介護業界のICT導入や生産性の向上が話題に上っている昨今であるが、先日スイス
の国際経営開発研究所(IMD)が9月28日に発表した2022年版世界デジタル
競争力ランキングの結果や関連する考察などを見ると、我が国の生産性の向上は
遥か彼方にあるように思える。
同結果、日本は評価対象63か国中29位と過去最低順位を更新しており、我が国
より後進国と思われていた国々にバンバン追い抜かれているそうだ。
また、「データ分析の活用」、「脅威に即応できる組織体制」、「俊敏な意思決定
や実行」といった評価項目についてはぶっちぎりの最下位に沈んでいる。
新型コロナウイルス感染症の流行から今日に至るまでの国内の動きや「個人情報の
流出が・・」とか言って中々マイナンバーカードが定着しないさまを見ていると
思い当たる節ばかりである。
また、介護業界においても、厚生労働省が「事務処理を簡略化」というたびに書類
や業務量が大幅に増えていく恐怖と闘っている現状にある。
さらに痛いところを突かれた考察には、「日本のビジネスにおいてまだFAXが現役
であることは、海外のビジネスパーソンから見るとかなり奇異に映る。日本はデジ
タルの面は国際競争力で後れをとっていると言われているが、変化に対応する力が
なく、ビジネスの効率性が低下していることが日本の国際競争力を低下させている
大きな要因のひとつ。」という内容があった。
こうした国際競争力の低下が、円安更新を助長しているように思えてならない。
新型コロナウイルス感染症の流行当初、保健所がFAXで情報の集約を行っていた
ことなどを見ていて、「何やってんだか」と思っていたが、やはり諸外国からは
同じような目で見られていたようだ。
日本の一般企業はデジタル先進国と比較すると大幅に後れを取っていると言われて
いるが、我が国にとって一番悲劇なのは行政がさらに数十年遅れているにもかかわ
らずその自覚がまるでないことである。
デジタルの“デ”の字もわからないような面子がそろって、政治や行政を動かそうと
しても中々好転しないように思えてならない。