3年に1度見直しが行われている介護報酬の制度改定が、来年4月に施行される。
コロナ禍にあって、審議が停滞傾向にあったが、先月あたりから話し合いの場が
活発化してきている。
先月の社会保障審議会・介護給付費分科会の内容に対するヒアリングが今月3日に
実施されたが、個人的に気になっているのは『生活機能向上連携加算』の取り扱い
についてである。
前回(平成30年、2018年)の改定で、通所介護事業者へ門徒が開かれた
同加算は、ご利用者が在宅生活を末永く過ごす上で必要な生活機能の向上を図る
ことを目的として、医療機関等に所属する理学療法士等のリハビリスタッフからの
助言をもらいながら、共同で介護計画を作成した場合に算定できる。
通所介護事業者にはリハビリスタッフが配置されていないことが多く、身体機能に
かかわる専門的視点が弱いことから創設された同加算は、ご利用者にとっても意義
のあるものであるはずだった。
しかし、同加算を算定している通所介護事業者は全体の3%程度しかいない。
とても良い物なんだから、多くの事業者が算定できるように制度設計するべきで
あろうが、そこは物事を深く考えることができず世間一般の常識が欠けている厚生
労働省、そして加算は「取りにくく設計する」という歪んだ思考を持つ官僚が
なせる業である。
同加算を算定したい通所介護事業者から依頼を受けた医療機関は、無償でリハビリ
スタッフを派遣しなければならないため、同一法人や関連法人などの結びつきでも
なければ、派遣することは難しいであろう。
ただ働き前提で、多くの医療機関が賛同すると本気で思っているのか厚生労働省!
また、対象となるリハビリスタッフは、医療機関や同併設の介護サービス等の医者
が配置あるいは深く関与している事業者に限られていることも算定率を下げること
につながっている。
リハビリスタッフは、上記に挙げた場所にしかいないわけではない。
当方が運営する訪問看護ステーションには、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
を総勢5名配置している。
「リハビリスタッフは病院にしかいない」とでも思っているのか厚生労働省!
在宅における生活機能向上に精通している同リハビリスタッフを使わずしてどう
するんだ。病棟にいるリハビリスタッフよりもよっぽど機能すると思う。
今回の審議では、「取りやすい設計」を強く望む。