膨大な量の書類や事務処理業務に追われていて、中々ご利用者と直接かかわる時間
が作れずにいたが、ここ最近はご利用者を車で送迎することがあり、ご利用者と
車中でお話しできることが増えて、とても有意義に感じている。その中には、古く
からかかわりがあり、独立前からの私をよく知るご利用者も数多くいらっしゃる。
先日、あるご利用者から「もっと若いころのあなたを知っているけど、まさか独立
してこんな立派になるなんて思わなかった。すごく頑張ったんだね。」と声をかけ
ていただいた。
久しぶりお会いしてお話しできただけでもうれしかったのに、そのような言葉を
かけていただいて涙が出そうになるくらいうれしかった。
事業所に戻ってスタッフへそんな雑談をしたことを伝えたところ、そのスタッフは
「介護に従事しているからといって、こちらが一方的にご利用者を支えている気に
なってしまうことがあるけど、実は我々もご利用者にものすごく支えられていると
思う。」と言っていた。
本当にその通りだと思った。
ご利用者である人生の先輩たちは、時に私たちにいろんなことを教えてくださり、
時に私たちを励まし勇気づけてくださる。
契約においてはお客様と従業者という間柄ではあるが、人が直接人に相対するこの
関係性にあっては、情緒的な結びつきは切っても切り離せないところがある。
他の業種と同様に『生産性の向上』が叫ばれているこの介護業界であるが、その
政策は人が直接人に相対する時間を省略してしまうものであってはいけないと強く
感じる。ITもロボットの導入も大いに結構であるが、それらを活用することによっ
て、私たちがご利用者と直接かかわることができる時間が増えるものでなければ
ならない。
そのためには、膨大な量の書類や事務処理を簡略化しなければ実現しない。
国が「事務処理を簡略化します。」というたびに、作成しなければならない書類が
増えていき、その内容も複雑化していく。“簡略化”という意味を分かっていないの
ではないかと疑いたくなるほどお粗末な状況が続いている。
私たちは、もっとご利用者と直接かかわる時間が欲しい。