居宅介護支援でも利用者負担を徴収するという介護保険の見直し案について、日本
介護支援専門員協会が公表した調査結果によると、ケアマネジャーの76.6%が
「反対」で、利用者負担の導入に反対する主な理由として下記の内容が挙げられて
いた。
○ ケアマネジメントの利用が抑制され、早期発見・早期対応が困難になる
○ 利用者・家族の不要なサービス利用などの要求がエスカレートする
○ 介護支援専門員の本来業務以外への要求が強まる
○ 利用者・家族への対等な立場での説明や支援が困難になる
○ 集金や利用料管理など業務負担が増大する
私は、こうした内容を受けて、介護保険制度の要と言われているケアマネジャーに
介護保険制度の未来を託してよいのか大いに不安になる。
まずは、利用者負担を徴収することで「 ケアマネジメントの利用が抑制され、早期
発見・早期対応が困難になる」はずがない。
こういった理由を挙げている方は、介護支援専門員を弁護士か何かと勘違いして
いるのではないだろうか。介護支援専門員が介護保険制度内で「相談料」を徴収
することはできない。つまり、相談するだけなら無料で対応することになるため、
上記に挙げる理由は当てはまらない。それとも、「金にならない相談は受けない」
とでも言うつもりなのだろうか。
そして、よく理由に挙げられる「利用者・家族の不要なサービス利用などの要求が
エスカレートする」については、これまでも当ブログで何度も取り上げた通り、
利用者負担を徴収していない今現在も不要なサービス利用などの要求に応じ続けて
いる“御用聞きケアマネ”が世の中には多数いる。適切なケアマネジメントができな
い人は、利用者負担を徴収しようがしまいができないままである。
上げられた理由の中で一番意味不明と思ったのが、「利用者・家族への対等な立場
での説明や支援が困難になる」である。なぜ、利用者負担を徴収することと、この
ことが関連付けられるのかさっぱり意味がわからない。あえて言うなら、働きに
対して正当な対価を頂戴する「利用者負担を徴収する」ことこそ、健全で対等な
関係になるのではないかと思う。
少し穿った見方をすると、「無料だったから、ご利用者・ご家族より優位な立場で
いることができたが、有料となるとその優位性がなくなってしまう」などと思って
いるのではないかと勘繰ってしまう。
いずれにしても、取るに足らない理由ばかりを挙げて「反対」しているケアマネジ
ャーが8割近くもいるとは残念でならない。
こんな人たちにケアマネジメントを任せて本当に大丈夫なのだろうか。