北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

記録の役割

2021.4.29

複数の専門スタッフがチームとなって対応にあたる医療・介護の現場では『記録』

が重要な役割を持つ。

 

同現場で日常的に用いられる記録は、法律や制度上定められたものから任意のもの

まで様々であるが、その多くが本来持つはずの重要な役割から乖離した書式や内容

になっているように思える。

 

記録の持つ大きな役割の一つは、『客観性の証明』ではないかと思う。

自身の行為を第三者へ伝承、伝達、証明するためには、その行為を明文化すること

が最も有効な手段であろう。

 

芸能や芸術、食文化においては、明文化の対義語としてよく用いられる『暗黙知』

が取り入れられることが多くある。

「師匠の背中を見て技を盗め」と表されるように、言語化しにくい経験や勘を五感

用いて第三者へ伝承、伝達、証明することである。

 

医療・介護の現場では、ごく限られた者にしか理解できない『職人技』が広く求め

られているわけではない。

国内のどこへ行っても、誰からであっても均一な医療や介護サービスを受けること

ができることが求められている。そのため、先進的あるいは卓越した技術であって

も、明文化され伝承、伝達されていく。

 

しかし、同現場で日常的に用いられる記録を見ると、『文書化』されてはいるが、

『明文化』されていない内容が非常に多くあるように感じる。

内容を文字にするという意味においては同義の両者であるが、明文化には読み手と

なる第三者にとって「わかりやすく、疑う余地がない内容」という意味が込められ

ている。

 

にもかかわらず、「誰の発言や行為なのか」、「書き手の主観なのか客観的な事実

なのか」も明確にせず、文字がつらつらと並べられている『記録』があまりにも

多くあり、その文書化に多大な時間を浪費している専門家が多くいる。

記録は、読み手を想定していない日記やポエムではない。

 

記録の持つ大きな役割は、他にもいくつかあるが、いずれの日にか取り上げて

みたいと思う。