『3月8日実施の介護支援専門員実務研修受講試験の受験者数を厚生労働省が公表し、47都道府県の受験者数は4万918人。過去最少の4万9312人だった昨年度から更に17.0%、8394人少なくなった。
ケアマネ試験をめぐっては昨年度、受験者数が急減して業界に衝撃が走った経緯がある。2級ヘルパーなどを除外した受験資格の厳格化も一因だが、「割りに合わない」とみなす人が増加したと指摘する声も少なくない。 ケアマネは求められる役割や研修が多く非常に大変だ。介護報酬の「処遇改善加算」の対象にも含まれておらず、給与面ではベテラン介護福祉士らに追いつかれつつある。』
との報道を見て思うこと。
近年、高齢者人口が爆発的に増え、それに伴って要援護高齢者も急増している。
そうした中で、高齢者介護サービスの人員不足は深刻化してきている。それと同様
にケアマネジャーの人員不足も否めない状況下にあるため、上記の報道は非常に
由々しき問題となる。
また、介護保険制度が開始されて間もないころは、ケアマネジャー1人あたりが
担当することができるご利用者の上限件数といったルールはなかったため、多くの
ご利用者を担当していたケアマネジャーであれば100件以上受け持ちがあった。
現在は、ケアマネジャー1人あたりが40件以上受け持ちのご利用者がいると減額
される仕組みになっているので、『100件以上受け持ち』というケアマネジャー
はほぼ皆無であろう。
そのため、ルール化以降はより多くのケアマネジャーが必要となっていた。
介護員と同様にケアマネジャーについても、国にはその仕事に従事している人たち
の身分を引き上げ、『誇りとやりがい』が増すことによって資格取得や職務につく
ことを目指す人を増やしていく施策が求められる。
ただし、資格取得や職務につくことへのハードルを下げて人員を増やそうとする
考え方には断固反対したい。
そうすることによって、明らかに興味がない方や適性を著しく欠く方がケアマネ
ジャーの職務に就く状況が急増することになりかねないし、結果として被害をこう
むるのはご利用者やご家族である。
もっとも、昨年度の試験は全国で円滑に行われたとは決して言えず、 台風19号や
新型コロナウイルスの感染拡大が影響して、試験の中止や再試験を決行せざるを
得ない状況が続き、こうした混乱を受けて受験を見送った人がいるとみられる。
いずれにしても、質を担保しつつ量を増やすということは難題である。