先日、介護保険報酬改定にかかる内容で『入浴に関するアセスメント』を取り上げ
たが、ケアマネジャーを指導する立場の方々との会話でよく取り上げられることの
中に「入浴に関するアセスメントやケアマネジメントがしっかりできているケアマ
ネジャーには優秀な人が多い」という話題がある。
私もこの話題にはおおむね賛同できる。(何をもって優秀というかにもよるが)
高齢者介護の現場で行われる基本的な介助内容に『排せつ、食事、入浴』がある。
排せつや食事は、生理的欲求に直結した行為であることから、その行為の動機づけ
が得られやすく、援助に結び付きやすい。
しかし、入浴は生理現象から起きる行為ではないことから前者と比較すると援助に
結びつけることが難しい場面が多くある。
また、入浴は行為そのものの手続きが前者と比較すると非常に多く複雑である
ため、認知機能の低下によって行為のごく一部の躓きが行為そのものができない
事に結び付きやすい。
さらに、入浴は、裸で滑りやすい環境下で移動や移乗しなければならないため、
前者と比較するとより高度な身体機能が求められる。
自分自身の入浴行為を振り返るとそのことがよくわかる。
脱衣所へ移動して着ていた服を脱ぎ、あらかじめ準備した着替えと分別しておく。
浴室へ移動して洗剤や用具を使い分けて全身を洗い、適温に調節したお湯で体を
流し、あらかじめ適温に調節した湯船に移乗する。
湯船から出ると体の水分をふき取り、着替えを行う。
これらのうちの些細な行為が自力でできない、あるいは適切な介助が受けられなけ
れば入浴ができないことにつながってしまう。
また、入浴が生命維持に直結していないことや裸体を人に見られる羞恥心などから
行為は遠ざけられてしまう。
こうした要素などから、入浴にかかるケアマネジメントは高度な技術を必要とする
と言われているのではなかろうと思う。
ただし、排せつや食事のケアマネジメントが簡単でさほど重要ではないという意味
ではないことは付け加えておきたい。