北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

労働環境の改善

2023.2.9

ここのところ、少子化対策とセットで、政府が話題としてとりあげていることに

『労働環境の改善』や『労働者の賃上げ』がある。

ただし、どれをとっても現実的ではなく、ただスローガンを立ち上げただけとしか

思えない。

 

労働環境の改善の代表的な項目に、「休日を増やす」ことと「労働時間の短縮」が

あげられるが、労働人口が年々減ってきている状況の中で、休日を増やして労働時

間を短縮することでどのような事態が起きるのかは、火を見るより明らかだ。

 

一昔前、大手コンビニエンスストアのフランチャイズ加盟店の多くが深夜帯の人員

を確保することができないため、深夜の営業を廃止しようとしたところ、本部に

訴えを起こされて泣く泣く深夜の営業の継続を余儀なくされたことがあった。

そして、その人員不足の穴埋めは、加盟店の店主が寝ずに対応するしかない。おそ

らくは、体調を崩された店主も多くいたことだろうし、廃業を余儀なくされた方も

いたことだろう。

結果として、近所のコンビニが無くなり困った消費者が多くいたはずだ。

 

こうした状況は、なにもコンビニ業界だけの話ではなく、多くの業界が人材不足に

あえいでいる。何の手当もなく、労働者の休日を増やして労働時間を短縮すること

だけを進めてしまえば、一部の人に多大なしわ寄せがくることにしかならず、結果

として消費者が困ることになる。

 

さらに言えば、我が国のサービス業の多くは、“過剰”といっても過言ではない顧客

のニーズにこたえることが当たり前となっている。

物流業界は、深刻なドライバー不足の状況にある。にもかかわらず、配達日時を指

定されたあげくに家主が不在であれば何度も同じ荷物を配達しなければならない。

配送業者から、「労働者の休日を増やして労働時間を短縮したので、ご希望通りに

配達できません」と言われて納得する顧客はいないだろう。

 

このことは我々介護業界にもあてはまる。多くの事業者が「人手が足りない」と

言っているのにもかかわらず、要介護者の中でも比較的軽度な要介護1と2の高齢

者に対する訪問介護、通所介護を市町村が運営する「総合事業」へ移管する構想に

反対を唱えて、「何でもかんでも今まで通りに対応しろ」という輩がいる。

当然そんな輩に対して、「労働者の休日を増やして労働時間を短縮したので、ご希

望通りのサービス提供ができません」と言って納得してもらうことはないだろう。

 

今は令和の時代にある。決して、人手が余るほどいた昭和の時代ではない。

そのことを政府も国民も今一度認識したほうが良いのではなかろうか。

 

『労働者の賃上げ』については次回に持ち越そうと思う。