北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

民間企業に市場を開放したじゃない

2023.7.3

『財務省は6月30日、国のお金の使い方に無駄などがないか調べる調査の結果を

公表し、介護保険制度の給付費についても問題を提起している。

財務諸表などが公開されている社会福祉法人の経営状況を分析したところ、足元で

現預金や積立金の額が増えていることが分かったと報告。介護職員の確保、それに

つながる処遇の改善が大きな課題となっていることを念頭に、「現預金などが積み

上がっているにもかかわらず、一部の法人では職員の給与に還元されていない可能

性がある」と指摘した。』

との報道があった。

 

公益法人である社会福祉人の特性を加味すると、こういった指摘を受けても仕方が

ないだろうと思う。この法人格は、公益な事業を独占的に担う事が出来たり、営利

法人が当たり前に納めている法人税が免除されているなど、様々な特権を有してい

る。特権が多くある分だけ行政の管理が強くなることはある意味当然と言える。

しかし、そのあとに続く内容には首をかしげたくなる。

 

財務省は、『そのうえで、「職員の給与への適切な還元を促進する仕組み作りを

検討すべき」と提言。現在、その保有資産も含めて経営状況を詳しく分析できる

のが社会福祉法人に限られていることを踏まえ、「医療法人や営利法人についても

同様に財務諸表などの公表を求め、保有資産を含めた“見える化”を推進する必要が

ある」と意見した。』と続けて述べている。

 

この人たち何言ってんだろう。

医療・介護保険サービス事業を運営するためには、申請して許認可を得なければな

らないし、報酬を得るためには予め定められているルールに沿ってサービス提供や

事業運営をしていなければならない。

営利法人に限っては、ルールに従って得られた報酬のうち、ルールに従って支払い

終えた残金をどのように使うのかは、その法人の裁量によるところだろう。

得た報酬の使い道にまで行政が口をはさんでくるとは、一体いつからこの国は社会

主義国家に代わっていたのだろうかと錯覚しそうだ。

 

大昔は、「公的社会保険サービス等の公益性の高い事業は、全て公益法人で担うべ

きだ。」という考え方が主流であった。しかし、行政や公益法人で全てを担うこと

が難しい場合には、民間企業に一部委託したり、市場を開放したりする。

介護保険の制度設計が、まさに「民間企業に市場を開放する」ことを前提に組み

立てられている。つまり、営利法人が公的保険サービス事業を運営することは初め

から決まっていたことである。

 

公的保険サービスを提供しているからといって、何の特権も有していない営利法人

を公益法人と同等に取り扱うとは、資本主義も市場原理もあったものではない。

そんなことをいうのだったら、初めから民間企業に市場を開放しなければよかった

じゃないか。

民間企業を政府や行政の思うままに操るって、まるでどっかの国みたい。