前回の続き
増え続ける介護保険サービス費への対応として、逆説的に以下の四点をあげた。
①高齢者人口を減らす。
②税金や保険料を減額する。
③物価を下げる。
④所得や年金額を増やす。
続いて、『③物価を下げる、④所得や年金額をふやす』について
物価が下がる現象、いわゆるデフレは物に対して相対的に貨幣の価値が上がって
いく状態を指すが、デフレになると物が売れず不景気になるため、企業の業績は
悪化し、従業員の給与が減ったり、リストラにより失業者が増えることにつなが
ってしまう。そうなると所得が減るため、消費者は消費を控えるようになり、
企業の業績が悪化するといった、悪循環が発生しやすい状態となる。
消費者目線で考えれば、「物は安く買えた方が良い。」ということになるが、消費
者は同時に所得者やその扶養者でもある。そのため、「物が安く変えた分だけ自分
の給与が下がる」ということになるため、“生活者”目線で考えれば、物価が下がる
ことは決して喜ばしいことにはならない。
もしも、日本が諸外国と貨幣や物的取引を一切行わない完全鎖国の状態であれば
デフレになっても国民全員が質素な生活を営むことで解決できるかもしれない。
(諸外国から経済制裁等を受けているロシアが今この状況に近いと言える。)
しかし現実には、諸外国との輸出入取引がなければ国民の生活を維持することは
できない。
デフレが長く続き、日本円の価値が下がれば、日本の不景気は益々悪化していく
ことになってしまう。
つまり、国際社会の中で生活を営んでいる現状において、「物価が下がる」ことは
より一層、自分たちの生活を苦しめることにしかならないということである。
3回の分けて次期制度改定と今後の社会保障制度について考えてみたが、
私見としては、「公的収入の減少に合わせて公的サービスを減らす」そして「減っ
た公的サービスを補う公的収入に頼らない社会福祉を充実させる」ことが、最も
現実的だということである。