『日本介護福祉士会は4日、要介護1と2の高齢者への訪問介護、通所介護を市町村の総合へ事業移管する構想について、公式サイトで反対の意見表明を行った。
10月31日に開催された厚生労働省の審議会では、及川ゆりこ会長が「要介護1と2の利用者には認知症の方がおられ、予測できない行動がみられる方、混乱期・葛藤期にある方なども多い」と指摘したうえで、「総合事業の体制には地域ごとのばらつきがあり、効果的、安定的な取り組みが期待できない。結果として状態の悪化を招き、給付費の増加につながる懸念もある」と問題を提起していた。』
との報道を見て思うこと。
こういった反対意見を出している方々の論調を聞いていると、まるで要介護3~5
という、より介護の必要性が高い方々は今後何の影響も受けず、今まで通りの介護
サービスを今まで通りの利用料金で利用することができると錯覚してしまう。
しかし現実は全く違う。
要介護高齢者は年々増え続ける。そして、担い手となる生産年齢人口は年々減り
続ける。要介護1、2の方々に対応する介護職が減ることと同様に、より介護の
必要性が高い要介護3~5の方々に対応する介護職も減っていく。
だから、介護の必要性が高い要介護3~5の方々が入所されている特別養護老人
ホームの人員基準を“3対1”から“4とか5対1”に変更する案が浮上している。
残念ながら、担い手となる生産年齢人口を急激に増やす魔法はない。であれば、
より介護の必要性が高い要介護3~5の方々に対応する介護職を減らすことだけは
何があっても避けなければならない。
また、上記の反対意見には、「要介護1と2の高齢者への訪問介護、通所介護を市町
村の総合へ事業移管することで介護給付費が増加する」との論調がある。
しかし現実は全く違う。
要介護高齢者は年々増え続ける。そして、担い手となる生産年齢人口は年々減り
続ける。つまり、介護サービスを利用する方々が増え続けるのだから、このままの
状態を放置していると介護給付費は爆発的に増えるのである。そして、担い手一人
あたりの負担も爆発的に増える。
さらに言えば、要介護高齢者は年々増え続け、担い手となる生産年齢人口は年々
減り続けるのだから、介護保険財源は減り続け、給付対象となるご利用者は増え
続けることになる。これは、一人の介護サービス利用者へ給付する介護費が減る
ことになる。つまり、介護サービス事業者にとっては、同じサービスを提供しても
頂ける報酬が減るということにつながる。
『総合事業へ移管』せずに現状を維持するということは、介護職に対して「労働量
は今までよりも増えるけど給料は減らします。」と言っていることに等しい。
及川会長さん!
要介護1、2の方々のことを気にかけるのはいいけど、より介護の必要性が高い
要介護3~5の方々のことは無視ですか?
それと、介護福祉士がより過酷な状況に置かれることが目に見えているのに、現実
離れした妄想論を展開して、介護福祉士をさらに窮地へ追い込むつもりですか?
貴方の意見は、決して介護現場の総意などではありません!