北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

何で居宅介護支援事業と切り離したの?

2023.9.1

次年度の介護保険制度改正に向けて審議されている内容を見てみると、厚生労働省

は、地域包括支援センターの業務負担の軽減に向けた施策を本気で検討したいらし

いことがわかる。

 

以前に当ブログでも取り上げた『介護予防支援のケアマネジメントを居宅支援事業

所にも担ってもらう』ことがその一つなのだが、もう一つは『総合相談支援業務の

一部も居宅支援事業所にも担ってもらう』ことを考えているようだ。

 

総合相談とは、地域に住む高齢者に関するさまざまな相談をすべて受け止め、適切

な機関・制度・サービスにつなぎ、継続的にフォローすることを指す。

これまでの制度は、医療、保健、福祉が個別に機能する”制度の縦割り化”が強く、

医療なのか保健なのか福祉なのかの区分が難しい状況下にある場合に、複数の窓口

を”たらい回し”にされることが多くあった。

そこで、生活を軸として総合的に相談できる仕組みが必要だということになって、

総合相談という考え方が生まれ、あらゆるサービスの調整まで可能になるといった

ワンストップサービス拠点として、地域包括支援センターがこの役割を担うことに

なった。

こうした背景から、地域包括支援センターのメイン業務は、『総合相談支援業務』

と言っても過言ではない。

 

しかし情けないことに、全国の地域包括支援センターを対象としたアンケート調査

の結果によると、地域包括支援センターに所属する職員は、負担を感じている業務

の第1位を『総合相談支援業務』と回答しているとのことである。

こうした調査結果を受けて、厚生労働省は『総合相談支援業務の一部も居宅支援事

業所にも担ってもらう』などと考えているのだろう。

 

総合相談業務が「一番大変だ」と思うこと自体は間違いではないし、実際に大変な

苦労をして業務に従事していることと思う。

ただ、それを言っちゃおしまいだろう。

トラックドライバーが「運転することが一番大変です」とか、魚屋さんが「魚を

売ることが一番大変です」と言っていたら皆どう思うだろう。

 

そんな当たり前のことを恥ずかしげもなく、「1番大変」と回答している人達って

地域包括支援センターの役割を理解しているのだろうか。個人的には、そんな人達

に総合相談業務に従事してもらいたくはない。

そして、そんな当たり前のことを取り上げて、業務負担の軽減を図るために業務の

一部を居宅介護支援事業所に担わせようとしている厚生労働省はもっとどうかして

いる。

そんなことを言い出すのであれば、「何で、総合相談の役割も担っていた居宅介護

支援事業からその役割を切り離して、地域包括支援センターを創設してその役割を

担わせることにしたのか」問いたくなる。