ここ数年間、国の政策によって介護職員の処遇を改善するための様々な取組が実施
されている。当然のことながら、当方は該当する全ての補助金申請を行っている。
ところが、先月に国から公表された内容によると、新設された介護職員の処遇改善
にかかる補助金申請を約3割の事業者が行っていないとのことだった。
当たり前のことだが、申請をしなければ補助金を受け取ることはできず、介護職員
の処遇改善にあてる資金を増やすことはできない。
こうした結果を踏まえて、補助金申請をしなかった事業所の経営者を責め立てる
論述が多くある。「職員に不利益を与えている」、「怠け者で経営者失格だ」など
確かに、多くの事業者が申請しているわけだから、要件さえそろえておけば全ての
事業者が申請することができる内容ではある。
ただし、いつも思うことではあるが、全ての事業者に行き渡らせることを目的とし
ている資金なのであれば、なぜ“申請主義”の形をとるのだろうか。
そして、その申請手続きも数分で完了するような内容ではなく、それなりの時間と
手間をかけないと完了しない内容となっていて、類似する制度ではあっても複数に
またがる制度設計となっているため、複数の手続きを必要としている。
国内のどのような手続であっても、一度で簡単に完了するものが非常に少なく、
知識や技術力の差によって、恩恵を受けることができる人とできない人が発生して
しまうことが多い。
「高齢者のための制度」と言っておきながら、高齢者にとっては非常に難解な手続
を要する内容となっているものが非常に多くある。力量によって受けることができ
る恩恵に差が出るって、そんな国の制度があっていいのだろうか。
暇を持て余した官僚が、持ち前の底意地の悪さを発揮して、申請しずらい制度を
作り上げているとしか思えない。おそらく彼らは、『生産性の向上』の意味が理解
できないのだろう。いやもしかしたら、申請がしやすくなってしまうと自分たちの
仕事が無くなってしまって、自分達の存在価値が損なわれてしまうことを恐れてい
るのかもしれない。
あなたたちのそういった思考こそ、「職員に不利益を与えている」と声を大にして
いいたい。
一方で、補助金申請はしても、介護職員の処遇改善にその資金を十分にはあててい
ない事業者もいるらしい。
あえて言うなら、暇を持て余した官僚は、そういった事業者を取り締まる方に持ち
前の底意地の悪さを発揮してもらいたい。