先月末に厚生労働省が公表した人口動態統計の速報値によると、昨年の出生数が
過去最少の79万9728人と統計を取り始めて以来、初めて80万人を割った。
そして、この数字が増えることは期待できず、毎年減り続けることが現実的な予想
となっている。
この発表を受けて、「政治は少子化対策を本気で取り組む気がない」、「世代間
の分断や対立が深刻化する」など、国民の不満が噴出していることを取り上げる
報道が数多くある。
しかし残念ながら、この結果を導いたのは国民をおいて他にはいない。
選挙の投票権を持つ圧倒的多数派である高齢者世代の多くが、少子化対策よりも
自分たちの処遇を上げることを強く望んだため、政治家の多くは高齢者世代に迎合
する政策をより多く打ち出しつづけた。その中には、「子供がいない人たちは何ら
恩恵を受けることができないのに少子化対策に多額の税金を使うことは不公平だ」
という人まで出てくる始末だ。
つまり、そんな政治家を生み出したのは国民自身ということになる。
それがこの結果だ。
当ブログでは、
「高齢者厚遇と若者冷遇」、「低負担高福祉」、「公的サービス依存」といった
現状の是正を繰り返し訴えてきた。
そうしなければ、現状の社会福祉や社会保障制度を維持できないからだ。
誰しも目の前の課題や自分自身の利益を考えるだけで精一杯という状況にあって
他人のことやら未来のことなど考える余裕がないことは十分に理解できる。
それでも、「要介護1と2の高齢者に対する訪問介護、通所介護を市町村が運営
する総合事業へ移管する構想に反対」とか、アホみたいなことは言わず、
「自分たちの年金を減らしてでも、未来ある子供たちのために国のお金を有効に
使ってほしい」とか、「高齢者介護や福祉と同程度に子供たちの福祉を充実させて
ほしい」と思う人が一人でも増えれば、政治が大きく動くこともあるだろう。
震災時等の危機的状況下や国際社会における振る舞いなどから、「日本の国民は
非常に民度が高い」と諸外国から称賛を受けることが多くある。
ここはひとつ、未来ある子供たちのために、その民度の高さを発揮する時ではない
のだろうか。