北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

今後の社会保障制度の在り方(その1)

2024.5.7

当ブログで何度か紹介している通り、当方では毎年市内外にある大学の学生実習を

受け入れている。

毎年受け入れているにも関わらず、担当教諭とお話する機会を積極的に持つこと

怠っていたことを反省し、先日複数の大学へお邪魔して、昨今の大学生の思考性や

抱えている課題、実習に向かう姿勢などについてお話を聞くこととした。

 

担当教諭から非常に興味深い話を伺うことができ、とても有意義な時間を持つこと

ができた。この場を借りて、対応いただいた先生には厚く御礼申し上げたい。

その話の延長線上で、学外講師として、これから実習に向かう大学生を対象とした

講義の依頼を受けることとなった。

 

その講義の内容は、介護や福祉の現場の目線で実習への心構えや事前準備について

講話することが期待されていることと思うのだが、これをきっかけに30年以上前

に大学で学んだ社会保障制度について、今一度整理しておこうと思った。

というわけで、勝手に我が国の社会保障制度について私見をおおいに交えてまとめ

てみることとした。

 

社会保障制度は、元々貧困対策を目的として創設された制度で、現在の役割を担う

に至る歴史をさかのぼると「貧困層への救済を目的としたイギリスの救貧法」や

「傷病等によって生活が困窮することを未然に防ぐことを目的としたドイツの社会

立法」などが起源と言われている。

 

また、社会保障と経済の発展は切っても切れない深い関係性がある。

産業革命以降の経済発展は、人々の生活を豊かにしていった一方で多くの貧困者を

生み出すことにもつながってしまった。

その結果として、単なる貧困対策から労働者階層の貧困化対策や生活保障等のより

複雑化した社会保障制度へと変貌していくこととなり、現制度へと繋がっている。

 

我が国でもヨーロッパ先進国から数百年遅れて社会保障政策が制度化された。

やはり始めは貧困対策が主な目的であったが、明治維新以降の社会構造の変化や

産業の発展に伴って、生活保障等のより複雑化した社会保障制度となった。

そして、戦後以降に先進諸国が社会保障をより生活保障へとシフトしていくことへ

追従するように我が国も生活保障の充実を図るようになった。

さらに、国民皆保険制度の制定や高度経済成長の後押しもあって、我が国の社会保

障制度は世界でも類を見ないほど高品質低負担な制度へと進化を遂げていった。

 

しかし現在、社会構造の変化に伴って、社会保障制度の在り方について大幅な変革

を余儀なくされている状況にある。

我が国は、経済成長が停滞して一昔前の金持ち国家ではなくなってしまった。

また、少子高齢社会の人口構造の大幅な変化や定年退職後の平均寿命が延びている

ことなどから、社会保障費の財源徴収と給付のバランスが大きく崩れ始めており、

世界に誇る高品質低負担な制度を維持することが困難を極めている。

 

それでは、今後の我が国の社会保障制度はどのように変革していけばよいか。

ちょっと話が長くなってしまったので続きは次回に持ち越すことにしよう。