北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

社会保障制度は打ち上げ花火じゃ困る

2023.3.8

先月末に厚生労働省が公表した情報によると、40歳から64歳までの現役世代が

支払う介護保険料は、今年4月以降、一月当たりの平均が6216円と現在より

111円増え、これまでで最も高くなることがわかった。

この数字は、制度が開始した2000年が2075円だったので、この23年で

3倍近く増加したことになる。

さらに言えば、今後この数字が少なくなることはなく、毎年増え続ける。

 

要介護1と2の高齢者に対する訪問介護、通所介護を市町村が運営する総合事業へ

移管する構想に反対するような“無責任論者”は、「介護サービスの質を落とすな」

とか声高らかに叫ぶが、上記に挙げた数字については、たとえ目の当たりにしても

まるで何事もなかったかのように沈黙を貫くのである。

 

高齢者人口が増え続けていて、現役世代人口が減り続けている中で、今まで通りの

介護サービスを運営するためには、現役世代が支払う介護保険料を増やしていく

必要がある。このまま推移していくと、一月当たりの平均が一万円台になることも

そう遠くない将来の出来事になる。

 

この23年間で国民の平均給与が大幅に増えているのであれば左程大きな問題にも

なっていないのだが、はっきり言って変わっていない。むしろ減っているという

データもある。

消費税や所得税が増額され、社会保険料が毎年増額されてしまうと、いよいよ現役

世代の手元にはお金が残らなくなる。

 

税金や保険料負担を引き下げたうえで社会保険サービスを今まで通りに維持すると

いった魔法もなければ、ずっと空を見上げていると天からお金が降ってくることも

ない。いい加減、夢から覚めて現実を見たほうがいい。

 

こういった話題をブログで取り上げているためか、「お前は高齢者介護事業に携わ

っていながら、高齢者を軽視している」と言われることがあるが、それはとんでも

ない誤解だ。

介護保険サービスは、介護を必要としている高齢者にとって無くてはならない非常

に大切な社会保障制度である。だからこそ、後先考えずにまるで打ち上げ花火の

ように「導火線に火をつけて終わり」というわけにはいかないし、国民が存在し

皆が年を重ねていく以上、こういった社会保障制度は未来永劫続けなければなら

ない重要な制度である。

にもかかわらず、現役世代の負担に対する我慢の限界が爆発寸前のところにある。

このまま“目先のこと”や”自分だけのこと”にのみ固執していたのでは、この大切

な社会保障制度が、花火のように空に散って無くなってしまう。

私は何があってもそのことだけは避けなければならないと強く思う。だからこそ、

“無責任論者”の訴えは強く否定するし批判もする。

 

そもそも、後先も考えず非現実的な耳障りの良い言葉を並べることを好む人たち

から「高齢者軽視」などと言われる筋合いは全くないし、結果時にはそういう人

たちこそ、未来の高齢者を軽視しているのではないかと私は思う。