『加藤勝信厚生労働相は19日の衆議院・厚生労働委員会で、医療・介護分野の人材紹介会社に対する規制の強化を求める声が上がっていることについて、野党議員からの質問に答えた。同議員は加藤厚労相に対し、「紹介手数料の上限規制が必要だ」と提言。「ハローワークは収入やステータスの向上につながる前向きな転職にほとんど機能していない。この問題はハローワークの機能不全と表裏一体だ」とも指摘し、状況の改善を強く要請した。』
との報道を見て思うこと。
当ブログでも幾度となく触れてきた人材紹介や派遣についてであるが、上記にある
ような議論を聞くたびにいつも思うこととしては、「根本的な中身についての話し
合いが行われていない」ということである。
確かに人材派遣・紹介会社の多くが、『どこの組織でも上手く適応できない”役立
たず”を人材不足にあえいでいる企業の弱みに付け込み、高額な報酬で”押し付け
ている”状態』にあることについては、思うことが沢山ある。
それでも、法や社会秩序に反する行為ではなく、歴とした”商売”である以上は、誰
が何を言おうとも認めざるを得ないし、法的に規制をかけることもやりすぎという
ことになってしまう。
それよりなにより、話し合われなければならない根本的な問題があるのではないの
か。それは、今ある介護サービス事業所数が適当な数字なのかということである。
労働者人口以上に会社やお店が存在していれば、当然人材不足に陥ることになる。
以前、身近なところでこんな話を聞いた。「立派な建物の高齢者施設を作っては
見たが、働く人がいなくて半分以上の部屋を閉じたままにしている」とのことだ。
担い手がいないのに、事業所の数を無計画に増やし続ければ、多くの事業所が人手
不足となり、”高額報酬目当てにあちこちの事業所を渡り歩く不届き者”と”そう
いった人たちを紹介・派遣して暴利をむさぼる不届き者”の餌食となるだけだ。
「あれもこれも」という国民の要望に応えようとすることは決して悪いことでは
ないが、「できないことはできない」とはっきり伝えなければならない時もある
だろう。
「軽度要援護者から重度要援護者にいたるまで、全ての要援護者に対して充実した
介護サービスを用意する」といっても、担い手がいないのだから優先順位をつけて
いくしかないだろう。
「規制をかける」べきなのは、人材紹介・派遣会社に対してではなく、無計画に
増え続ける事業者数の方ではないかと思う。そのためにも、担い手の数を勘案した
優先順位を決めて、言わなければならないことはごまかさずに伝える必要がある。