北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

自立を阻害するケアマネジメント

2018.10.12

当方が運営する通所介護(デイサービス)には、日々ご利用を希望される方々の

担当者(居宅のケアマネ、地域包括の職員)から相談がある。

 

しかし、その相談の中でいつも疑問に思うオーダーがある。

 

それは、『自宅で一人でできているにもかかわらず、事業所でのサービス提供を

望む』といった内容についてである。

 

その代表的なものが、『入浴支援』についてである。

 

誰もが、家で入れているのに何故わざわざ、サービス事業所で入浴するのか疑問に

思うだろう。では、何故そのようにことになるのか。

 

それは、

利用者側の意向として、「家で風呂を沸かすのが面倒だから。」、「どうせサービ

スを利用するのだからそこで入りたい。」、「自宅で入るより安全だから。」など

の理由で入浴支援を求めるケースが多い。

 

調整役である居宅のケアマネや地域包括の職員側からすると、「せっかくサービス

利用にこぎつけたので、必要がないサービスでも少しぐらい目をつぶろう。」、

「ご利用者の希望どおりに調整しないと担当を変えられてしまう。」などの理由で

入浴支援を事業者へ求めるケースが多い。

 

事業者側からすると、「正論でも断れば、居宅のケアマネや地域包括の職員からの

紹介が得られなくなる。」などの理由で入浴支援を受け入れるケースが多い。

 

こうして、自己保身と忖度まみれの『自立を阻害するケアマネジメント』が出来

上がるのである。

その結果、そのご利用者は今までできていたことができなくなり、心身の機能は

みるみる衰え、重度の介護状態まっしぐらへ向かっていく。そして、家族は介護

疲れで施設入所を選択することになる。

 

昨今、財源や人員不足が叫ばれている状況の中で、このようなことがいつまでも

続けられていくと、『本当に支援を必要としている人』が適切な支援を受けられ

なくなっていくことになるだろう。

 

これは、一時期話題になった『救急車をタクシー代わりに使う』と似ている。

「タクシー代がもったいないから。」、「救急車を利用したほうが病院では優先的

に見てくれるから。」といった自己中心的な発想から、軽度で自力で病院へ行くこ

とができるのにも関わらず、安易に救急車を呼ぶ行為である。

結果として、瀕死の重傷者が救急車や病院の空きを待たされ、場合によっては命を

落とすことになってしまう。

 

利用者も調整役も事業者も、今一度考えを改めてはいかがだろうかと思う。