『下肢』とは、人間の下半身いわゆる足の部分を指す。
介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成するほぼすべてのケアプランに
『下肢筋力低下』という言葉が、まるで呪文のように繰り返し書かれている。
これは、高齢者になると筋肉量が減って、筋力が衰えることで、生活場面で様々な
支障をきたすという浅はかな発想から生まれる。
しかし、
加齢に伴う筋肉量が減少することで、立ったり、歩いたりすることができなくなる
ことは非常に稀である。
例えば、
パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋ジストロフィーなどの難病指定
を受けている特殊な疾患を持っている方であれば、一般的な加齢に伴う減少とは
比較にならないほどのスピードで筋肉量が減少したり、立ったり、歩いたりする
ために必要な能力を奪われてしまう。
こういった状態にある方であれば、筋力低下は生活を維持するうえで大きな課題と
なるため、何らかの手当てが必要である。
一般的な高齢者に目を向けると、立ったり、歩いたりすることが難しくなっている
主な原因は、膝や腰などの関節痛、腰や足の骨の変形、柔軟性が失われることに
よるバランス力の低下、視力低下や視野の狭窄、薬の副作用などである。
にもかかわらず、魔法の呪文を繰り返し唱える介護支援専門員(ケアマネジャー)
が多数を占めるのはなぜか、それは『分析する』という能力が著しく欠けている
からに他ならない。
このような介護支援専門員(ケアマネジャー)に担当されたご利用者は、
不幸である。
大切なのは、『今ある生活を豊かに過ごす』ことであって、『筋肉量を増やす』
ことではない。