『要介護1と2の高齢者に対する訪問介護、通所介護を市町村の「総合事業」へ移管する構想をめぐり、加藤勝信厚生労働相は26日の衆議院・厚労委員会で、「『市町村が地域の実情に応じたサービス提供を行う方が効率的であり、また専門的なサービスをより重度な人に重点化していくことが必要』など、様々な意見を頂いている」と説明。「今後とも高齢者に必要なサービスを提供していく、持続可能なものとしていくためには、介護保険制度の給付と負担のバランス、これも図っていく必要がある。そうした観点も踏まえてしっかり議論していきたい」と見解を示したことに対し、野党議員は「多くの事業者が赤字になる。財務省に押し切られないように、しっかりと現行制度を堅持すべき」と訴えた。』
との報道を見て思うこと。
野党議員のいう「多くの事業者が赤字になる。」について???である。
“事業所の赤字”が論点となるのであれば、保険料や税金を上げて、より多くの財源
を確保すればよいだけの話しだろう。そうすることで保険給付の財源が確保され、
多くの事業所が赤字になることを回避できる。
論点とすべきところはそこではないだろう。
「財源も人材も限られているが、介護サービスご利用の対象となる人は増え続けて
いる現状を踏まえて、この社会保険制度をどのように運営していくか」だろう。
その野党議員が「保険料や税金負担の増額」を口にしないのは、多くの国民から
猛反発を食らうことがわかっているからである。また、介護サービス事業者のこと
を「絶対につぶしてはいけない大切な社会資源」と位置付けてくれているのであれ
ば、何があっても国民に負担増額を理解してもらうべく説明するはずであるが、
そういったことも一切しない。つまり同議員も“限られた財源や人材”の中でやり
くりしなければならない現状にあることがわかっているのである。
にもかかわらず、現実的ではない論調で無理難題を吹っ掛ける行為は、“難癖”以外
の何物でもない。
さらには、この手の難癖をつける輩は決まって、悲劇的と言える“現場の人材不足”
を解消する具体的な対案を示さないし、口にも出さない。仮に示したとしても、
非現実的な夢物語ばかりを語りだす。
この先、廃業する介護事業者が増えるとすると、その原因は“集客不足”ではなく
“人材不足”のほうが圧倒的に多いと予測できる。
この議員には是非とも、保険料や税金を上げず、担い手も増やさず、増え続ける
ご利用者を今まで通りに対応して、どの事業者も赤字にならない魔法を伝授して
いただきたいものだ。
こういった類の人にお似合いなのは、国会ではなくレジャーランドの魔法の国では
なかろうか。
今回の報道にあるような下らない戯言のやりとりで、国会の議論が空転してしまう
ことによって国民の損害が増えることが一番問題だ。