北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

理解が得られないことが理解できない

2022.8.3

『政府は7月29日の経済財政諮問会議で、来年度予算案の編成に向けた基本的な考え方をまとめた。焦点の社会保障をめぐっては、次の2024年度の介護保険制度改正にも言及。「利用者負担の見直しを含む持続性の確保」に取り組むと明記した。「給付と負担のバランスの確保」「現役世代の負担上昇の抑制」などを図る意向も示した。「利用者負担の見直し」は、2割負担・3割負担の対象者を更に拡大すること、居宅介護支援にも利用者負担を導入することなどが念頭にあるとみられる。政府はこれから審議会で議論を深め、今年の年末までに具体策を固める方針。』

との報道を見て思うこと。

 

おそらくこれから、「負担を増やすな!高齢者の切り捨ては許さない!」の大合唱

が全国あちらこちらで巻き起こり、煽り好きなマスコミがその合唱を助長すること

だろう。

「合唱したい奴は、勝手にやっておけ」と言いたいところだが、我々高齢者介護

事業者にとっては、自分たちの存在意義や今後の事業運営、将来へバトンをつなぐ

ことに大きな影響を与える内容であるため、黙って見過ごすことはできない。

 

当ブログで何度も取り上げている通り、日本の社会保険サービスは、世界中を見回

しても類を見ない“低負担高福祉”のサービスである。こんな状態を続けていると

財源が枯渇することなど小さな子供でも分かる。

介護保険制度を維持する上での“負担”についていえば、実際にサービスを利用する

方々の負担はほとんど変わっていないのに、サービスを利用する権利すら与えられ

ていない若者の負担は毎年増え続けている。それでも政治は、得票が期待できる

高齢者を優遇し、期待できない若者を冷遇し続けてきた。

 

こんなことを続けていると若者の不満は一気に爆発し、支え手・担い手を失った

介護保険制度の信頼は一気に崩れることになる。結果として、介護を必要とする

高齢者やそのご家族が混迷することになる。

 

介護保険サービス事業所に身を置く若者も年々激減してきている。

冷遇され続け、信頼もできない介護保険サービスに身を置きたいと考える若者が

どれほどいるというのだろうか。

この業界に就職を希望する若者が少ない理由として「安い、キツイ、汚い」を上げ

る方たちが多くいるが、果たしてそうなのだろうか。「冷遇されてきた自分たちと

引き換えに優遇されてきた高齢者を支える」ことに意義を見出せない若者が多く

いるからではないのだろうか。

高い志を持って高齢者介護事業を営んでいても、大切な人材を確保できなければ

事業を廃止するしかなくなる。

 

同業者の中にも、上記の大合唱に積極的に参加している“大馬鹿野郎”が少なからず

いる。その人たちは、「目先の利益や自分たちさえ良ければそれでいい」と考えて

いるとしか思えない。

介護保険制度は、時代によって多少形を変えたとしても、何百年何千年と続けて

いかなければならない大切な制度である。「自分さえ良ければ」と考える人たちに

よって崩壊させられてはいけない。

 

『低負担には低福祉、高福祉には高負担』

こんな当たり前のことが何故わからないのかが、わからない。