北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

ジョブ型雇用への移行

2023.2.22

ここのところ、政府がとりあげている『構造的な賃上げ議論』の柱の一つである

『ジョブ型雇用』の話題をよく耳にする。

 

ジョブ型雇用は、業務内容や必要なスキルに見合った人材を雇用する方法で、欧米

先進国では主流の雇用形態である。

一方で日本は長年、具体的な業務内容を定めずに人員を採用して、その人の適性

などを見極めて各セクションに配置するメンバーシップ型雇用の体系を主流として

きた。

いづれの雇用形態にもメリットとデメリットはあるのだが、深刻な人材不足や国際

競争力の低下といった課題を解決する方法として、ジョブ型雇用への移行が必要と

考える人が増えているらしい。

 

私個人としては、これまでもどちらかというとジョブ型雇用に近い方法で人材を

採用しているし、年功序列や終身雇用が必ずしも正しいとは思っていないので

ジョブ型雇用への移行にさほど抵抗はない。

また、「単に年数を経験したから」という理由ではなく、明確なスキルを持つ者が

高い評価を受けることができるという点や具体的な役割を持たない“幽霊社員”の

横行を抑制できるといった点においては、大賛成の立場にある。

 

ただし、メンバーシップ型雇用が身に沁みついている我が国において、ジョブ型雇

用への移行が決して簡単な道のりではなく、整備しなければならない課題が山積し

ていると理解している。

 

もしも、ジョブ型雇用を採用するとなると、企業も労働者も、これまでのような

“甘え”が許されなくなる。

企業は、メンバーシップ型雇用のように明確な業務内容を決めていない雇用関係に

あっては、専門的な業務との間に生まれる“隙間の業務”の穴埋めも含めて職員に

対応を求めることもできるが、ジョブ型雇用の場合はそういったなし崩し的な職務

や不明瞭な残業の命令を下すことはできなくなる。

また、与えられたミッションを遂行することが職員の役割となるため、日本が得意

とする「チームワークで難局を乗り切ることが美徳」という考え方は完全に否定

されることになる。

 

労働者側も、業務内容に見合ったパフォーマンスを示すことが出来なければ、例え

経験年数が多くあったとしても減報や解雇の憂き目にあうこともあるし、そもそも

高いスキルがなければ就職すらできなくなることも十分にあり得る。

 

これまでの日本の雇用は、企業と労働者双方の“甘え”を前提として成立していた

側面が強くあり、これが「生産性が低い」大きな原因となっていた。

長年ぬるま湯につかってきた企業や労働者の思考が、そう簡単に変化するとは思え

ないので、ジョブ型雇用への移行は相当険しい道のりになることが予想される。