いつの時代でも多くの年配者から聞かれるセリフに「今の若い者は・・」がある。
そのセリフが口から出る理由は様々であろうが、その多くは自己保身や自己肯定感
からくるのではないだろうか。
私も、膝を痛めたことや加齢とともに出来なくなってきたこと、無理が効かなく
なってきたことを数多く経験する年齢となって、若いころの自分を羨んだり、今の
自分を否定したくなることが増えてきた。
それでも人は自分のことが一番かわいいものである。
「確かに昔の自分の方がよく動けていたが、今の自分の方が世の中の役に立つだけ
の経験を持っている。それどころか、今どきの若い者は・・」といって、自分の
存在価値を見出そうとしたり、対角にいる者を蔑むことによって自分を肯定的に
とらえようとしたりする。
こうした人の心理は、時代が変わっても大きく変わることはない。
しかし、今の高齢者ほど今の若者に支えられている時代はないのではなかろうか。
直近の統計データによると、現在の高齢化率は約28%である。つまり、4人に
1人以上が高齢者ということになる。そのため、年金等の社会保障制度は3人以下
の若者が支えなければならない計算になる。
今の高齢者が若者だったころの1970年の高齢化率は約7%である。つまり、
13人に1人が高齢者であったため、多くの若者で1人の高齢者を支えることが
できた。
時代の背景によって、その時の若者が抱える課題や役割は大きく変わってくるが、
望む望まざるにかかわらず、この時代に生きる若者は高齢者を支える担い手として
大きな役割を持っている。
その担い手である若者は、当ブログで何度も取り上げている通り、多数決の原理に
押しつぶされ、少数派とされ、恩恵を享受する機会が非常に少ない状況にある。
昨年の我が国の出生者数が過去最少を更新したそうである。
自分を守りたいという人の心理を理解できないわけではないが、今の若者への理解
を深めて、愛情をもって接する気持ちがなければ、少子化対策など絵に描いた餅で
終わることだろう。
若者をないがしろにした結果、一番困るのはだれなのだろうか?