「意味が分からない」
先日、下記の報道を見て思った感想である。
厚生労働省は来年4月の介護報酬改定で、居宅介護支援の事業所の運営基準を見直
す方針を固めた。 以下の2点を利用者へ説明することを新たに義務付ける。
○ 前6ヵ月間に作成したケアプランについて、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与(販売)の各サービスの割合
○ 前6ヵ月間に作成したケアプランについて、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与(販売)の各サービスごとの、同一事業者によって提供されたものの割合
居宅介護支援事業の介護報酬算定基準の中に『特定事業所集中減算』という項目が
ある。この趣旨は「公平中立の立場にあるケアマネジャーが特定の介護サービス
事業所へ偏った誘導を行ってはならない。正当な理由がない場合にはペナルティー
を科す」というものである。
ご利用者を法人(会社)単位で囲い込んだり、特定の事業所とケアマネジャーとの
癒着を懸念してこのような対策が講じられた。
そして、同減算の対象事業は、訪問介護、通所介護といった所謂福祉系サービス
だけである。
なぜ、訪問看護や通所リハビリテーションといった医療系サービスがその対象とは
ならないのかについて、厚生労働省の説明は「医療系サービスは絶対数が足りてな
い。また、主治医の指示で利用するサービス事業所が決まるので、減算対象とは
しない。」とのことである。
全く持って意味不明の説明である。
たしかに、医療系サービスの利用には主治医の指示が必要となる。ただし、主治医
が「○○事業所を利用してください。」などと具体的な事業所名をあげることなど
ほぼない。結局は、ご利用者やご家族がケアマネジャーと相談して、事業所を決め
ることになる。
また、法人単位の囲い込みという点については、どこかの医療法人の代表者が同法
人に所属する居宅介護支援事業所のケアマネジャーに対して「うちの通所リハビリ
テーションを積極的に利用するようにご利用者を誘導しなさい。」と指示を出すこ
ともあり得るので、「医療系サービスだから囲い込みはない。」という理屈は成り
立たない。
厚生労働省としては、福祉系、医療系に限らず全ての事業所を減算の対象とした
かったが、医師会等の反発を受けて医療系サービスを対象とすることを断念して、
反発の少ない福祉系のみを対象とした。といったところが実情であろう。
政治的な駆け引きでコロコロと方針を変えるような省庁に「公平中立」という言葉
を気軽に使ってもらいたくない。
この減算が制度化された背景と言われている『特定の事業所とケアマネジャーとの
癒着』についても物申したいので、続きは次回に持ち越すこととする。