車

両の維持費が高い」と思っている人が少なくないのかもしれないが、車の燃費は

冷暖房にかかる費用だけが影響するわけではない。渋滞の多い都会の方が燃費は

ずっと悪い。そのため、豪雪地帯だからと言って燃費が著しく低いとは言えない。

それに温暖な地域では1年中車の冷房を使用している場所もある。

また、「雪国では必須となる冬用タイヤの購入費が維持費として増える」と考えて

いる方もいるかもしれないが、夏用であれ、冬用であれタイヤは使えば摩耗する。

使っただけのタイヤ本数が必要なのはどこの地域でも同じことである。

 

豪雪地帯の通所介護の取り扱いについて、同協会が訴えなければならないことは

”コストの検討”ではなく、”所要時間の検討”のほうであるべきだ。

豪雪地帯とそうではない地域で大きな差が出るのは、冬期間のサービス提供(準備

を含めて)の時間である。

冬に車を動かすためには、除排雪という夏場にはなかった手続きが必要となる。

また、冬の道路は滑りやすく、自ずと運転する速度が遅くなる。そのため、同じ

距離を走らせても、所要時間が大きく変わってくる。

 

案の定、厚生労働省も豪雪地域の冬期間の通所サービス提供にかかる時間について

は、検討することを奏上に挙げている。

 

ピントがずれたことばかりを主張する人の意見は聞き流されがちにある。

日本デイサービス協会はピンポイントで主張を展開していかないと、全ての主張を

聞き流されてしまう危険性があることを理解したほうが良いように思う。

一番研修を受けなければならないのは

2023.11.1

『来年度の介護報酬改定をめぐり、国が通所介護の入浴介助加算(I)の要件に研修などを組み込む案を検討していることについて、日本デイサービス協会が27日に影響を懸念する声明を出した。「研修の必要性は理解できるものの、現在の人材不足は運営継続が危ぶまれるほど。厳しい要件になれば入浴サービス自体を取りやめる事業所も出てくる」と指摘。「要件検討の際には、現場の状況をしっかり把握したうえで、できるだけ負担のない仕組みとするよう強く要望する」と訴えた。』

との報道を見て思うこと。

 

私としては、通所介護サービス提供内の入浴介助の算定要件に研修を必須とする

ことには大賛成である。なぜなら、多くの通所介護事業所を見ていると、入浴支援

に対するアセスメントを行わず、ただ希望通りに銭湯紛いのサービス提供を行って

いる実態が散見されるからだ。

 

以前に当ブログでも主張したが、「いくら要支援や要介護の認定を受けているから

と言って、自宅で一人で入浴できている方に対して、送り迎え付で”介護付きの

銭湯通い”を公費でサービス提供するのは流石にやりすぎだ」と考えている。

また、「人も金も足りていない現状においては、効率の悪い事業を縮小して、効率

の良い事業を拡大することはセオリーといえる。そう考えると、少子化対策が一向

に進まない現状から、通所介護の延命を図るべきではない」とも考えている。

 

しかし、「入浴支援に対するアセスメントを行わず、ただ希望通りに銭湯紛いの

サービス提供」という実態の温床は、他ならぬケアマネジャーの悪行といっていい

だろう。

私の知る限り、多くのケアマネジャーや地域包括支援センター職員は「ご利用者の

希望があったから」との短絡的な理由で通所介護事業所に入浴支援を求めてくる。

たとえ、自宅で一人で入浴できている方であってもだ。

ご利用者を紹介してくれるケアマネジャーや地域包括支援センター職員から嫌われ

たくないと考える通所介護事業所は、心を無にしてそういった依頼を受け続けてい

るのである。

 

通所介護事業所に研修受講を必須とするのはいいことだが、一番研修を受けなけれ

ばならないのは、ケアマネジャーや地域包括支援センター職員の方だろう。