「右からケアプランを作り始めるケアマネジャー」
と聞いてピンとくる人は、中々の”通な人”といえる。
ケアマネジャーが作成するケアプラン(特に居宅サービス計画書(2))の書式
は、簡単に言うと左から『①課題⇒②課題の原因(目標)⇒③原因の解決の方法』
となっている。
つまり、左から右へ作成する手順が進んでいく書式となっている。
何か問題が起きた場合の一般的な思考も、「その問題の原因を分析して、その原因
を解決するための方法を導き出し、そして実行に移す」という流れで進む。
なのに何故か、右からケアプランを作り始めるケアマネジャーが非常に多い。私の
知る限りではあるが、8割方のケアマネジャーがそのようにしている。
一般の方にとってみると、「何もないところから、③原因の解決の方法が始まる
わけないだろう」と思われるかもしれない。
残念ながら現実に起きている。いや日常的に起きている。
ここでいう「③原因の解決の方法」は何を指すのかというと、デイサービスやヘル
パーサービスなどのことである。
つまり、「デイサービスを利用する」ことありきで話が始まるということである。
そして、②課題の原因(目標)や①課題を後付けで作り始める。
これが、「右からケアプランを作り始めるケアマネジャー」の正体である。
こういうケアマネジャーは、「課題が何なのか」、「課題の原因は何なのか」と
いうことにあまり関心がなく、「とにかく介護サービスを利用する」ことにばかり
気が向いている。「このケアマネは、ろくに話も聞かないでやたらと介護サービス
の利用を勧めてくるなぁ」と思ったら要注意である。
こういうケアマネジャーに担当されると、「介護サービスを利用することで偶発的
に課題が解決する」ことに期待するしかなくなる。
例えるなら、病気に詳しくない適当な医者が、患者に対して自分の手元にある薬を
適当に処方したところ、偶々病気の症状が治まったといった状況である。
例えにあるように、偶々であっても症状が治まったのであれば良いのだろうが、
そもそも薬は人体に影響を与えるものである。病状が悪化することもあれば、別の
病気が新たに発症してしまう危険性もある。
当然のことながら、適当に取り扱ってよい代物ではない。
また、その病気を治す最適な方法が”薬”とは限らない。
適度に体を動かすことによって症状が治まることもあれば、緊急手術を行わなけれ
ば手遅れとなることだってある。
病気に詳しくない適当な医者にそんな見立てはできるわけもなく、そんな医者に
担当されてしまえば悲劇でしかない。
察しのいい方であれば言いたいことがお分かりだろう。
「右からケアプランを作り始めるケアマネジャー」に担当されることは悲劇を生む
ことになる。
私としては、長年お世話になっているこの業界への恩返しのためにも、”右利き”を
”左利き”に矯正することに微力ながら尽力したいと思っている。