前回の続き
我が国の経済成長が停滞し、また少子高齢社会の人口構造の大幅な変化などから、
社会保障費の財源徴収と給付のバランスが大きく崩れ始めており、世界に誇る高品
質低負担な制度を維持することが困難を極めているため、今後の我が国の社会保障
制度は大幅な変革が求められている。
この変革を論じる際に多くの専門家は、「所得保障や生活保障を含めた高品質な社会
保障の維持」、そして「年金受給者である高齢者の低負担の維持」を大前提としてい
ることがほとんどである。
しかし私は、この前提がそもそも間違っているように思えてならない。
我が国の高度経済成長期はとっくの昔に終わっている。
他国では真似ができなかった高品質な社会保障が実現できたのは、この経済成長の
おかげ以外の何物でもない。30年以上経済が停滞している我が国には、高品質を
担保できるだけの財力はない。
さらには、50年前の高度経済成長期は10人に1人が高齢者という比率であった
が、現在は4人に1人が高齢者という比率に変わっている。社会保障を支える世代
の経済的、身体的負担は計り知れないほど増え続けている。この世代には、高品質
な社会保障を支えるだけの財力も人材も足りていない。
加えて、高齢者の低負担を維持するために、この世代の負担をさらに増やすという
ことになれば、多くの人が貧困者となり社会保障費受給者となってしまう。
こうしたことを前提として考えた時に、今後の我が国の社会保障制度は「身の丈に
合った品質の社会保障に戻す」ことが求められていると思う。
そして、社会保障制度の元来の目的である貧困対策を主軸として、出来る範囲内の
所得保障や生活保障の実現へ考え方を改める必要がある。
そのためには、行き過ぎた社会保障サービスを終了すると同時に、元来我が国の
強みであった家族や地域の相互扶助機能の再構築を図ることが重要であろう。
幸いにして我が国には、高度経済成長期を支えてきた知識や技術を十分に兼ね備え
て定年を迎えた猛者たち山のようにいる。
この人達のことを「高齢者、弱者、要援護者」と一方的に扱っていることがそもそ
もの大間違いである。
この人達こそ、我が国の窮地を救うかけがえのない人材であり”救世主”であろう。
そして、大変ありがたいことに、当方が運営する事業所の所在地である江別市大麻
は”救世主”と呼ぶにふさわしい人材の宝庫である。