長年、医療の現場に身を置いていた私にとって、
医療従事者の『介護や福祉分野に対する軽視』は、おなじみの風景であった。
しかし、どれだけ医学が進化しても、医療だけでは人の生活を支えることはでき
ないと多くの専門家が気が付いた。
体を元通りに治せても、心がついてこなければ生活を維持することは難しくなる。
それほど、体と心は密接にかかわっており、人間である以上は避けて通る事は
できないものである。
昨今の新型コロナウイルス感染症の流行で、体は元気であるはずが、感染への恐怖
や外出自粛によるストレスから、どことなく体に不調を覚える方が増えていること
からもおわかりであろう。
こうした状況は、病気や障がいを抱えている方、高齢者にとっては、なおの事切実
な問題である。
にもかかわらず、心や生活を重視する介護や福祉の分野を軽視し、「医療優先!」
を声高らかに唱え、突き進もうとしている在宅医療従事者が身近にいる。
本来は、在宅で生活する援助を必要としている方々にとっては、なくてはならない
貴重な社会資源であるはずが、『百害あって一利あるか無いか』という状況だ。
この状況が続くようであれば、早々に退場していただいた方が良いかもしれない。