『岸田文雄首相は9日、全世代型の社会保障制度の構築に向けた法案を審議している参議院・厚生労働委員会に出席し、異次元の少子化対策を実現するうえで欠かせない十分な財源の確保策を問われ、「徹底した歳出の見直し、これが大前提であることは間違いない」と重ねて言明した。自民党内で浮上している医療や介護などの保険料の一部を充てる案については、「様々な工夫をしながら社会全体でどう安定的に支えていくのか、これを考えていきたい」と説明。まだ結論は出していないと強調しつつ、選択肢の1つとして検討していることを否定しなかった。』
との報道を見て思うこと。
前回の当ブログでも同様の話題を取り上げたところである。
しかしそうした中で、「医療や介護などの保険料の一部を充てる」が誤った方向に
行かないようにしてもらいたい。
誤った方向とは、「医療や介護などの保険料の一部を充てる」ことによって、医療
や介護の全てのサービスに対して報酬額の引き下げと自己負担額の増額を行うこと
である。
もちろん、医療や介護に係る財源が少なくなるのだから、今までと同額の報酬額や
自己負担額を維持することはできない。
だからこそ、全てのサービスを一様に取り扱うのではなく、生活や生命を維持する
うえで公的位置づけとして必要性の高いサービスとそうではないサービスを仕分け
してから報酬額や自己負担額を決めるべきだろう。
医療や介護のサービスの中で、公的位置づけとして必要性の低いサービスは探せば
いくらでもある。そうすることによって、必要性の高いサービスは今までと大きく
変わらない報酬額や自己負担額を維持することが可能となる。
例えば、コロナ禍では、多くの要支援者が「コロナ感染を懸念して」通所サービス
の利用を長期間自粛した。つまり、生活や生命を維持するために「通所サービスを
利用しない」ことを優先したのである。
一方で、日常生活上の支援を必要としている方々は、生活や生命を維持するために
これまで通りに介護サービスの提供を受けていた。
この状況を一様に取り扱うことが適切ではないことは言うまでもないことだ。可能
であれば、前者のサービスに対する報酬額減額や自己負担額増額を実施して、後者
は、できる限り今までと変わらない形でサービスの提供と利用をすることが理想で
あろう。
岸田首相の言う「様々な工夫をしながら・・」が、こういった形になることを切に
願っている。