『通所介護の利用者の送迎にあたり、大雪への対応を余儀なくされている事業者を報酬面で支援して欲しい − 。こう呼びかける声明を、日本デイサービス協会が公式サイトに掲載した。
通常より多くの時間、手間、コストを要するとし、利用者の自宅の除雪から始めざるを得ないケースも少なくないと強調した。あわせて、「現在、北海道、東北、信越などの地域で降雪による大きな障害が出ているが、今シーズンに限ったことではなく、毎年のように発生している」と理解を求めた。
具体策としては、報酬に一定の割合を上乗せする「中山間地域等サービス提供加算」の要件緩和を注文。対象地域を拡大すること、加算率を引き上げることを要望した。また、積雪時の送迎対応時間をサービス提供時間に含めることも検討して欲しいと呼びかけた。』
との報道を見て思うこと。
報道内容にある通り、というより北海道にお住まいの方であればだれでも容易に
想像がつく状況である。現場では、こうした状況を訴え続けてきたため、「同協会
がようやく声を上げてくれた、と同時に今更かよ」との思いが交錯する。
冬季のデイサービスの送迎時には、
・道幅が狭く、対向車とすれ違うことが難しいし、駐停車する場所もない。
・ご利用者宅やその周辺の除排雪がされていないため、ご利用者が自宅から出る
ことができない。
・渋滞している場所が多く、夏季と比べ物にならないほど送迎に時間を要する。
といったことが日常茶飯事で起きる。
にもかかわらず、夏季と同様のサービス提供を求められ、その通りに行わないと
サービス提供時間減と判断され、介護報酬減収というペナルティーが待っている。
当ブログで何度も取り上げているように、冬季は多くのスタッフが夏季よりも早く
出勤しており、自ずと労働時間が長くなる。にもかかわらず、介護報酬減収などと
いった扱いを受けてしまうと現場は報われない。
介護保険制度は、国内で統一された制度であることに違いはないが、もっと地域の
違いや事情を考えないと制度の運用を継続することが難しい地域も出てくる。
滅多に雪が積もることがない東京の机の上で制度設計を行うだけでは、実情から
大きくかけ離れた制度になってしまう。