当ブログでは、度々「北欧の福祉先進国」を比較対象として取り上げて話題にする
ことがある。そのためか、「あなたは北欧の社会民主主義の信奉者ですか」と
問われることがしばしばある。
その問いに対する私の答えは「Noだ」。
そもそも、その時代のその国に完全にマッチする主義など存在しない。なのに一つ
のカラーリングで全てを語ろうとすることには無理がある。
どのような主義主張であっても、良い点・悪い点がある。真似るべき良い点につい
ては積極的に取り入れたほうが良いだろう。また、悪い点についても真似てはいけ
ない一つの教訓として覚えておくことは良いことだろう。
しかし、「良い点だから全て真似る」とする考えはあまりにも短絡的であろう。
北欧のそれには、感銘を受ける素晴らしい取り組みや考え方がいくつもあるが、
我が国とではこれまで歩んできた歴史も違えば、地政学的な問題もある。また、
国民の志向や生活習慣も違えば、天然資源など国家が保持している財産の内訳も
大きく違う。
条件が同じではない以上、無条件で真似ることが得策とはいいがたい。
さらに言えば、世界を見渡した時の成功例として多くの方から羨望のまなざしを
受けてきた『北欧型社会民主主義』であるが、現状では「限界点」に達してきて
おり路線変更を余儀なくされつつある。
民主主義を「アメリカ型」、「北欧型」で分類した場合によく用いられる「大きな
政府」と「小さな政府」についても一長一短がある。
「経済至上主義」も「政治による過度な市場経済への介入」も度が過ぎると多くの
国民の不利益となる。
要は、その時代その場面に合わせて、「どのようにバランスを取っていくのか」が
重要なことであって、どちらかに偏ることではない。