国が、ようやく新型コロナウイルス感染症に対して、“共存”する方向に舵を切り
始めたようだ。
先月、同感染者の『全数把握』の見直しが行われ、昨日から『外国人の入国制限』
が緩和されて、多くの観光客が日本を訪れている。
ここ数カ月で新型コロナウイルスの毒性が変化したわけでもなければ、特効薬が
承認されたわけでもない。もっと早くに同様の対応を取ったとしても大きく変わる
ことはなかったであろう。また、国際情勢から鑑みてもこの対応はかなり遅い。
それでも、ようやく理性のある正常な動きを取り戻そうとしていることについては
安堵している。
しかし、未だに緩和されていない『待機期間』の対応についてはどうにも納得が
いかない。
同期間の現状は、無症状者の場合は検体採取日から7日間を経過した場合に待機が
解除となる(5日目の検査キットによる検査で陰性を確認した場合には、6日目に
解除)。濃厚接触者は陽性者と接触した日を0日として翌日から5日間を経過した
場合に解除となる(2日目及び3日目に検査を行い、陰性であれば3日目から待機
を解除)となっている。
こんな待機期間を設定しているのは、世界中を見渡してもお隣の国と日本くらいの
ものである。そして、その期間の管理に国(保健所)がかかわることはほとんど
なく、医療や介護、教育現場に“丸投げ”状態にあるため、国の「現場に判断をゆだ
ねて、自分達が責任を問われない形でなし崩し的に同期間が縮まっていく」という
姑息な狙いが透けて見えてくる。
それぞれの現場では、国に「赤信号は止まれ。でも臨機応変に。」と言われれても
信号を無視しすることなどできず、ただ止まる以外になす術がない。たとえ、無数
の車で混雑していて大渋滞が起きていてもだ。そんな状況にあるのに、国は“交通
整理”をしようという気がまるでない。
そうすると現場は混乱しかしないし、結局犠牲となるのは患者、利用者、生徒たち
であり、最も多くの支援を必要としている者たちが多大な犠牲を被ることになる。
“共存”すると腹を決めたのだから、逃げずに最後まで方針を示すべきだろう。